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まこと side
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しおりを挟む「おっと」
小さく声を漏らして、僕がぶつかった人は僕をしっかりと抱き止める。
「わっ! すみませ……あ、天野先輩だ!」
「そうだよ、おはよ」
キラって効果音が聞こえるんじゃないかって思える白い歯が、にっこり笑った唇の間から覗く。
少し長めの茶髪に学校以外ではピアスをはめているんだなってわかる穴が耳たぶに並んでいる、ちょっとチャラい感じのこの先輩は「天野洸平」って名前だ。
教室の隅が棲家のような僕と陽キャの中心にいそうな先輩に本来なら接点なんてないんだけど、藍我を通して何回か遊んだ結果、意外と話が合うってわかった人だった。
「あれ、山口は?」
「むー……」
一番にそこを聞いてくる辺り、先輩にデリカシーはないんだと思う。
「ちょっと、用事……じゃなくて、他に一緒に登校する人ができたんだって」
「 ――――え?」
笑い飛ばすかと思ってたのに、先輩はきょとんとして目をぱちぱちしている。
「あ、あいつ……彼女できたの?」
やっぱりこの反応だ。
そりゃそうだ。僕と藍我はなんだかんだ言いつつもずっとつるんでて、一緒に登下校してたりお昼ご飯を一緒に食べていたりしてて、皆それが普通だって思っているんだから。
それが解消されたとなると、友情よりも優先させる相手ができたって、自然と考えつく。
恋人ができたんだって。
「ち ちが 」
本人の口から聞いたわけじゃないからそうだって言い切れない。
第一桃路が相手なんだから彼女じゃなくて彼氏になるんだけど……そんなこと、簡単には言えなかった。
「あー……寂しくなるよなぁ。でもオトシゴロは仕方ないよなー?」
洸平はそう言うと僕の頭をぐりぐりぐりーって力を込めて撫でてくる。
「やっぱりえっちなことしたいし? 山口も男だってことで諦めて、一人もん同士の俺とつるもっか!」
せっかく寝癖を直した頭が、鳥の巣のようになってしまった。
「やです。先輩は三年生じゃないですか」
「年上は嫌?」
嫌 って言うか、学年が違うと校舎が違ったりするから遊びにくい。
「絶対に山口よりも楽しいことしれやれるのに~?」
「別に……僕と藍我は遊びまわってなんかないですよ?」
藍我はバイクに興味があるようだったけれど僕にはないし、僕は美術館に興味があったけれど藍我は興味がない。
趣味って部分では、僕たちは合わないんだ。
「えー! 俺、意外と貢ぐし尽くすよ?」
なんの話をしているんだろうってキョトンとしている僕の髪を、原因である先輩が丁寧に直してくれる。
手首に付けられているのか、藍我とは違うもっとさっぱりした香りの香水が鼻先をくすぐるから、思わずくしゃみが飛び出した。
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