ちっちゃい仲間とのんびりスケッチライフ!

ミドリノミコト

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第一章 はじまり

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 中は言うほど広くはなく、陣を書いて契約ができるほどのスペースしかない。
 リッカは中央まで行くと、身に着けていたバッグを下ろし、その中から魔法陣用のチョークを取り出した。少し離れておくように神獣たちへ言い、陣を書いていく。

 『おや?見たことのない文字がありますね……』
 「これが封印の呪。これをすることで力をセーブさせるんだ。でも、僕が解札で解除すればいつでも封印は解けるから、安心して。」
 『便利なものがあるんだなぁ……青龍知ってた?』
 『俺が知るわけないだろー?玄武も朱雀もわかんないんだから。』
 「すーちゃんたちには縁のないものだからね。しょうがないよ。」

 契約の魔法陣に封印の呪を刻んで完成させる。そのまま一定量の魔力を流し込んで、一息ついた。ひとまずの準備は完了である。部屋の隅の方でころころとしている神獣たちに目を向け、声をかけた。

 「一応準備は終わったからこっちにおいで。」
 『はーい!』
 「これって全員で一気にできるのかな?」
 『理屈上は可能ですわ。』
 『お母さんは魔力量も多いから、大丈夫だと思うよ。』
 「すーちゃんとげんくんが言うなら大丈夫かな。よし、全員入って。」

 神獣の中でも朱雀と玄武は博識である。その二匹が大丈夫と言ったのだから大丈夫だとリッカは判断したのだ。四匹全員に入ってもらい、深呼吸をする。いよいよだ。怖くはないが、不安はあるのだ。失敗しないだろうか、ちゃんとできるだろうか、契約、できるだろうか。
 そんな不安が伝わってしまったのか、リッカは白虎にぺろりと手をなめられてハッとした。

 『だいじょーぶ!ままならできるよ。』
 『俺らの母さんだから自信もってー』
 『私たちもついてますから、安心してください。』
 『僕らもお手伝いするから、ね?』
 「シロくん、アオくん、すーちゃん、ゲンくん……」

 何をもって母になってしまったのかわからないが、神獣たちがそう言ってくれて心が落ち着いたような気がする。ありがとうと告げ、小型ナイフを手に取った。いざ契約である。通常ならば魔力を込めた魔法陣の上に対象の魔獣を乗せ、その状態で従魔になるか否かを問いかけ、それに魔獣が答えれば契約は交わされたことになる。余談であるが、フィラノで使われる陣と他で使われる陣は違っていて、フィラノ式は少々難しいものとなっている。
 さらに、これからリッカが行うのは封印の呪込みの契約であるため、さらに普通とは異なるものとなっていた。

 「っと、はい。みんなこれ舐めてね。」

 そう、リッカが与えたのは血液である。指を少し切り、それぞれの口元へ持っていって取り込ませたのだ。封印の呪には血液が必要なのである。より深いところでつながるため、封印の呪込みで行う契約はあまり推奨されない。しかし、繋がりが深くなるメリットは大きく、あえて行う冒険者もいはするのだ。少ないだけで。
 血液を体内に取り込ませた後は、普通の契約と同じである。あとは契約の了承をもらうだけ。

 「僕とずっと一緒にいてくれる?」
 
 問いかけの言葉はなんでもよいのだ。要は互いにきちんと契約の意味を理解していればいいのだから。大体は両親から、教師から、教わるのだが、リッカはその言葉を教わっていない。否、あえて教えてもらっていないというべきか。自分で考えなさい、という訳である。
 リッカにとって、契約は家族になるのと同じことだと思っている。故に、この言葉なのだ。神獣たちはリッカの言葉にニッコリ笑って、答えた。

 『もちろんだよ!まま!』
 『これからよろしく~』
 『ずっと一緒だよ、お母さん。』
 『まだまだ未熟ですが、どうぞ、よろしくお願いしますね。』

 快い返事。そして、心の底で目の前の神獣たちとつながった感覚。神獣たちは小さく光り、その首元にそれぞれ特徴的な首輪がまかっていた。リボン状を基本に玄武だけは鈴のついた紅白のしめ縄状の首輪になっている。神獣たちは自分の首に巻かっているものを珍しそうに見ながら満足げにうなずいた。

 『これ、いいね!』
 「苦しくない?」
 『大丈夫ですよ。』
 「じゃあ、今使ってる魔法解除してみて?」
 
 リッカの言葉に両手で丸印をし、ずっと続けていた魔法が切れた感覚がした。これはあれだろう。封印の呪で感覚も軽くつながっているからだろう。そして、神獣たちに変化はない。成功である。

 「よかった、ちゃんとできてるみたい。」
 『心配しなくても大丈夫だよ。お母さんは優秀だからね。』
 『そーだよ。かーさんはできる子?なんだから。』
 「ふふっありがと。でも、僕はまだ未熟者だよ。これから頑張るの。」

 順番に神獣たちの頭をなで、リッカは立ち上がった。解札はまた家に帰って確認すればいいことである。ひとまず成功したことをヒイラギに伝えなければと扉を開けた。

 「どうだった!?」

 心配でたまりませんと隠れてもいない表情のヒイラギにリッカは耐えれず笑ってしまった。とりあえず、首輪のついた神獣たちを見せて、その結果を報告することにする。


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