異世界でチートがバレた件について

DetaRan

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天才、失敗する

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 時はある夏の日

「ふふ、ふふふふ……」
 とある研究所で一人の男が汗を滝のように出しながら不敵に笑う。
 「ふふ、ふぅーーーはっはっはーー!!」
 だれもいない研究所で彼の声は静かにこだまする。
 それに呼応するかのように太陽が
「ついに……ついに完成したぞ!!『タイムマシン』!!」
  夏の暑さを吹き飛ばすかのように彼は叫ぶ。
「思えば10年、これほど待ち望んだことはない……」
 それは彼が、研究に5年、資金調達に2年、作製に3年とちょうど10年で完成した言わば「今」の彼の人生そのものだ。
「さて……のるか」
……のちに彼は後悔する。嬉しくても冷静さは欠くな、と
 この時彼には様々な考えが巡っていたが、とりあえず乗ってみようと思考した。
 成功にしろ失敗にしろ自分以外がタイムマシンを使うのは嫌だったのが一番の理由だ。
「……よし、10年前にセットしてっと。あっ!いちおトイレに行っとくか。着いてそうそうトイレとか悲しすぎるしな……」
 彼は呑気に鼻歌を歌いながらトイレに向かう。
 ……それを狙ったかのように一匹のネズミが現れる。
 そしてそのネズミはタイムマシンに近づいて、「ガリィ!!」という音を立て、部品の一部のネジを緩めた……



「あーースッキリした。さて……そろそろ始めるか!!」
 そんなことはつゆ知らず、テンションが最高潮の彼は緩んだネジに気づかず、テキパキとセットする。
「あーーやばい!!ドキドキしてきたーー!!10年前かーー俺の夢が決まった日に行くとか最高だな!うん!うん?なんだこいつ?」
 彼はタイムマシンに潜んでいたネズミに気がつく。
「ほら、お前はお留守番」
 ぽいっと外に出し座り直す
「さてと、それじゃあ!スイッチィィオォォーーン!!」
「発射」のボタンを彼は押してしまった


……彼は天才だった
 一人でタイムマシンを作るなど誰しも不可能だと考えていた。
 所詮、少し賢い子供の遊び。
 お前みたいな少し頭の切れる天才などいくらでもいる、と
 しかし、彼はそれに抗った。自分を信じて不可能と言われたことをまさに今成し遂げようとしていた。
 彼はまぎれもない、本物の天才だった、だから……最後の確認なんて必要ないだろ、と油断した
 最後の最後で彼は致命的なミスをしたのだ




『警告!警告!フロアA、正常に起動しません。内部装置、一部オーバーヒートしています。正常に起動しません。直ちに操縦者は席から離れてください。さらに警告します。フロアX…………』

 突然、タイムマシンから警告を出された
「あれ?おっかしーーなーー?どこかミスったかな?」
 ーー確かに俺は設計図通りに組み立てたはず。なのになぜ警告が出る?
「うーーん、これは内部のAIが狂ったな、うん」
 彼は自分のミスだとは思わなかった。
 自分は完璧だ、自分にミスなどない。不備があるとしたらそれは他人だ、それが彼のモットーだ。
 だから研究所には彼以外いない。全員彼についていけない、それか彼がクビにしたからなど理由は様々あるが置いとこう。
「んーーなんかやばそうだな。一回強制停止するか」
 高鳴った胸に横槍が入れられた気分だが、0,00000001パーセントでもタイムマシンが壊れたらおしまいだと彼には珍しい判断だった。
 ……だがそれは無意味だった
「あれ?あれ!?おい!止まんないぞ!?どうなってやがる!!」
『装置、正常に起動できません。強制停止、
「……は?」
『装置、正常に起動できません。装置、制御不可能。緊急転移します。強制停止、受諾できません。
緊急転移まで5……4……』
「ちょっ!?まっ!」
『2……1……』
 もう乗り降りるには遅すぎた。そう気がづいた時には手遅れだった。
「てーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
『……0』
 ヒュン、と音を立て装置は消えた。
 「チュー」とネズミが一匹静かな研究所に響いた。





「ん、うーーん……は!?ここは?!」
 ふと気がつくと自分は見知らぬ部屋にいた。
 タイムマシンはどこにもなく、あるのは自分でも見たことがない機械がぞろぞろと並んでいた。
「なんだ……ここは……」
 明らかに十年前なんかじゃない。時代が先に進みすぎている。
 それも十年単位のものじゃないだろうと天才の直感が叫んでいた。
「あら、こんなに早いとは驚きね」
 後ろから声をかけられ振り向く。
「えーーとあなたはーー…………誰?」
 
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