ちっちゃい仲間とのんびりスケッチライフ!

ミドリノミコト

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第二章 アカデミー 入学編

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 「……は?」

 まるでそうだろう、と馬鹿にされているような視線を受けリッカは不愉快そうに声を発した。そもそもこいつは誰だとリッカの瞳が物語っている。それに気づいたタイチがさりげなく小声で昨日の奴、と告げると納得したようにああ、と声をもらした。

 「ルーベン、言いがかりはやめるんだ。確証のないことをペラペラと口にするんじゃない。そして彼らにも失礼だ。」
 「だが事実だろう!カガチ先生の数少ない同郷ともなれば、是が非でも合格させたくなるさ!それにしきたりだぁ?そんなことしてる国があるわけがない!なぜなら八つともなれば従魔契約に身体が耐えられないからな!そこのチビが連れているのは四体……もっとマシな嘘をつけ!!!」
 「ルーベン!言葉を慎め!それに、仮に従魔じゃないとして、野良の魔獣は人に決して懐かない。そこはどう説明するつもりなんだい。」
 「誰かの従魔でも借りているんだろう。ああ、ママの従魔か?かっこわりっ!?」

 ルーベンが最大限馬鹿にしたように言っている途中でルーベンに向かって突撃してくる何かがいた。もちろん、リッカの従魔である白虎である。今回白虎だけがすぐに動ける位置にいたのだ。今まではそこまでひどくもなく明確な悪意があるわけでは無かったからすぐに飛び出すこともなかったが、今回は違う。どこからどう見てもリッカ達を貶しているし、良い感情が見当たらなかった。だからこそ、白虎が飛び掛かったのだろう。

 『お前、噛み千切るよ?』

 ドスリと体当たりをし、ルーベンを下敷きにしながら白虎は言う。とはいってもルーベンには白虎が何かに怒って牙をむき出しにしているようにしか見えないのだが、その愛らしい容姿に反して溢れ出る怒気に訳もなくカタカタと震え始めた。白虎の牙がルーベンの首に今にも届かんとしたとき、白虎のその身体はぴたりと動きを止めた。

 「<ダメだよ、白虎。>」

 リッカが言霊を使ったのだ。言葉に魔力を乗せ、従魔の自由を縛るもので滅多に使わないのだが、勢いのままに噛み千切ろうとする白虎を止めるにはこれしか方法が無かった。
 白虎が不満そうに顔をゆがませ、抗議の声を上げる。

 『流石に限界だよ、まま!!!』
 「こんな奴にシロくんの牙を汚させるのがもったいないの、分かって?許可も出してないよ。それに、やるなら僕がやる。」
 『白虎、引きなさい。滅多に本気で怒らないお母様が怒ってるんですよ。私たちはお母様が願った時に力を貸すのです。』
 『戻っといで、白虎。君の気持もよくわかるけど、今は我慢の時。きっと機会はやってくる。』
 『おら、早くこっちこーい。母さんはそいつの近くにもいてほしくないみたいだぜ?』

 青龍の言葉に白虎ははっとして勢いよく飛び上がりルーベンから避けると、リッカの足元に急いで戻った。威嚇をし続けることは忘れないが、さっきのように我を忘れているわけではない。タイチとウルもムカついてはいたが、白虎の豹変に驚いて呆然としていた。ベルもリリーも同様に、である。

 「あのさぁ、言いがかりもいい加減にしてよ。人の実力も見抜けない奴に向上なんて見込めないの、分かる?大体何、今の見て分かったよね?僕シロくんに言霊使ったんだもん、僕の従魔ってわかったでしょ?正真正銘この子達は僕の従魔、あの子はタイチの従魔、自分が従魔持ってないからって嫉妬とかみっともないね。」
 「う、ぐ……」
 「贔屓でトップになれるくらいこのクートベルアカデミーは落ちぶれてんの?違うでしょ?僕らはアカデミー長から直々に指示をもらってここにいるの。今後変なこと言うならアカデミー長も貶すことになるけど、覚悟しておいてよね。」
 「な、なん……アカデミー長、だと……」
 「あーあ、せっかく見逃してたのにわざわざ自分から突っかかってくるなんて、馬鹿にも程がある。」

 リッカの強烈な言葉にぐうの音も出ないようだった。ルーベンは悔しそうに眉を顰めると、自分の取りまき達のグループを見つけ、そちらの方に逃げて行った。はあ、と大きくリッカはため息をつくと、ちらりと周りを見る。いつの間にがギャラリーが増えていてクラスメイトもほとんどいるようであった。

 「うわ、こんなに増えてたの?」
 「ルーベンが一人芝居し始めた頃からな。増えているな、とは思っていたが俺はその後の……シロの行動に驚いていたから正直ここまで増えているとは思わなかったが。」
 「……言っていいんだよ?隠してるわけじゃないし。」
 「いや、さらにうるさくなりそうだからな。人の多いところではお前たちが許してくれるならそう呼ばせてもらいたい。」

 そう言ってタイチは神獣たちと目を合わせた。彼らももう長くずっと一緒にいるタイチならと快く首を縦に振る。

 『タイチならいいよ!それに、いつもその呼び方ってわけじゃないし!』
 「そうか、ありがとう。」
 『他の奴だったら勘弁だけどなー。』
 「……みんなも、怒ってくれてありがとね。あれはもう僕が言い返したかったからさ。それに、また何かあると思うんだ。その時はもう……容赦しない。」

 もう先ほどまでの怒気が消えたリッカがそう口にする。神獣たちは容赦しない、と告げたリッカの声がとてつもなく冷たく、冷気を帯びていたことに多少驚いているようだったが、つまりは今度何かあれば神獣たちにも力を借りるから、ということだろうということに気づき、大きくうなずいていた。
 剣呑な空気も消えたところでリッカは後ろから気配もなく目隠しをされた。

 「……ノア?」



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