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まこと side
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しおりを挟む人からの借り物なのに伸ばされちゃ困ると、大慌てで止めようとするも桃路は気にしないふりをして袖を頬に当てて「あったかーい」なんて呑気な声を出す。
「まだ暖かいかなって思ってたけど、日陰だとちょっと寒かったりするもんね。いいなー! まこちゃんには服を貸してくれる人がいてー」
そう言うと桃路はチラチラと藍我の方を意味ありげに見る。
「なら、まことから貸してもらえ」
「は⁉︎」
藍我は短く言って僕の着ていたカーディガンを引っぺがし、それで桃路をぐるぐる巻きにしてしまう。
僕は急に服を取られて……クシャンって盛大にくしゃみをした。
「ちょ、藍我! それは先輩から貸してもらったって言ったのに! それを又貸しなんてできないよ!」
「ちょうど、放課後に先輩と会うからオレから返しとく」
ひらりと掌を見せながら突っぱねられ、僕の言葉は聞いてもらえそうになかった。
「桃路を紹介しに行くから」
「ええ? めんどくさいよ、そういうの」
カーディガンの隙間からもごもごと言う桃路と藍我は視線が絡んでちゃんと意思疎通できてるなって感じ。
一方的にものを言われて、こっちからの言葉を聞いてもらえない僕と藍我とは違った。
てか、さっきから視線が全然合わないんだけど……
「ダメだ、もしお前になんかあった時に、先輩の力を借りれたら安全だから」
藍我はまるでお兄ちゃんが弟にキツく言い聞かせるように、丁寧に説明してからじっと睨む。
転校生だし、上級生にツテがあったらイジメとか絡まれたりとかを避けれそうだから、いいことだと思う。
でも、ちょっと引っかかるのが、藍我が進んで桃路を紹介したこと。
僕の心が狭いってだけの話なんだけど、洸平と僕が親しくなったのは別に藍我に紹介されたわけじゃない。
藍我のつきまとっていたからたまたま仲良くなったってだけで、絡まれた経験があるからこの子よろしく! みたいな感じで紹介されていなかった。
もし、最初に「絡まれやすいからよろしく」とでも言って置いてくれたら、僕はあんな絡み方されなかっただろう。
二人とも藍我経由で紹介されるのに、扱いの差……ひどくない?
「行かなきゃダメ?」
「ダメだ、お前になんかあったらどうすんだよ」
「藍我が助けてくれるでしょ?」
きゅっと肩をすくめてあざとく下から見上げるような体勢をとる桃路は自分の顔の良さをわかってるんだって、わかる行動だ。
そんな明るく可愛らしい態度、僕には……無理だ。
「おねがーい!」
藍我に絡まるように飛びつきながら言う声は甘たるくて、砂糖でできてるんじゃないのかなって錯覚させる。
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