僕(Ω)は貴方(α)の家政夫(β)ですから!

Kokonuca.

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「僕はっルカさまとトーマさまの健やかな生活を送って欲しいと考えています!」
 
 好きな人には、困ることなく穏やかで満ちた生活をして欲しいって思うから!
 だからずっとトーマ達がどうすれば気持ちよく過ごせるのか、悲しまないのか、考えて行動してきたのに……どうしてトーマが昨日から機嫌が悪いのか、一方的すぎて僕は推測するしかできない。
 トーマが何かに苛立っているのはわかる、それが昨日のあの男が出てきた話が始まりになっているのもわかる、でもそこまででそれ以降はトーマが何に怒っているのかさっぱりわからなかった。

「教えていただけないと、わかりませんっ! 改善すべきところをおっしゃってください! 僕は僕の仕事をまっとうしたいんです!」

 そうすれば、珍味以外の価値も出てくると言うもので……
 
「俺はっ君が何を考えているのかわからない!」

 それはこっちのセリフだ! って言葉を飲み込んでいると、トーマはサッと背を向けて扉を叩きつけるようにして出て行ってしまった。
 追いかけて話し合うこともできたけれど、腕の中ですがるルカがそれを押し留めた。

「……ルカさま、びっくりしてしまいましたね」
「…………ままの、おこ?」
「いいえ、ままのは……」

 怒っていると言うよりも戸惑いと、悲しさが先に立つ。
 自分の恋心とトーマの腕の温もりを知ってしまったから余計に、訳もわからずに突き放された寂しさが大きくて、戸惑いに押しつぶされてしまいそうだ。

「ちょっと、たい ですかね」
「たーい? じょぶ?」

 僕の返事にルカは耳を胸に当てて音を聞いてから、よしよしと撫でて慰めてくれた。





 花の形に抜いたクッキーを天板に並べていく。
 ルカが頑張って抜いたものは多少の崩れがあるものの、上手にウサギの形を保っていた。

「……焼き菓子なら、食べてもらえるかな」

 ひとしきり涙をこらえた後に湧いてきたのは怒りでもなんでもなくて、ただトーマがちゃんと食事をできたかどうかの心配だった。 
 昨日の夕食と今日の朝食をトーマは食べなかった、昼食はちゃんと食べたのかなって思うけれど……もらった名刺の番号にかけてわざわざ呼び出してまで確認するわけにもいかず、悶々とした気持ちを抱えたままだ。

「食べないと、体壊しちゃうのにね」
「ぅ? たべゆ?」
「はい、焼き上げて、おやつにいただきましょうね」

 トーマによく似たルカに見つめられると、嬉しいけれど同時にちょっと複雑な気分にもなる。
 このまま、トーマが怒ったままだったら辞めなきゃならなくなるのかもしれない。

 ……というかコレ、遠回しに出ていけってことだったら……?

 思わず絞り袋をギュッと握ってしまって、中身が上からも下からも溢れてぼたぼたと天板に落ちる。
 ポッシュクッキーを作ろうと思ったのに、それどころじゃなくなってしまった。


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