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リッカとタイチ
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しおりを挟む「あ、おいこいつは人見知りが激しく、て……」
「大丈夫。ほらね?」
リッカがふんわりと笑ってそう言うと、二号はチョロチョロと出していた舌でリッカから差し出されていた手を舐めた。その後、するりするりとカガチから身を乗り出してリッカの腕に移動するとそのまま気に入ったとばかりに首元まで移動し、頬ずりし始めたのだった。
「なん、はあ!?」
「リッカの体質です。魔獣に好かれるみたいで……」
「好かれるっつっても程があるだろ……相手は神の名を冠する蛇神だぞ……」
「リッカが契約しているのも神獣ですよ、もう忘れましたか?それに、聞いた話ではリッカは黄龍から神獣たちを頼まれたようですから。」
「……なんてやつだ。何でもありだな……。」
そんな会話を交わす目の前で、まだリッカは二号と戯れている。少し白虎や青龍が……否、神獣たち四匹と何故かウルまでもが不機嫌になっているようだが問題はないようだった。ふと魔力適正を調べる魔法具のある方を見れば、もうすでに半数以上が調べ終わっているようで、談笑している者も多い。
一通り満足したのか、リッカはカガチの方へ二号を返すと一つ息をついた。
「さて、僕らもそろそろ並ばないと。」
「ああ、そうだな。じゃあカガチさん、またあとで。」
「おう。実技試験楽しみにしていてくれよ。」
「楽しみって……仮にも試験だよ?」
リッカの言葉にカガチは笑いながら早く行けと言う風に追い払う仕草をした。踵を返して魔法具の方へ向かえば、その時点で残りはすでにリッカとタイチのみ。ずいぶん時間が経ってしまったらしい。周りの受験生はどういう訳かリッカ達の結果を気にするように遠目に見ている。
先を進めるようにタイチの背を押し、リッカはウエストバッグから受験票を取り出した。
「俺が先か?」
「うん。僕どんなふうになるのか見たいし。」
「まて、実験台ってことか!?」
「いやいやそんなまさか。さ、ほら早く。皆を待たせちゃってるからさ!」
「……はあ、まあいいが。」
初めに受験票を左に置き、右に両手を添え魔力を流し込む。魔法具はうまく発動したようで、魔法陣は紅色に黄金色が混ざったような色の光を発し、受験票に集約した。驚いて手を放し受験票を覗き見るとそこには火属性、光属性の文字があった。
「火属性と光属性だ。」
「適正二つ?すごいね。しかも一個は光属性かー……意外。」
「意外ってなんだ意外って。俺に失礼だろ。」
「だって光属性だよ?唯一回復魔法使える属性じゃん。タイチ、攻撃重視っぽいもん。」
「……否定はしない。」
何事も無かったかのように二人は言うが、通常人間の魔力適正は一つであるため割と珍しいことではあるのだ。先にカガチが言ったように魔力適正が仮に火属性だったからと言って火属性のみしか扱えないわけではない。簡単に言うなら適正値が高いというだけである。鍛えると安定して扱えるのが魔力適正として現れるのだ。イコール、鍛錬をしなければいくら魔力適正として現れても成長はしないということ。
そして、魔力適正が二つ出たものは二つの属性の魔法を安定して扱えるということであり、軍や国で重宝されやすいのである。
「ほら、俺のことはいいからお前もやれよ……」
「うん、そうするね。」
ほいほいっと受験票を置き、慣れた手つきで魔力を流し込む。今度は魔法陣に白銀の光のラインが走ったかと思うと、そのまま辺り一面を包み込むような発光をし、同じように集約した。何が起こったのか、リッカにも分かりかねているようでぽかんとしているが、だからと言ってタイチに振られても分からないのだ。何せ魔法具には明るくない。光に気づいたカガチがこちらに来てくれているようだが、それよりも前に神獣たちが答えを教えてくれた。
『お母様、受験票を見てください。』
「受験票?あ、適性が出てる……」
『さっきの光はお母さんの魔力が強すぎて、魔法具が暴発しかけたんだ。まあ幸い爆発はしなかったけど……』
「え、こわっ……そんなにやばい状態だったの?」
『まあお母様の魔力は神獣である私たちに近いものがありますから。』
「ふうん……」
リッカは理解できたような、納得がいったのか何とも言えない返事をし、受験票をじっくり見た。
「……全属性、って」
「……ま、リッカならそれくらいやると思ったけど。」
「えー……うーん。まあ、不便はないしいっか……。」
「二属性持ちよりはるかに珍しい全属性を不便がないからいいって……流石リッカ。」
『母さんはそういうところあるからなー。』
今更だが、属性は遺伝ではない。完全に生まれ持ったものであるため、その属性は本人の能力に依存する。よって、両親が複数持ちだから上手いこといって全属性持ちになったというのはあり得ない。だからこそ、全属性持ちは滅多に生まれないし、そう簡単に生まれるわけがないのだ。簡単に言うなれば全属性持ちと言うのは全属性に対して適性があるということなので、二属性持ちのように重宝されるどころの話ではない。
現に、カガチが驚きで固まりすぎてしまっている。周りの受験生には幸い聞こえていなかったようなので混乱は起きていないが、それも時間の問題である。
「……とことん規格外なやつだな。」
「うるさいやい。もういいでしょ?これでみんなの適性チェック終わったよ?」
「まあいいが……よし、これでみんなチェックはすんだな?それじゃあ実技試験に移行する。とりあえずみんな端っこに寄ってくれ。」
そう言って受験生たちを部屋の端っこの方へ誘導すると、カガチは実技試験の説明をし始めた。
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