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まこと side
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しおりを挟む変なクセがついてしまった前髪を押さえながら進まない足で仕方なく学校に向かう。
目元の腫れを気にするなら、このままサボっちゃったり保健室に直行できたりするんだろうけど、あいにくそんな勇気は持ち合わせていなかった。
「まーこ!」
ぽん! と背中に手を置かれ……洸平だなって分かっただけに振り返れないままに「おはようございます」って挨拶をする。
「どした?」
自分の方を向かないことに気付いたのか洸平が僕の顔を覗き込もうとして……それを避けるためにくるんと体を回す。
別にやましいことをしたわけじゃないから見られてもいいんだけど、泣いてたってすぐにわかる顔を見せたくはなかった。
「どーした?」
「ななな、なんでもないです! 僕、急ぐんでっ」
そう言って走り始めたのに、洸平はフゥンって言いながらと悠々と歩いてついてくる。
僕の足が遅すぎるんじゃなくて、コンパスの長さが違うせいだと思いたい……
「なんでついてくるんですか?」
「なんでって……俺も登校するから?」
不思議そうに言われてしまうと、確かに自分が間違えている。
でも洸平はそんな真面目な生徒だったかなって記憶を探っていると、ひょいと視界いっぱいに洸平の顔が現れた。
「ひゃっ」
「ひゃってなんだよ」
「なんだよって、なんでもないですよっ」
至近距離で顔を見られて……距離感の取り方の違いにドキドキしながら後ずさる。
この間、藍我と顔を近づけたっていうか、キスした時のことを思い出して顔に血が集まるのがわかった。
目元も赤いし頬も耳も赤くなってしまったら、もうどうしたらいいんだ!
「んんー? 泣いた?」
「泣いてません」
「泣いただろ」
「違います」
ぽんぽんぽん と言葉を返すけれど、言葉が重なっていくうちに罪悪感が重なってきて喋れなくなった。
「……ちょ っとだけ、です。感動的な動画見ちゃったんです!」
「フゥン」
そう言うと洸平はさっと僕を抱きすくめる。
突然の暴挙は抵抗なんてものを一切させてくれなくて、僕はぎゅうぎゅうに絞られる雑巾のようにされてしまう。
「ぃ、いきっ 」
腕の力が凄すぎて、吐いた息が吸えない。
逃げていくばかりの酸素を追いかけたくても、洸平の手はまったく緩んでくれなかった。
「ちょっとじっとしてろ」
覆い被さるように頭を下げた洸平が耳元でぼそりと告げてくる。
いったい何をされているんだ⁉︎ って頭の中がぐるぐるしているところに、「何してんすか?」って藍我の低い声が聞こえてきた。
僕には見えなけれど、背後に藍我が立っているんだってことはわかる。
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