ちっちゃい仲間とのんびりスケッチライフ!

ミドリノミコト

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第一章 はじまり

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 「無事、契約できました。」
 「そのようだ。おめでとう。これでリッカもスタート地点だな。少し話があるから、私についておいで。」

 ヒイラギに頭を撫でられたリッカは嬉しそうにうなずいた。これで、スタート地点。ここから始まるのである。頭や肩、腕の中に神獣たちを携え、リッカはヒイラギについて歩き出した。
 封印の呪のおかげか、以前より心がぽかぽかとしているし、心なしか力も漲っているように感じる。それは神獣たちも同じなのか、それぞれが機嫌よさそうに運ばれていた。
 
 「神獣様の気配もうまく抑えられていて、よくできているよ。」
 「ありがとうございます。この子たちも手伝ってくれたので……」
 「そうか……いい仲間を持ったなぁ」
 「はい!」

 ぽつりぽつりと会話を繰り返していくうちに、談話室らしき部屋の前にたどり着いた。壁越しにもうっすらと会話が聞こえてきていて、そこの中に他の子たちが待機していることは分かった。契約の儀を行う前に言っていた、アズマ家、シーファ家、ストレイン家の子供たちだろう。シーファ家とストレイン家は分からないが、アズマ家はトウドウ家も交流があった気がする、とリッカは考える。基本的にリッカは裏庭で神獣たちと遊んだり、神獣たちをスケッチしたりしているので、どんな人がいるかは分からないが。
 ヒイラギがノックをして、そのまま中に入っていくので、後に続く。

 「お疲れ様。待たせたね。」
 「い、いえ!大丈夫です!」
 「あ、え、えっと、今日はありがとうございました!」
 「話って……?」

 次々に席を立ち、ぺこりと頭を下げながら口々にそう言う。リッカにとってヒイラギは畏まるべき相手ではあるが、言うなれば祖父のような存在である。あまり遠い存在ではないが、目の前の子たちにとってはそうではないのだろう。もしくは、親にそう躾けられたかだ。
 頭を上げた三人はヒイラギの後ろにいたリッカに気づいたのか、不思議そうな顔をしていた。

 「その、領主様、後ろの子は……?」
 「ああ、リッカのことか?この子はトウドウ家の子さ。今日八つを迎えたんだ。」
 「へぇ……」
 「さて、君たちには話があって残ってもらったんだが、一言伝えなければいけないことがあってね。」

 リッカに向かって鋭い視線を向けたのはアズマ家の子供だった。ピリッとした感覚に嫌な感じを覚えたのはリッカだけではなかったようで、腕の中の白虎が小さくグルル……と威嚇するように喉を鳴らした。白虎以外も、それぞれ肩や頭で警戒をしている。
 そんな様子に気づいたリッカは、一番飛び掛かっていきそうな白虎の頭を撫でて、見つめかえしたがヒイラギのその一言でその視線も外れてしまった。

 「魔獣と契約した君たちは、すでに”戦えない子ども”ではない。その力を間違えることなく、自分の進みたい道に進んでおくれ。それに、アカデミーに入るのもいいだろう。他国に行く際はヤマト出身として、礼儀正しくすごしなさい。」
 「はーい!」
 「はい!」
 「分かりました。」
 「そしてリッカ、」
 「はい?」
 「お主は他と違うことがたくさんある。それでも自分らしさを忘れずに、立派に育っておくれ。」
 「はい!」

 ヒイラギのありがたくもうれしい言葉を受け取り、その場では解散となった。行きと同じようにヒイラギの馬車に乗って帰ることになるリッカだが、帰りもまた、あの嫌な視線を受けながらの帰宅となった。
 違和感が残る。面倒くさいことにならなければいいのだが、とリッカは自宅の門をくぐった。

 「なんだったんだろう……」
 『ままにいやなめをむけてたやつ?』
 「んー、まあ、そうなんだけど。」
 『何やら不穏な気配を感じましたが……』
 『いざとなれば俺たちが守るからだいじょーぶだろ?』
 『もう、青龍はいつも軽いんだから……ま、同感なんだけど。』
 「あははっ……ありがとー、みんな。」

 今まで屋敷の外に出たことがなかったリッカは、実は今日が初めての外出だったりする。
 というのも、黄龍がいたことと、白虎たちがいたこともあり、外に出る必要がなかったのだ。加えて、外食をするでもないし、両親の仕事もあり遠くに出かけることもなかったのだ。初めての外出で、あの視線。少しショックではある。

 「ま、考えてもしょうがないか!」
 『ままげんき?』
 「うん。ありがとね、シロくん。よし、じゃあみんなスケッチさせてくれる?」
 『いいですわよ。それでお母様の気が紛れるのなら。』
 『寝ててもいいー?』
 「いいよ。じゃあ道具持ってくるから先に裏庭行ってて?」
 『お母さんと一緒に行くから待ってるよ。』

 玄武のその言葉にリッカはありがとうと呟くと、カバンに道具を詰め、部屋を出た。目指すはいつもの裏庭である。緑いっぱいのそこにころころと白虎たちを転がし、リッカはスケッチブックと羽ペンを取り出して、スケッチし始めた。
 それは空が橙色になるまで続けられ、リッカは満足するまでスケッチをすることができたのだった。


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