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まこと side
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しおりを挟む窓を覗けば藍我の顔くらいは見れるだろうけど、やっぱりちょっと恥ずかしいからこれでいいんだと思う。どうせ、学校から帰ってきたらプリントとか持ってお見舞いに来てくれるだろうし……
真っ暗な中でポツンと目を開けて辺りを見回す。
常夜灯もない室内はうっすらと窓から入ってくる灯りで照らされている部分があるだけで、それ以外は真っ黒だ。
「えっ……寝ちゃ、ってた?」
時間を確認すると七時過ぎだ。
いつもなら藍我が来て、熱があるって言ってもダラダラとしていく時間帯なのに、あの中は静まり返っている。
一瞬、僕を驚かせようとしているのかもって思って「藍我?」って声をかけてみたけれど、響く音の大きさでひとりぼっちなんだったわかった。
五歳の時から十二年間で、初めて顔を合わせなかった日だった。
熱を出して二日休んだ。
その次の日も藍我は僕に会いにくることはなくて、朝に家の前で待っている間はソワソワして落ち着かなかった。
どうして見舞いに来ないのかって言ってやろうとか、あのキスのことが話題に出るかなって体を揺すりながら待って……でも、毎朝の待ち合わせ時間に、藍我は出てこなかった。
もしかしたら寝坊かな? ってチャイムを押そうとした時、藍我のお母さんがゴミ袋を持って出てくる。
「あれ? まこちゃん⁉︎ なんでまだいるの? 藍はもうとっくに学校に 」
思わずびくってなった僕に驚いたのか、「どうしたの?」って優しく問いかけてくれたのに、僕は慌てて首を振って駆け出した。
僕の走るスピードは歩くのと大差ないけれど、それでも走らないよりは断然マシだ。
藍我に言わせると「ぽてぽてぽてって音がしそう」な走りで必死に学校に辿り着いた時、下駄箱から見える職員室前の廊下に藍我の姿を見つけた。
先に行くなら一言くらい言ってくれてもいいのにって、走りながら増大した怒りをぶつけてやろうとした――――けど、できなかった。
藍我の腕にぶら下がる小さなシルエットが見えてしまったからだ。
小さなっていっても藍我と比べたらだから、僕と同じくらい?
「らーんがぁ! もう行こうよ!」
ちょっと鼻にかかるような甘えた声に、藍我は怒ることもなくちょっと顔をしかめて返しただけだった。
「もうちょっと待てよ」
職員室の前にいるんだから用事があるとしたら先生かな? いつもは先生から呼び出しがあると一目散に逃げていくというのに、反対側に体重をかけ直して動く気配はない。
そんな藍我にムッとした顔をしつつも、その子は離れずにずっと腕を絡ませたままだ。
「…………ぁ」
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