幸福からくる世界

林 業

文字の大きさ
32 / 44
精霊たち井戸端会議

閑話休題

しおりを挟む
ぷっくりふくれたお腹を見て、ルーンティルは心配そうなハルシオを見る。
ララがにゃあとお腹が重たそうにゆっくり歩く姿。
ハルシオへと渡す。
「妊娠とかかな。それとも、なにか悪い塊かな」
不安そうなハルシオに、いい子いい子と頭を撫でる。
「精霊医師じゃないからなんとも言えないけど、単なる肥満だよ」
「えっ!太るの?」
「むしろ精霊は太りやすい。うちの子たちも地上の食べ物は数日に一回で十分。人と違って消化が遅いんだよ。けど、美味しいからってねだって来る。基本は魔力供給で問題ないよ」
「へぇ。ララがお腹空いたって言うから上げてたんだけど」
ハルシオがララのお腹を揉めば、ララが視線をそらす。
無理に合わそうとするがひたすら目をそらす。
「ま、二、三日に一回って日付決めてご飯上げて、おやつ代わりに一日一口って決めてあげるといいよ」
「わかりました!」
ララがごはーんと鳴くが、駄目とハルシオが告げる。


ララの目の前に、ジャックウィリーが現れ、ララがごはーん。と飛びつく。
「!」
ぎゃあと叫びそうな勢いで家中を走り回りだすジャックウィリー。
「あーあー」
「うるせぇえ。かぼちゃあ」
サジタリスの飛び蹴りが入り、しかしララに頭を舐められているのに気づいて、申し訳なさそうに見る。
「ララ。めっ」
ようやくララを捕まえたハルシオ。
ララはしょんぼり肩を落とす。
「ジャックウィリー。おいで」
シクシクと泣きそうな様子でルーンティルの元へと来る。
「悪いけどララに向けたダイエットメニュー考えてもらっていい?」
死にたくないと言わんばかりに必死に上下に南瓜が動く。

ジャックウィリーは言いつけるようにサジタリスを示す。
「悪かったって」
「朝帰りにはうるさかったんだねぇ」

朝帰り。浮気だ!と騒ぎそうなジャックウィリーは、サジタリスにマントを捕まれ逆さまになる。

「深夜帯にしか出ないゴースト系の討伐に行ってたんだ。この南瓜が」
がたがたと許され、ごめんなさいと謝るように、かぼちゃが揺れる。
どうやって討伐したかはまた今度聞こうと頭の片隅に置いておく。

「ララは運動を増やすとして、それにしてもハルシオは大分ジャックウィリーに苦手意識、薄くなってきたね」
「なんかね。時々朝起きるとかぼちゃが机の上にあるの。なんかもう、驚くの疲れた」
机の上にあるカボチャに思わず、名前を呼んでしまうのは此処だけの秘密。
「せっかくだから育ったかぼちゃを見せたいのか、慣れてほしいから置いているのか悩むな」
そういえばとジャックウィリーを開放しているサジタリスを見る。
「先生って、なんで、名前で呼ばないんですか?」
「呼ぶと魅了しちゃうからだよ。精霊に好かれやすい体質なんだよ」
ルーンティルが笑顔で答え、ほんと?と聞き返せば微笑みだけ帰ってくる。

サジタリスは特に返答もなく、ララを見下ろして、告げる。
「猫。ダイエットしろ。ダイエット」
ララは何も聞こえないとハルシオの膝の上に戻ってくる。

「ま、後は長い名前覚えられないってのもあるかもね」
「あー」
子供たちですらあだ名で呼んでいる上に時々、本名を思い出すのを苦労しているのを思い出す。
ルーンティルの本名すら覚えていないじゃないか疑惑が浮上している。
「あぁ。サジ。あんまり精霊に好かれると嫉妬するからね」
ルーンティルの言葉にサジタリスの頬が緩む。
「それはこっちのセリフだ。ルー」
なんだかんだで仲良しだとララと眺める。

    
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます

水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。 家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。 絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。 「大丈夫だ。俺がいる」 彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。 これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。 無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

ざまぁされたチョロ可愛い王子様は、俺が貰ってあげますね

ヒラヲ
BL
「オーレリア・キャクストン侯爵令嬢! この時をもって、そなたとの婚約を破棄する!」 オーレリアに嫌がらせを受けたというエイミーの言葉を真に受けた僕は、王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付ける。 しかし、突如現れた隣国の第一王子がオーレリアに婚約を申し込み、嫌がらせはエイミーの自作自演であることが発覚する。 その結果、僕は冤罪による断罪劇の責任を取らされることになってしまった。 「どうして僕がこんな目に遭わなければならないんだ!?」 卒業パーティーから一ヶ月後、王位継承権を剥奪された僕は王都を追放され、オールディス辺境伯領へと送られる。 見習い騎士として一からやり直すことになった僕に、指導係の辺境伯子息アイザックがやたら絡んでくるようになって……? 追放先の辺境伯子息×ざまぁされたナルシスト王子様 悪役令嬢を断罪しようとしてざまぁされた王子の、その後を書いたBL作品です。

炎の精霊王の愛に満ちて

陽花紫
BL
異世界転移してしまったミヤは、森の中で寒さに震えていた。暖をとるために焚火をすれば、そこから精霊王フレアが姿を現す。 悪しき魔術師によって封印されていたフレアはその礼として「願いをひとつ叶えてやろう」とミヤ告げる。しかし無欲なミヤには、願いなど浮かばなかった。フレアはミヤに欲望を与え、いまいちど願いを尋ねる。 ミヤは答えた。「俺を、愛して」 小説家になろうにも掲載中です。

この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!

ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。 ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。 これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。 ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!? ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19) 公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。

魔王の求める白い冬

猫宮乾
BL
 僕は交通事故に遭い、別の世界に魔王として転生した。最強の力を貰って。だから何度勇者が訪れても、僕は死なない。その内に、魔王はやはり勇者に倒されるべきだと思うようになる。初めはそうではなかった、僕は現代知識で内政をし、魔族の国を治めていた。けれど皆、今は亡い。早く僕は倒されたい。そう考えていたある日、今回もまた勇者パーティがやってきたのだが、聖剣を抜いたその青年は、同胞に騙されていた。※異世界ファンタジーBLです。全85話、完結まで書いてあるものを、確認しながら投稿します。勇者×魔王です。

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

過労死転生した悪役令息Ωは、冷徹な隣国皇帝陛下の運命の番でした~婚約破棄と断罪からのざまぁ、そして始まる激甘な溺愛生活~

水凪しおん
BL
過労死した平凡な会社員が目を覚ますと、そこは愛読していたBL小説の世界。よりにもよって、義理の家族に虐げられ、最後は婚約者に断罪される「悪役令息」リオンに転生してしまった! 「出来損ないのΩ」と罵られ、食事もろくに与えられない絶望的な日々。破滅フラグしかない運命に抗うため、前世の知識を頼りに生き延びる決意をするリオン。 そんな彼の前に現れたのは、隣国から訪れた「冷徹皇帝」カイゼル。誰もが恐れる圧倒的カリスマを持つ彼に、なぜかリオンは助けられてしまう。カイゼルに触れられた瞬間、走る甘い痺れ。それは、αとΩを引き合わせる「運命の番」の兆しだった。 「お前がいいんだ、リオン」――まっすぐな求婚、惜しみない溺愛。 孤独だった悪役令息が、運命の番である皇帝に見出され、破滅の運命を覆していく。巧妙な罠、仕組まれた断罪劇、そして華麗なるざまぁ。絶望の淵から始まる、極上の逆転シンデレラストーリー!

処理中です...