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まこと side
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しおりを挟む「あー! いけないんだー! 痴漢行為で警察呼んじゃいますよー?」
……桃路が一緒って、こともわかる。
「うるせぇな、先輩後輩のコミュニケーションタイムを邪魔すんな」
「……邪魔しませんけど。桃路が言うように警察呼ばれますよ。カツアゲに見えますから」
こんなぎゅうぎゅうに抱き締めるカツアゲがあるんだろうか?
桃路に同意するわけじゃないけど、カツアゲよりはやっぱり痴漢されているように見えると思う。
「むぐ むぐ ……あまの、せんぱ 」
「目立つから! 放した方がいいんじゃないですか!」
ドスに効いた声に思わずびくぅと背筋が伸びる。
藍我が僕の傍でそんな声を出すことなんて滅多にないから、耳に馴染まない獣の唸り声のような声音にじっとりと汗が吹き出す。
「えー。でもまこはあったかいから、ちょうどいいんだよね」
そう言うと洸平は僕の頭の匂いをすんすんと嗅ぎ始める。
「へんた っ」
「何してんだ!」
「山口は知ってた? まこの髪、ミルクみたいな甘い匂いがすんの」
人の匂いを嗅いで感想を言うなんてセクハラもびっくりなことをした洸平に、この歳になってもまだミルク石鹸使ってるのかって笑われたような気持ちになってしまって……
確かに、藍我も桃路、それに洸平も香水? コロン? をつけているからかいい匂いがしている。
未だ子供っぽい匂いをさせているのは僕だけだった。
「どうせガキっぽいですよ」
「違う違う、いい匂いって言ってるの。な? 藍我、いい匂いだろ? まこのは特にさ」
洸平は二人に向けて僕を腕の中でくるんと回してから抱きしめ直す。
僕はまるで小さなぬいぐるみになった気分で、洸平の腕の中でぶらぶらとなすがままだった。
「お前ら知らないの?」
「ひゃっ」
洸平の鼻先が髪の間に潜り込んでくる。
時折飼い猫のちゃるがするのと同じ動作に、くすぐったくてくすぐったくて「きゃあ」と声を上げた。
その声があんまりにも甲高くて女の子みたいな声だったから、もう恥ずかしくて恥ずかしくて……穴があったら入りたいくらいだったので、洸平の胸にギュッと顔を押し付ける。
「あはは! まこ、何してんの!」
「も、もうちょっとこうさせててくださいっ」
真っ赤な目も真っ赤な顔も耳も、今は藍我に見られたくないから洸平のブレザーに逃げ込んで……
「藍我、今日は日直だったかもよ⁉︎ 早く教室に行った方がいいんじゃないかな!」
「は? オレじゃねぇよ」
「そんなことない! そろそろだったもん! 藍我は今日、日直だ!」
はっきり言い切った僕に、そんな細かいことを覚えていない藍我はちょっと自信がなくなってきたのか声を揺らし始めた。
「え……そうだったっけ……? じゃ、じゃあまこと。行くぞ」
「いかない。僕は手伝わないからね」
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