ある日、友達とキスをした

Kokonuca.

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まこと side

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 その呼び出しが来るたびに、僕は戦々恐々として何も手につかなくなってしまう。
 窓際の席から中庭を覗き込んでギュッと手に力を込めて……声なんて聞こえないはずなのに、耳を澄まして告白の行方を覗く。
 勇気を出して言葉を口にした女子がひるんで、震えながら友人に慰められつつ退場していくと……僕はホッとして肩の力を抜いてやっと視線を逸らすことができる。

 何も言い出せずにいる自分と比べたら女の子の行動はすごくすごく素敵で憧れるのに、その結果が玉砕でよかった なんて思ってしまう。

 僕は、なんて性格が悪いんだ。

 男だし、性格が悪い僕なんて、藍我の傍にいられるだけで幸せと思わなきゃなのに、もしかしたらって一縷の望みでハグしようなんて書いたから……バチが当たったのかもしれない。


 

 
「……誰だよ、こんなの書いたの」
 
 紙を引いた藍我はちょっと不機嫌そうだった。
 一瞬で場がざわついたけれど、そこは打ち上げのわいわいとした雰囲気の中だ、あっという間に周りの賑やかさにかき消されてしまう。

「藍我! 何を引いたか言えよ!」

 急かす言葉に藍我は一瞬嫌そうな顔をしてから、藍我自身の名前と僕の名前を読み上げて……「キスする」ってぶっきらぼうに言った。
 僕は聞き間違いじゃないかって、慌てて藍我の指先にある割り箸の切れっ端を奪い取って見つめた。

 文字を読んで改めて確認するよりも前に、周りから「キース! キース!」って手拍子と共に言葉が上がって……

 一つ前のお題が「SMプレイ」なんていうふざけたものだったから、皆はこれくらいどうも思ってない様子だった。

「ほら! 俺はさっき尻叩かれたんだから、キース!」
「そうだよ! ちゃんとわんわん鳴いたんだから! ちゃんとやってよ!」
「わんわんっ!」

 そう言って尻を振って見せるクラスメイトを少し睨んで……
 藍我が怒ってくれないかな? って気持ちと、勢いで……せめてフリだけでもしてくれないかなって気持ちを半分ずつ持ってもじもじと藍我の傍に寄る。

「あ はは、な、なんで、そんなの、か っ書いてるんだろうねっっなんかっっ 皆悪ノリして、しょ、しょうがないなぁっ」
「…………」

 藍我のちょっと険しい目に見下ろされて、僕の挙動はますます不審なものになっていく。

「き、き、す、なんて、  なんてことないよね⁉︎」
「……なんてことないのか?」
「そ、そうだ、よっっ僕達っ、……も、もう高校生だし、そ、そ、それくらいの、経験くらいっいっぱい、してる ……でしょ?」

 なんとなく洗面台で顔を洗いながらどんなもんかなって鏡に突進してみたり、飼い猫のちゃるを捕まえてちゅーちゅーしたりしてたから、経験値としてはなかなかなもんじゃないだろうか⁉︎
 あっ! 後、マンゴー食べる時とかちょっともごもごさせてやらしめのキスの練習もしてるから、僕はもしかしたら達人かもしれない!



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