ある日、友達とキスをした

Kokonuca.

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まこと side

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「少しの間、一人で寝てられるか?」
「?」
「先生探してくるから。その間だけなんだけど」

 職員室は保健室がある校舎と同じ校舎だ。階が違うだけだからたいして時間はかからないはずなのに、きちんと尋ねてくれるのが嬉しい。

「なんか、いつもより優しくなってません?」
「俺は元々優しいよ?」
「そうなんですけど、でもこんな首を突っ込む感じの人じゃないってイメージです」

 紹介されたり、知り合ったりした人間への当たりは柔らかくて気さくで、コミュ力つよっ! って思わせるんだけど、でもそれも表面の軽い部分だけで深くは付き合っていくようなことはなかった。
 人の輪の中にいても、どこかきちんと一線を引いて踏み込まないようにしていると、以前遊んだ時に感じた。

 そんな洸平だから、今こうやって面倒をみてくれているのはいつも通りの行動とは言い難い。

「俺だって、人をみて恩を売る売らないってのをちゃんと計算してるのさ」

 にこ とやんちゃな笑顔を見せてくれる。
 下心があるのだと告げた場合の下心は下心として機能するのかな? なんて考えながら、洸平を見上げた。

 チャラそうな……僕とは人種が違うなって佇まいなんだけど、僕を見下ろしてくる瞳は柔らかな雰囲気を溜めていて、春の日差しのようだ。
 じっと見つめられるとくすぐったいような感じがして、居心地が悪い。

「…………僕、ちょっと寝ますね」
「じゃあ先生探してくるな」

 さっと骨ばった手が持ち上がって、僕の頭をポンポンと軽く叩いてから去っていった。





 熱は38度を超えてないよって程度だった。
 よく熱を出す人間からしたら「ふーん」だけど、周りからしたらちょっと焦る くらいの熱かな?

 測り終わった体温計を枕元に置くと、少し寒さを感じて布団をギュッと引き寄せる。
 まだまだ熱が上がるのか? それとも自分が寝不足なだけだから? だったら寝たら治るかもしれないと、ギュと目を瞑った。

 そうすると、何も考えないようにしようとしているのに、じわりと染み出してくる湿気を纏った記憶が奥の方から這い出してくる。
 気づかないようにしていた、こうやって熱を出した一番の原因であるショッキングなシーンが、真っ暗な瞼の裏に蘇ってしまった。

 見慣れた藍我の部屋。
 藍我の身長を考えたらちょっと狭く感じてしまうその部屋は、ベッドと棚と勉強机、オープン型のクローゼットがあるから余計に狭く感じた。
 そんな中で、小さな折り畳み机を出して二人で勉強して、ゲームして……藍我が狭いから体の小さな僕以外の人間は入れないって言っていたこともあって、学校でどれだけ友達がいても、その部屋に入って遊べるのは僕だけだった。

 だった、はず、なんだけど……


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