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まこと side
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しおりを挟む「なー。なんで一緒に帰らなかったんだ?」
教室でいつも通り藍我が掃除を終えて戻ってくるのを待ってたのに、全然こなくて……校舎内は少しうら寂しさにお化けが潜んでそうな場所へと変わりつつあった。
真っ暗な校舎を歩ける勇気はない。
だから、帰るならそろそろ時間が限界なんだけどって思っていた僕に、クラスメイトがそう尋ねてくる。
「ど、どう言うこと⁉︎」
「山口ならもうとっくに帰ったぞ? 腕組んでたからてっきり青井だと思ってた……んだけど……あれ は 」
教えてくれた友人が、それが意味することを理解してしまったらしい。
大慌てで口を押さえたけれど、今更今更。
つまり、藍我には腕を組んで連れ立っていく相手が……できたってことだ。
きっとこの事実から導き出した憶測は学校中を巡り巡るんだろうな って思う。
もしかしたら、打ち上げのあのキスで周りから冷やかされちゃったりなんかするかもってゲスい考えを持っていただけに、今日やってきた転校生にたった一日でそれを塗りつぶされてしまったことは、かなりショックだった。
携帯電話に藍我からの連絡は一切なくて、今朝と同様に存在すらも忘れられているようだ。
一人で下校するのは実は初めてだったりする。
入学当初、ちょっと怖い人達に目をつけられちゃったことがあって、とても怖い思いをした。それからお隣だしって藍我が一緒に帰ってくれるようになっていた。
一緒に帰ってくれるようになって絡まれることも無くなったから、藍我に守られてるんだって感じがして嬉しかったのに……
「ひゃっ」
カサ と音がして飛び上がる。
きっと街路樹の枯れ葉が落ちたんだってわかっているはずなのに、薄暗いのに濃い光の残る逢魔が刻の時間帯だからか怖くてたまらなかった。
特に帰り道の一部にある細い道は、木々に埋もれるように残っている小さな廃神社があって不気味な雰囲気だ。
お化けだけでなく人が潜んでいてもわからないくらい木と草が茂っていて、その隙間に赤い鳥居が見えて……テレビで幽霊の出るスポットって紹介されても頷いてしまいそうだった。
「っ ひぃん」
思わず泣き声が漏れた。
藍我を待っていなかったら明るいうちに帰れたのに、今はもう染み出すように辺りは闇に沈んでいっている。
怖いけれど、ここで足を止めると余計に怖いからって自分をなんとか奮い立たせて、さっと走り出した。
できるだけ神社の方を見たくなくて目をギュッとつぶると、当然のように視界は無くなって……僕はあっさりと電信柱にぶつかって尻餅をつく。
「ぃ っいたぁい!」
恥ずかしいってわかっているのに、大きな声を出してしまった。
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