ちっちゃい仲間とのんびりスケッチライフ!

ミドリノミコト

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 「やっと起きたのね、お寝坊さん。」
 『ままおねぼうさん?』
 「寝坊じゃないよ……クロスに事情を聞いていました。」

 遅くなり、すみません。とリッカが頭を下げると別に大丈夫だと返事が返ってくる。そのまま空いていたソファに座ると、改めてサクラとセイイチ、ヒイラギは真剣な表情で向かい合った。事態は結構、深刻らしい。

 「この子達が低ランクだという噂に疑問を抱いた市民たちが、押し寄せてきているとか」
 「ああ。これはもう封印の呪が裏目に出てしまったとしか言えないな……。まあしっかりかかっているからこそなんだろうが。」
 「でもこのままじゃどうしようもありませんよ?セイイチさんも領主様も、どういたしますの?」

 結局ここに戻ってきてしまうのである。ここで外に出てリッカの従魔は神獣だと言っても、ただ混乱を生むだけである。ここは、リッカの契約した従魔が神獣であることは伏せた状態で解決することが最善策なのだ。リッカの契約した従魔は神獣である。それは、近しい存在だけが知っておけばいいものである。

 「せめて、噂の出所でもわかれば……」
 「あ、それのことなんですけど、出所の見当はついてます。」
 「何!?本当か、リッカ!」
 「はい。母様は知っていると思うんですけど、昨日のことなんですが……」

 そこでリッカはセイイチとヒイラギに昨日あったこと含め、初日にタイチから睨まれたことも伝えた。すると納得したようにうなずく。
 まさか、とは思っていたが、本当にタイチとダグラなら面倒なことをするものである。迷惑極まりない。リッカが小さくため息をつくと、その気持ちが伝わっていたのか、神獣たちが口々に言葉をこぼしはじめた。

 『ぼこぼこにする?』
 『お母様のためでしたらなんでもいたしますわ。』
 『俺らが縛って連れてきてもいーぜ!』
 『お母さんが煩わされてるの、気に入らないなぁ』
 「こらこらこら、待って待って。そんなことしちゃったらみんなが悪く言われちゃうからっめ!だよ。」

 飛び出た言葉はかなり物騒である。何気にただ、ぼこぼこにする?と告げた白虎が一番恐ろしい。リッカに寄り掛かったり、乗ったりしながら何事も無いように言う神獣たちに、ヒイラギやセイイチは心臓がきゅっと縮んだようだった。

 「それにしてもアズマ家か……」
 「何かあるんですか、父様?」
 「ま、昔からの因縁という奴かな。リッカは雨さえ降らなければ裏庭にいるから会ったことないだろうが、どうにも気に入らない。」
 「そうなんですね……」
 「アズマ家は妙にトウドウ家と張り合っているからね……性格的にも合わないのだろうさ。」

 ヒイラギまでもが、アズマ家とトウドウ家の事情を知っているということは相当なものなのだろう。サクラもこれに関しては……と言わんばかりに苦笑いしてしまっている。しかしこれに関して今長いこと話し合っていても何の解決にもならないのだ。まずは市民のことをどうするか、考えなけれなならない。
 ヒイラギもそれを考えていたのか、彼は一息ついて立ち上がった。

 「とりあえず、市民たちを落ち着けてくるよ。」
 「そうですね、お願いしてもいいですか?」
 「ああ。私が行ったほうがいいだろうしね。それからゆっくり考えよう。」
 「分かりました。」

 ヒイラギが部屋の扉を開けようとした、まさにその時。逆に勢いよく扉が開かれ、新たなる入室者が訪れたのだった。

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