ある日、友達とキスをした

Kokonuca.

文字の大きさ
23 / 71
まこと side

23

しおりを挟む




「あー! いけないんだー! 痴漢行為で警察呼んじゃいますよー?」
 
 ……桃路が一緒って、こともわかる。

「うるせぇな、先輩後輩のコミュニケーションタイムを邪魔すんな」
「……邪魔しませんけど。桃路が言うように警察呼ばれますよ。カツアゲに見えますから」

 こんなぎゅうぎゅうに抱き締めるカツアゲがあるんだろうか?
 桃路に同意するわけじゃないけど、カツアゲよりはやっぱり痴漢されているように見えると思う。

「むぐ むぐ ……あまの、せんぱ   」
「目立つから! 放した方がいいんじゃないですか!」

 ドスに効いた声に思わずびくぅと背筋が伸びる。
 藍我が僕の傍でそんな声を出すことなんて滅多にないから、耳に馴染まない獣の唸り声のような声音にじっとりと汗が吹き出す。

「えー。でもまこはあったかいから、ちょうどいいんだよね」

 そう言うと洸平は僕の頭の匂いをすんすんと嗅ぎ始める。

「へんた  っ」
「何してんだ!」
「山口は知ってた? まこの髪、ミルクみたいな甘い匂いがすんの」

 人の匂いを嗅いで感想を言うなんてセクハラもびっくりなことをした洸平に、この歳になってもまだミルク石鹸使ってるのかって笑われたような気持ちになってしまって……
 確かに、藍我も桃路、それに洸平も香水? コロン? をつけているからかいい匂いがしている。

 未だ子供っぽい匂いをさせているのは僕だけだった。

「どうせガキっぽいですよ」
「違う違う、いい匂いって言ってるの。な? 藍我、いい匂いだろ? まこのは特にさ」

 洸平は二人に向けて僕を腕の中でくるんと回してから抱きしめ直す。
 僕はまるで小さなぬいぐるみになった気分で、洸平の腕の中でぶらぶらとなすがままだった。

「お前ら知らないの?」
「ひゃっ」

 洸平の鼻先が髪の間に潜り込んでくる。
 時折飼い猫のちゃるがするのと同じ動作に、くすぐったくてくすぐったくて「きゃあ」と声を上げた。
 その声があんまりにも甲高くて女の子みたいな声だったから、もう恥ずかしくて恥ずかしくて……穴があったら入りたいくらいだったので、洸平の胸にギュッと顔を押し付ける。

「あはは! まこ、何してんの!」
「も、もうちょっとこうさせててくださいっ」

 真っ赤な目も真っ赤な顔も耳も、今は藍我に見られたくないから洸平のブレザーに逃げ込んで……

「藍我、今日は日直だったかもよ⁉︎ 早く教室に行った方がいいんじゃないかな!」
「は? オレじゃねぇよ」
「そんなことない! そろそろだったもん! 藍我は今日、日直だ!」

 はっきり言い切った僕に、そんな細かいことを覚えていない藍我はちょっと自信がなくなってきたのか声を揺らし始めた。

「え……そうだったっけ……? じゃ、じゃあまこと。行くぞ」
「いかない。僕は手伝わないからね」



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

両片思いの幼馴染

kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。 くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。 めちゃくちゃハッピーエンドです。

嘘をついたのは……

hamapito
BL
――これから俺は、人生最大の嘘をつく。 幼馴染の浩輔に彼女ができたと知り、ショックを受ける悠太。 それでも想いを隠したまま、幼馴染として接する。 そんな悠太に浩輔はある「お願い」を言ってきて……。 誰がどんな嘘をついているのか。 嘘の先にあるものとはーー?

【完結】大学で再会した幼馴染(初恋相手)に恋人のふりをしてほしいと頼まれた件について

kouta
BL
大学で再会した幼馴染から『ストーカーに悩まされている。半年間だけ恋人のふりをしてほしい』と頼まれた夏樹。『焼き肉奢ってくれるなら』と承諾したものの次第に意識してしまうようになって…… ※ムーンライトノベルズでも投稿しています

俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ
BL
☆完結済みです☆ 番外編として短い話を追加しました。 男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ) 中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。 一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ) ……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。 て、お前何考えてんの? 何しようとしてんの? ……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。 美形策士×純情平凡♪

白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。 シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。 ※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。

幼馴染み

BL
高校生の真琴は、隣に住む幼馴染の龍之介が好き。かっこよくて品行方正な人気者の龍之介が、かわいいと噂の井野さんから告白されたと聞いて……。 高校生同士の瑞々しくて甘酸っぱい恋模様。

失恋したのに離してくれないから友達卒業式をすることになった人たちの話

雷尾
BL
攻のトラウマ描写あります。高校生たちのお話。 主人公(受) 園山 翔(そのやまかける) 攻 城島 涼(きじまりょう) 攻の恋人 高梨 詩(たかなしうた)

《一時完結》僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ

MITARASI_
BL
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。 「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。 揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。 不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。 すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。 切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。 続編執筆中

処理中です...