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依頼消化編
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しおりを挟む「や、おはよう。」
アカデミー長、ジルへの報告を終えてノアから実践授業……要するに依頼の説明を受けた翌日。リッカ達は朝早くにアカデミーの中で一番大きいであろう外門に集合していた。少し遅れてノアが到着したのだが、いつも着ているきっちりした服ではなく動きやすそうな服装になっており、これから外で活動するのだと実感させてくれる。かく言うリッカ達……あまり服に頓着しないリッカはいつも通りの服装だが、タイチはいつもの和装ではなくパンツスタイルになっていた。
「おはよ、ノア。」
「おはよう、ノア。」
「うん、時間通り。二人とも朝は強いんだ?タイチくんはともかく、リッカくんは意外かも。」
「いや、リッカは朝めちゃくちゃ強いぞ。」
「あ、そうなの?」
「夜は弱いけどな。」
「ちょっと、僕のことはいいからさっさと行くよ!」
捨て台詞のようにそう言葉を吐くとリッカは何かを紛らわせるかのようにフェリに乗った。すでに神獣たちは定位置に移動しており、準備は万端である。ノアとタイチもごめんごめん、と謝る気があるのかないのか分からないようなテンションでウルに跨った。フェリよりも体格が大きいウルはノアとタイチの二人を運ぶ役割を担っている。
フェリよりも大きくなったウルに乗っているので必然的にリッカよりも高い位置にいる二人だが、リッカに対する腰は相当低くなっている。機嫌を直そうとしてくる二人に、リッカは思わず吹き出してしまった。
「面白いからそれやめて。」
「リッカくんの機嫌を直そうとしてるのに面白いってひどいね?」
「もうそれはいいから!早く先導してよ!」
「あははっ、ごめんごめん……よし、ウルくんとフェリくん、ここの大きな道を北西に行ったところに街があるんだ。まずはそこに向かってくれるかい?」
ノアの言葉に素直に頷き、フェリとウルは駆け始める。中々のスピードが出ており、ノアは少しばかり驚いているようだった。ちなみに、ノアの従魔であるノーツとルキはノアとノアの前に座っているタイチの間に座っており、落ちないようにバランスを取っている。ローリアはタイチの胸ポケットに入っていた。
本日の依頼、というのも依頼はギルドから学校を仲介して生徒に出ているものであるので基本的にどこかの街、ないし村から出ているものである。なので、概要自体は依頼を受けるときに確認するが、詳しい内容は依頼を出している街や村に行って聞くことになる。それ自体は昨日ノアから聞いていたし、だいたいどんな依頼なのかも聞いているから不安自体は少ないのだが、やはり初めての場所に行くというのはわくわくするもので、柄にもなくリッカははしゃいでいた。
「どんな魔獣がいるのかな?」
『私たちがもともといたヤマトの国とは全然違いますからね。フェリと出会った森はそんなに魔獣もいませんでしたし。』
『いなかったって言うか、多分フェリがいたから周りに寄り付かなかったって感じかな。それにあの時はイレギュラーもあったし。』
「突進牛の印象が強すぎてよく覚えてないんだよね。他にもいっぱいいた気がするけど。」
『楽しむどころじゃなかったよ……、ままは飛竜に向かってくしさぁ。』
「ごめんごめん、でも何とかなったでしょ?」
『それは結果だろー!?もしかしたら怪我してたかもしれないんだぜー?』
青龍の言葉に他の神獣たちや、リッカ達を乗せているフェリまで頷いている。たまたま気に入られたからよかったものの、何かの拍子に逆鱗に触れればどうなっていたかは分からない。
しかしリッカにはあの時、攻撃はされないだろうと妙な確信があった。
「こーちゃんからもらった鱗で作った耳飾りがあったから、多分攻撃はされなかったよ。」
『その自信は何処から来るんですか!』
「だって、こーちゃんがこれはきっと僕を守ってくれるものだからって言ってたからね。」
『……黄龍様がそう言ってたの?』
「うん。だから大丈夫だって思ったんだ。」
反論したいが、黄龍の鱗があったからと言われてしまえば何も言い返せない。うぐうぐと唸る玄武や朱雀にリッカは一つ笑みを零して言う。
「それに、ゲンくんの防護結界だって僕は信じてるから。」
『……僕の防護結界にも限界はあるんだよ?それでも、信じてるの?』
「それでもだよ。カイくんにも負けないくらい、すごいの張ってくれるでしょ?」
『う~~~~……そんなこと言われたら何も言えないじゃないか……。』
『でもよ、母さんはあの時、俺たちにこっちにくんなって言ってたじゃんかよー』
「それは、まあ……あれだよ。……ね?」
形勢逆転の一言と言わんばかりの青龍の言葉に今度はリッカがたじたじになってしまった。しかし、もはやこんな言い合いをしていても事はとうにすんでしまっていることだ。リッカの反応がおかしかったのか白虎は声を上げて笑い出し、朱雀や青龍、玄武も噴き出すように笑い始めた。ついて行けていないのはフェリだけである。
「ちょっとー……そんなに笑うことないじゃん……。」
『んふふっ……今度からお母様にはリードかなにかをお付けしておかないとですね。』
『そりゃあいいや!そしたら突っ走ることもないだろうしな!』
『まま首輪付けられちゃうの?』
「い、いやいやいや、それはちょっと困るよー……」
神獣たちの間で進んでいく恐ろしい計画にリッカは身震いする。それも余計に面白さを助長さたのだろう、神獣たちの笑い声はとどまることが無かった。
唯一、その笑い声が気になりすぎたフェリがしびれを切らしたようにちらちらとリッカの方を振り返っていたことくらいだろうか。
『ねー、みんなでなにはなしてるの?たのしそう……』
そんなフェリの問いは神獣たちの笑い声で誰にも届くことはなかった。否、リッカは聞こえていたのだろうが頭を一撫でするだけに留まった。フェリまで話に加わり始めたらたまったもんじゃない、そんな一心だろう。
そして、フェリの横を走るウルの上に乗っている二人だが、
「……リッカくんたち、楽しそうだね。」
「そうだな。……まあ機嫌も直ってるみたいだし良いんじゃないか?」
「しかし、リッカくんは本当に従魔たちに弱いんだねぇ……あんなこと僕らが言ったら即機嫌を損ねちゃうよ。」
「リッカは魔獣贔屓だからな……。」
「それで片付かない気もするけど……。」
フェリの上のリッカや神獣たちの楽しそうな様子に二人はため息をついていた。
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