幸福からくる世界

林 業

文字の大きさ
33 / 44
パーティーは賑やかに

1

しおりを挟む
立派な魔導具師を目指して六年。
ようやく見習いとしてそこそこの魔導具を任されるようになったハルシオです。
「んじゃあ、こっちとこっちの魔導具の制作をお願いするね」
渡された資料を受け取る。
冒険者向けの防具に、様々な付与魔術をつけること。
「魔導具師って一から剣とか作ってできるイメージがありました」
「育った村ではそういう人もいたね。とはいえ強力な分使用者の魔力を奪うんだよね。上級魔術一回分。こっちの国では魔力の平均が一般魔術十回分、上級魔術で一、二回だから後付付与の方がこの国ではあってる」
「へぇ」
「とはいえ、一度やってみようか。知り合い鍛冶職人にお願いしておこうか」
「は、あ、ドロップスのとこは嫌です。あいつなんだかんだで突っかかってくるし」
六年も国に住めば親しい友人たちも出来てくる。
前までは工房に引き篭もっていることも多かったが、数年の間に休みの日には町の子と出かけたり、誘いに来たりしている。
鍛冶としてよく出向く工房の一つに住まう子供とはよく意地の張り合いをしている。
ルーンティルたち大人から見れば、傷害沙汰になるほどではないので微笑ましく見守っている。
「仲良くなりたいんだよ」
絶対ありえないと告げるが、機材揃ってるからね。と誤魔化される。

「そういえば、魔力の補充のために貯めておくとか、魔力を貯めて、魔法を発動とかできないんですか?」
「やったことないねぇ。課題としてやってみる?」
「いいんですか?」
「いいよ。あ、一応、理論見せてから実験してくれる?爆発とかやだし。広い土地必要なら国に掛け合うからさ」
「はい!で、いたんですか?」
「うーん。僕が知る限り一度、サジの親が理論を用意して師匠が作ろうとして、作った直前で村滅んじゃったからなぁ。成否はわかんないかな」
「その理論って覚えてます?」
「新しく作るべきだよ」
「どうしても?」
「魔力消費分、サジが二、三人で足りればいいけど」
「新しく考えます」
人を犠牲にまでして作りたくないと新しく考えることにする。
「まぁ、その分助言はできるから」
「ありがとうございます」
早速頭で思い浮かべながら、必要な材料を用意する。
「そういえば、今後どうするの?独り立ちしたとき。今からでも新しい弟子を育ててもいいけど」
「弟子育てはしますよ。協会にいる子とか素質ありそうな子とか。時々、協会にお邪魔したときに、金属加工を教えていますけど出来る子も出てきましたから」
「最初に教えるってのは驚いたね。そういうものだと思っていたし」
「魔力制御代わりになりますからね。魔力持ちは楽しそうですよ」
「それで?」
「まだとりあえず師父のお手伝いは続けたいですね。最悪通いでもいいので」
「一応二十五歳を目安にしていて、その頃には十分やっていけると思ってる。それぐらいでサジ君と十年ぐらいに旅行に行こうって話をしているんだよね」
「十年。俺、俺も」
置いていって欲しくない気持ちと、一人前だからこその信頼を得た結果に、言いにくさが芽生える。
後邪魔はしたくない。
「そこからは独り立ちして頑張って欲しいんだよね。もちろん、国を出て色んなことを経験するのも弟子を取るのも悪くないと思っているけどね」
 「でも」
「後数年あるからのんびり学んでいこうね」
「は、はい」
頷きながら与えられた依頼を熟す。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます

水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。 家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。 絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。 「大丈夫だ。俺がいる」 彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。 これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。 無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!

この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!

ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。 ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。 これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。 ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!? ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19) 公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

炎の精霊王の愛に満ちて

陽花紫
BL
異世界転移してしまったミヤは、森の中で寒さに震えていた。暖をとるために焚火をすれば、そこから精霊王フレアが姿を現す。 悪しき魔術師によって封印されていたフレアはその礼として「願いをひとつ叶えてやろう」とミヤ告げる。しかし無欲なミヤには、願いなど浮かばなかった。フレアはミヤに欲望を与え、いまいちど願いを尋ねる。 ミヤは答えた。「俺を、愛して」 小説家になろうにも掲載中です。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!

黒木  鳴
BL
「これが人生に三回訪れるモテ期とかいうものなのか……?そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!そして俺はモブっ!!」アクションゲームの世界に転生した主人公ラファエル。ゲームのキャラでもない彼は清く正しいモブ人生を謳歌していた。なのにうっかりゲームキャラのイケメン様方とお近づきになってしまい……。実は有能な無自覚系お色気包容主人公が年下イケメンに懐かれ、最強隊長には迫られ、しかも王子や戦闘部隊の面々にスカウトされます。受け、攻め、人材としても色んな意味で突然のモテ期を迎えたラファエル。生態系トップのイケメン様たちに狙われたモブの運命は……?!固定CPは主人公×年下侯爵子息。くっついてからは甘めの溺愛。

ざまぁされたチョロ可愛い王子様は、俺が貰ってあげますね

ヒラヲ
BL
「オーレリア・キャクストン侯爵令嬢! この時をもって、そなたとの婚約を破棄する!」 オーレリアに嫌がらせを受けたというエイミーの言葉を真に受けた僕は、王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付ける。 しかし、突如現れた隣国の第一王子がオーレリアに婚約を申し込み、嫌がらせはエイミーの自作自演であることが発覚する。 その結果、僕は冤罪による断罪劇の責任を取らされることになってしまった。 「どうして僕がこんな目に遭わなければならないんだ!?」 卒業パーティーから一ヶ月後、王位継承権を剥奪された僕は王都を追放され、オールディス辺境伯領へと送られる。 見習い騎士として一からやり直すことになった僕に、指導係の辺境伯子息アイザックがやたら絡んでくるようになって……? 追放先の辺境伯子息×ざまぁされたナルシスト王子様 悪役令嬢を断罪しようとしてざまぁされた王子の、その後を書いたBL作品です。

処理中です...