1 / 2
天才、失敗する
しおりを挟む
時はある夏の日
「ふふ、ふふふふ……」
とある研究所で一人の男が汗を滝のように出しながら不敵に笑う。
「ふふ、ふぅーーーはっはっはーー!!」
だれもいない研究所で彼の声は静かにこだまする。
それに呼応するかのように太陽が
「ついに……ついに完成したぞ!!『タイムマシン』!!」
夏の暑さを吹き飛ばすかのように彼は叫ぶ。
「思えば10年、これほど待ち望んだことはない……」
それは彼が、研究に5年、資金調達に2年、作製に3年とちょうど10年で完成した言わば「今」の彼の人生そのものだ。
「さて……のるか」
……のちに彼は後悔する。嬉しくても冷静さは欠くな、と
この時彼には様々な考えが巡っていたが、とりあえず乗ってみようと思考した。
成功にしろ失敗にしろ自分以外がタイムマシンを使うのは嫌だったのが一番の理由だ。
「……よし、10年前にセットしてっと。あっ!いちおトイレに行っとくか。着いてそうそうトイレとか悲しすぎるしな……」
彼は呑気に鼻歌を歌いながらトイレに向かう。
……それを狙ったかのように一匹のネズミが現れる。
そしてそのネズミはタイムマシンに近づいて、「ガリィ!!」という音を立て、部品の一部のネジを緩めた……
「あーースッキリした。さて……そろそろ始めるか!!」
そんなことはつゆ知らず、テンションが最高潮の彼は緩んだネジに気づかず、テキパキとセットする。
「あーーやばい!!ドキドキしてきたーー!!10年前かーー俺の夢が決まった日に行くとか最高だな!うん!うん?なんだこいつ?」
彼はタイムマシンに潜んでいたネズミに気がつく。
「ほら、お前はお留守番」
ぽいっと外に出し座り直す
「さてと、それじゃあ!スイッチィィオォォーーン!!」
「発射」のボタンを彼は押してしまった
……彼は天才だった
一人でタイムマシンを作るなど誰しも不可能だと考えていた。
所詮、少し賢い子供の遊び。
お前みたいな少し頭の切れる天才などいくらでもいる、と
しかし、彼はそれに抗った。自分を信じて不可能と言われたことをまさに今成し遂げようとしていた。
彼はまぎれもない、本物の天才だった、だから……最後の確認なんて必要ないだろ、と油断した
最後の最後で彼は致命的なミスをしたのだ
『警告!警告!フロアA、正常に起動しません。内部装置、一部オーバーヒートしています。正常に起動しません。直ちに操縦者は席から離れてください。さらに警告します。フロアX…………』
突然、タイムマシンから警告を出された
「あれ?おっかしーーなーー?どこかミスったかな?」
ーー確かに俺は設計図通りに組み立てたはず。なのになぜ警告が出る?
「うーーん、これは内部のAIが狂ったな、うん」
彼は自分のミスだとは思わなかった。
自分は完璧だ、自分にミスなどない。不備があるとしたらそれは他人だ、それが彼のモットーだ。
だから研究所には彼以外いない。全員彼についていけない、それか彼がクビにしたからなど理由は様々あるが置いとこう。
「んーーなんかやばそうだな。一回強制停止するか」
高鳴った胸に横槍が入れられた気分だが、0,00000001パーセントでもタイムマシンが壊れたらおしまいだと彼には珍しい判断だった。
……だがそれは無意味だった
「あれ?あれ!?おい!止まんないぞ!?どうなってやがる!!」
『装置、正常に起動できません。強制停止、実行できません』
「……は?」
『装置、正常に起動できません。装置、制御不可能。緊急転移します。強制停止、受諾できません。
緊急転移まで5……4……』
「ちょっ!?まっ!」
『2……1……』
もう乗り降りるには遅すぎた。そう気がづいた時には手遅れだった。
「てーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
『……0』
ヒュン、と音を立て装置は消えた。
「チュー」とネズミが一匹静かな研究所に響いた。
「ん、うーーん……は!?ここは?!」
ふと気がつくと自分は見知らぬ部屋にいた。
タイムマシンはどこにもなく、あるのは自分でも見たことがない機械がぞろぞろと並んでいた。
「なんだ……ここは……」
明らかに十年前なんかじゃない。時代が先に進みすぎている。
それも十年単位のものじゃないだろうと天才の直感が叫んでいた。
「あら、こんなに早いとは驚きね」
後ろから声をかけられ振り向く。
「えーーとあなたはーー…………誰?」
「ふふ、ふふふふ……」
とある研究所で一人の男が汗を滝のように出しながら不敵に笑う。
「ふふ、ふぅーーーはっはっはーー!!」
だれもいない研究所で彼の声は静かにこだまする。
それに呼応するかのように太陽が
「ついに……ついに完成したぞ!!『タイムマシン』!!」
夏の暑さを吹き飛ばすかのように彼は叫ぶ。
「思えば10年、これほど待ち望んだことはない……」
それは彼が、研究に5年、資金調達に2年、作製に3年とちょうど10年で完成した言わば「今」の彼の人生そのものだ。
「さて……のるか」
……のちに彼は後悔する。嬉しくても冷静さは欠くな、と
この時彼には様々な考えが巡っていたが、とりあえず乗ってみようと思考した。
成功にしろ失敗にしろ自分以外がタイムマシンを使うのは嫌だったのが一番の理由だ。
「……よし、10年前にセットしてっと。あっ!いちおトイレに行っとくか。着いてそうそうトイレとか悲しすぎるしな……」
彼は呑気に鼻歌を歌いながらトイレに向かう。
……それを狙ったかのように一匹のネズミが現れる。
そしてそのネズミはタイムマシンに近づいて、「ガリィ!!」という音を立て、部品の一部のネジを緩めた……
「あーースッキリした。さて……そろそろ始めるか!!」
そんなことはつゆ知らず、テンションが最高潮の彼は緩んだネジに気づかず、テキパキとセットする。
「あーーやばい!!ドキドキしてきたーー!!10年前かーー俺の夢が決まった日に行くとか最高だな!うん!うん?なんだこいつ?」
彼はタイムマシンに潜んでいたネズミに気がつく。
「ほら、お前はお留守番」
ぽいっと外に出し座り直す
「さてと、それじゃあ!スイッチィィオォォーーン!!」
「発射」のボタンを彼は押してしまった
……彼は天才だった
一人でタイムマシンを作るなど誰しも不可能だと考えていた。
所詮、少し賢い子供の遊び。
お前みたいな少し頭の切れる天才などいくらでもいる、と
しかし、彼はそれに抗った。自分を信じて不可能と言われたことをまさに今成し遂げようとしていた。
彼はまぎれもない、本物の天才だった、だから……最後の確認なんて必要ないだろ、と油断した
最後の最後で彼は致命的なミスをしたのだ
『警告!警告!フロアA、正常に起動しません。内部装置、一部オーバーヒートしています。正常に起動しません。直ちに操縦者は席から離れてください。さらに警告します。フロアX…………』
突然、タイムマシンから警告を出された
「あれ?おっかしーーなーー?どこかミスったかな?」
ーー確かに俺は設計図通りに組み立てたはず。なのになぜ警告が出る?
「うーーん、これは内部のAIが狂ったな、うん」
彼は自分のミスだとは思わなかった。
自分は完璧だ、自分にミスなどない。不備があるとしたらそれは他人だ、それが彼のモットーだ。
だから研究所には彼以外いない。全員彼についていけない、それか彼がクビにしたからなど理由は様々あるが置いとこう。
「んーーなんかやばそうだな。一回強制停止するか」
高鳴った胸に横槍が入れられた気分だが、0,00000001パーセントでもタイムマシンが壊れたらおしまいだと彼には珍しい判断だった。
……だがそれは無意味だった
「あれ?あれ!?おい!止まんないぞ!?どうなってやがる!!」
『装置、正常に起動できません。強制停止、実行できません』
「……は?」
『装置、正常に起動できません。装置、制御不可能。緊急転移します。強制停止、受諾できません。
緊急転移まで5……4……』
「ちょっ!?まっ!」
『2……1……』
もう乗り降りるには遅すぎた。そう気がづいた時には手遅れだった。
「てーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
『……0』
ヒュン、と音を立て装置は消えた。
「チュー」とネズミが一匹静かな研究所に響いた。
「ん、うーーん……は!?ここは?!」
ふと気がつくと自分は見知らぬ部屋にいた。
タイムマシンはどこにもなく、あるのは自分でも見たことがない機械がぞろぞろと並んでいた。
「なんだ……ここは……」
明らかに十年前なんかじゃない。時代が先に進みすぎている。
それも十年単位のものじゃないだろうと天才の直感が叫んでいた。
「あら、こんなに早いとは驚きね」
後ろから声をかけられ振り向く。
「えーーとあなたはーー…………誰?」
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした
茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。
貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。
母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。
バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。
しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる