ちっちゃい仲間とのんびりスケッチライフ!

ミドリノミコト

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リッカとタイチ

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 結局あの後、タイチもリッカの隣で眠ってしまい、夕飯の準備が整ったことを知らせにきたサクラに二人して起こされる結果となった。サクラは頭や肩に葉をつけた二人を笑って風呂に押し込むと、そのまま一緒に入ってこいと言わんばかりにぽいぽいと神獣やウルフたちまで入れてしまった。
 もともと一緒に入るつもりでいたため問題はないが、お腹がすいている今は風呂よりも先にご飯が食べたかったものである。

 「あの匂いからして今日はシチューかな。」
 「リッカはシチュー好きだもんな。ま、確かにトウドウ家のシチューはうまいけど。」
 「でしょう?今日は何かあったのかな?シチューってあんまり出てこないんだけど。」
 「ま、なんかあったんじゃないのか?」

 大体、トウドウの食卓は専属の料理長が請け負っているのだが、シチューだけはサクラが主体となって作るのである。主に気分がいいときや、いいことがあった時に。月に2回あればいい方なのだが、今月に入ってもう終わりだというのに今日やっと一回目のシチューの日なのだ。リッカが待ちわびていたのもうなずける。
 ふとリッカは浴槽から桶にお湯を入れると、そのままタイチへ差し出した。

 「これ、ウルフのお風呂の温度なんだけどね……これくらいだよ。」
 「え、こんなものなのか?これ、水じゃないか?」
 「水じゃないよ。僕もこれくらいの温度のに入ってるし。」
 「これじゃ身体もあったまらないだろう?」
 「十分あったまるよ。もーあっついお湯に入りたがるんだから……」

 今日はタイチがいるからとても熱いと言いながらジャブジャブと魔法で水を加えていくリッカに、苦笑いしか浮かばない。そのまま神獣たちを呼び寄せて一匹一匹洗っていくリッカを見て、タイチもそのぬるま湯になったお湯でウルフを洗い始めた。気持ちよさそうである。

 「……苦手なんじゃなくて、やっぱり熱かったんだな。」

 タイチの独り言のようなそれに、ウルフは返事をするかのように一鳴きした。





 
 「母様、今日はどうしてシチューなんですか?何かいいことでも?」

 食卓につきながらリッカは不思議そうにサクラに尋ねる。ちなみにリッカとタイチが横に並び、その二人に向かい合うようにサクラとセイイチが座っている。さらに言うならば、セイイチもサクラと同じようにご機嫌なようだった。タイチもそれに気づいたのか、首を傾げていた。

 「セイイチさんも、楽しそうです。」
 「だよね。父様もなにかあったんですか?」
 「そんなに分かりやすいかしら?」
 「まあ、母様の場合食事に表れるから分かりやすいんですけど、父様は見るからににこにこしてて楽しそうですから。」
 「参ったな……そんなに顔に出ているのか……」

 照れくさそうに頬を掻くセイイチだが、やはり楽しそうというか、嬉しそうというか。しびれを切らしたリッカがぶすっとむくれてシチューを口に入れると、おかしそうにサクラもセイイチも笑い始めた。何がおかしいのか、とさらに機嫌が降下する。

 「すまないすまない。いやなに、今日サクラからいいことを聞いてしまったのでな?」
 「……いいこと?」
 「なんでもタイチくんもリッカと同じロアのアカデミーに行くのでしょう?スミレちゃんから聞いたのよ!離れた土地でもしっかり者のタイチくんがいるなら安心ねって思ってたの。それに、これからも二人が仲良くしてくれるなら、私も遠慮なくスミレちゃんと仲良くできるじゃない!」
 「……なるほどね。」
 「そ、そういうことですか……」

 要約するなら、リッカの進学にタイチが一緒でよかった、というところだろうか。それを本人の前で言う親も親だが、薄ら笑みを浮かべる息子も息子だろう。リッカは居心地悪そうに顔を隠すタイチに向かってニヤリと笑みを送った。

 「ごめんね、僕の両親が。」
 「そんなこと一ミリも思ってないくせに……」
 「いやいや、ちょっとはちゃんと思ってるから!」
 『ままいっつもタイチであそんでるよね!』
 「こら!人聞きの悪いこと言わないの!」

 ぴょんっとリッカの膝の上に乗っかってきた白虎に対して、咎めるような声を出すもののそれは本気の声ではなく、じゃれているようなものだ。
 そんなリッカを見るサクラとセイイチの双眸は優しいもので、リッカがいかに二人に愛されているのかタイチは言葉できかずとも理解してしまった。否、理解せざるを得なかった。

 (セイイチさんはいい人だ。だというのに俺の父さんは……)

 よくも悪くも何事にも厳しいサイガとセイイチはいわば育児に関して正反対と言えるだろう。他の目線から見ても子供を愛しているとわかるセイイチが父親であるリッカが、タイチは少し羨ましく思うこともあった。交流が深まるにつれて、よく思うようになった。
 しかし、そんな思いを知っているのか、セイイチもサクラもタイチのことを同じ息子のように扱ってくれたのだ。あれだけ、失礼な態度を取ったというのに。だからそんな二人にタイチは頭が上がらない。くすりと一つ笑うと、タイチは誰にでも聞こえる声で言った。

 「ちゃんとリッカからは目を離さないようにします。目を離すとすぐいらないことに首を突っ込むから……。俺の方こそ不束者ですがよろしくお願いします。」
 「……タイチ、」
 「なんだ?」
 「それ、お嫁に来る台詞みたいだよ?」
 「……はあ!?」

 真面目に言ったつもりだったそれをまたも真面目な顔をして返すリッカに、サクラもセイイチも声を上げて笑った。彼ら二人、上手く過ごしていけそうである。
 

 
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