変彩の宝石譚

Kokonuca.

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 ゴウはその表情にやっと安心したと笑うと、歩調を早めて朱雀の部屋がある最上階へと急いだ。

「ゴウ、ゴウ! 遅い! 走れ!」
「走ってる!」

 二人は子供のように言い合いながら扉を勢いよく開けて中へともつれ込む。
 上質な香が焚きしめられた部屋は贅沢な調度品で整えられ、王の部屋のように豪華だ。奥には広い天蓋付きのベッドもあると言うのに、ゴウはそこまでいくこともできないまま、朱雀を壁に押し付けて強引に唇を奪った。
 赤く紅の引かれた唇を舌でこじ開け、甘い蜜を求めるように吸い付く。分厚いゴウの舌が遠慮もなく侵入してくるのを、朱雀はうっとりとした表情で迎えた。

「ゴウ、もっと、奥まで触って」 
「おい、朱雀……一ヶ月ぶりだ。まずは、じっくりと味わわせろ」

 絡まる情欲を宿した視線に部屋の中はあっと言う間に濃密な空気に変わる。
 ゴウは獲物を追い詰める獣のような目で朱雀を壁へと押しつけ、わずかな体温すらも逃さないように覆い被さり、朱雀もまた、一ヶ月の飢えをぶつけるようにゴウの太い首に腕を回して食らいつく。
 打ち掛けの隙間から滑り込んだゴウの大きな掌が、火照った肌を執拗なまでに這い回理、指先で乳首を弾き、薄い布越しに熱を帯びた場所を力強く掌で圧迫した。

「ん、あ……っ、ゴウ……指、あつすぎんだよ……っ」
「お前に触れたくて触れたくて仕方がなかったからな。朱雀だってそうだろう?」
「  っ、……ぅん」 
「はは! 一ヶ月前よりずっと素直じゃねえか」

 ゴウの分厚い指が敏感な内腿をゆっくりとなぞり、その最奥、秘された聖域の周りをじりじりと弄ぶ。
 期待に腰を浮かせ、自ら指を導こうとする朱雀。だがそのたびにゴウは意地悪く手を離した。

 物欲しげにひくりとそこが引き攣れる感触に、朱雀は癇癪を起こしたように声を上げる。

「……っ、ふざけんな、焦らすんじゃねえ……!」

 苛立ちと快楽に翻弄された朱雀のピジョンブラッドの瞳がうるりと潤む。その目尻から一粒の真紅の雫が零れ落ち、床の上にカチリと音を立てて結晶となった。
 驚くほど深く、燃え上がるような真紅のルビー。
 宝石商なら何をおいてでも飛びつきたくなるほど上質なそれに、ゴウは視線すら向けない。

「焦らしてねぇ、旅先からそのままここにきたんだ。汚いのは嫌だろ?」

 自分を慮っての言葉だとわかってはいたけれど、朱雀はぎゅっと唇を引き結んで悔しそうに瞳を潤ませた。

「……もう、嫌だ! 意地悪だ! お前は私が一番嫌なことをわかってない!」

 小さな拳がゴウの背中にぽかぽかと振り下ろされるが、ゴウは止めるどころかくすぐったそうに笑って朱雀のしたいようにさせている。

 
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