ある日、友達とキスをした

Kokonuca.

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まこと side

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 そう言うとひょいと塀を覗き込んだりするから、僕は大慌てでそれを止めた。

「昔は良くても! 今は捕まっちゃいますよ! あと、そのおねーさんは都会に行きました!」
「えっ……オレのほろ苦くて甘い思い出が……」

 あと、若いおねーさんに見えてただろうけど実はおにーさんなんだよってことは、洸平の夢を壊したくないから飲み込むことにする。

「ここを曲がれば僕の家です、今日は送ってくださってありがとうございました!」

 門扉のところでぺこりと頭を下げた僕を見ず、先輩はその後ろの家を見上げて驚いているようだ。
 僕の家は、典型的な田舎の家って感じで都会の家よりはちょっと広く見える和風の家だったけれど、びっくりするような建物じゃなかった。
 洸平のポカンとした様子にが不思議だった。
 
「天野先輩? どうされました?」
「オレ、ここで遊んだことあるわ」
「エエ⁉︎ 本当ですか? じゃあ、小さい頃に来てた子達の中の誰かだったんですね」

 少し昔を思い出してふふ と笑う。

 この辺りは都会か田舎で言うとどがつく田舎に分類されると思う。
 さすがにコンビニまで何キロって環境ではなかったけれど、決して都会ではない。
 都会の文化に触れたかったら電車にガタゴト揺られて街の方に出るしかない 程度の場所だ。

 そんなだからか毎年夏には帰省家族がよく帰って来ていて、夏休みの間は子供の人口がべらぼうに増える地域でもあった。

 僕の家はおばあちゃん達も一緒に住んでいたからどこにもいかなかったけれど、近所のおうちには毎年夏になるとお孫さんがやってきて、庭が広いうちが自然と皆の溜まり場になっていて……
 小さい頃だったし、名前を知らなくても仲良くなれる年齢ってのもあったんだと思う。
 誰がどこの家の子でなんて名前だったのか……記憶は朧げだ。

「あっちの奥に井戸があっただろ?」
「うん、もう塞いじゃってるけどね」

 とても冷たくて美味しいお水が汲めたけれど、やっぱり子供がいると危ないからって理由で井戸には今はコンクリの蓋がはめられている。

「おー! けっこう覚えてるもんだな!」

 そう言うと洸平は「お邪魔します」って一言だけ言って庭にずんずんと入っていく。
 都会なら大問題なんだろうけど、ここら辺りはこれくらい許容範囲だ。

「そう、そうだ! この木も覚えてる! 親父の本家に連れてこられるんだけど暇で暇でたまらなかったから……ここは、本当に楽しかった場所だ」

 木を見上げて木漏れ日に目をキラキラさせる姿を見ていると、僕の方も嬉しくなってくる。
 僕の記憶の中では、毎日いろんな子達と遊べる季節だ! ってくらいの認識だったけど、洸平の記憶にはとても良い記憶として残っているのが嬉しい。



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