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まこと side
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しおりを挟むその目が僕を見てとろりと微笑むのが堪らなく好きだ。
今みたいに……
「み……見つめないでよ」
「無茶言うなよ……こんな狭いんだし」
元々入るところじゃない掃除道具入れは大柄な藍我だけでもぎゅうぎゅうだ。
その隙間に僕が入り込んでいるんだから、ホントにまったく全然動けない。
「あいつ……走ってないだろうな……」
「井上くん……行ったかな?」
出ていく音がしてバタバタと足音が小さくなったから、きっとそう。
「出る?」
「もう少し様子みたほうがいいかも……戻ってきるかもだし」
何もここまで本気で隠れなきゃいけないものかって頭の冷静な部分が尋ねるけれど、洸平を振り切って僕達を探そうとする桃路の気迫を考えると、これぐらいでいい気もする。
「…………んっ」
「おい、変な声出すな」
「息苦しいんだもん」
「っ しょうがねぇな……で? 話って?」
この狭さだし、密着に関して諦めたのか藍我は話を進めることにしたらしい。
「話……はっなんで未読スルーするの⁉︎」
「……は?」
「送ったメッセージ、見てもらえないのって地味に傷つくし、大事な用事かもしれないだろ? 連絡網とかもあるんだからそこは見て欲しい」
「ちょ ちょ ……何言ってんだよ、ここ最近、お前からメッセージなんて来てないぞ⁉︎」
さっと青くなった藍我は苦労しながら携帯電話を取り出し、メッセージを確認するも緩く首を振る。
「来てない」
「そんなはずないよっ」
負けじと僕も携帯電話を引っ張り出してきて、藍我に向けて突きつける。
そこには藍我に送ったメッセージが未読のままで表示されていた。
「…………まことを、ブロックしてるのかも…………」
苦いものでも食べたような顔で言うと、藍我は携帯電話を操作してホッと息を吐く。
「無視したわけじゃなくて……その、操作を間違って、ブロック設定にしてたみたいで…………」
言葉尻が消えていって、藍我は目に見えて落ち込んでいる。
ここで藍我を責めることは簡単だったけれど、今はそんなことに時間を割いている場合じゃなかった。
「そんなことよりもね。あの……僕の部屋でのことなんだけど」
「――――っ」
そう切り出すと藍我は明らかに動揺して、暑くて赤くなっていた顔色を青く変える。
「いい。……聞きたくない」
「聞きたくないってなんだよ、聞いてよ!」
じゃないと藍我は僕と洸平がキスする仲だって誤解したままになってしまう。
「っ……わ、かったよ。……いつから、そんな関係になってたんだ?」
藍我の声は潜めているだけじゃなくて、まるで塩をかけられた菜葉のようにしおしおと力無い。
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