ある日、友達とキスをした

Kokonuca.

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まこと side

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 慣れない、藍我とは違う香水の匂いと……それから僕の方を睨むような二人の目に、怖くなって思わず洸平の肩に顔を伏せた。





 授業前だからか保健室は開いていたけれども先生はいなかった。
 ひんやりとした静かな保健室は立ち入っていいのか戸惑ってしまう雰囲気だ。

「体温計ってここだったよな」

 入り口でもじもじしている僕を置いて、洸平はさっさと中に入って先生の机の上を漁り始める。
 
「ちょ 先輩! 勝手に触るのよくないですよ!」
「だって、調子悪くてきてるんだぞ? もしかしたら一分一秒を争うかもしれないのに? 先生がいないだけで死ぬかもしれないんだぞ⁉︎」

 ただちょっと寝不足で熱っぽいだけなのに、いつの間にやら命がかかってる話にすげかえられて……
 洸平の力の入った言葉に、もしかしたら自分が思うよりも体調が悪いのかもしれないって気がしてきた。

「もしかして、僕、ものすごく体調悪い⁉︎」
「うんうん。重症重症」

 ちょっとショックを受けていたのに、洸平に軽く言われると途端に適当に言われたことなんだって、一気に理解した。
 さすがに具合が悪いって言っている相手をからかうなんてって思ったけど、自覚が出るくらいに熱が上がってきているからか言い返す気力が湧かない。

 しょんぼりとした僕に気づいた洸平が、ベッドのカーテンを引いて手招いた。
 
「とりあえず横になっとけ。先生に声かけたら家に連れて帰ってやるから」
「……一人で帰れますよ」

 高校は一番家に近いところを選んだからすぐに帰ることができる。
 それに僕ももう高校生だし、わざわざ洸平の手を煩わせることもない。

 そう……本当は、誰かの手を借りなくても自分の面倒くらい自分でみれるんだ。

 藍我が律儀に親の言ったことを守らなくても……

 自分自身が甘えていただけだってわかってはいるんだけど、この年になっても同じ高校に行くって言ったり、具合悪い時は飛んできたりしてくれていたから……
 ちょっと期待して、もしかしたらって思いがあって、でも……それは自分の思い込みだった。

「調子の悪い時は甘えとけって。な?」

 そう言うと洸平は僕をベッドに座らせてから体温計を握らせてくる。
 仕方なく体温計を脇に挟んでいる間に、洸平は角の方にある冷蔵庫を漁って保冷剤を持って帰ってきた。

 体温計のことといい保冷剤のことといい、洸平はまるで自分の家のように堂々としているしどこに何があるのか把握しているようだった。

「保健室、よくくるんですか?」
「昼寝は布団でするものだろ?」

 疑問に疑問で返された挙句、サボっていたと言われて呆れるよりも前にくすりと笑ってしまった。



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