1 / 5
1
しおりを挟む「…どうしよう、迷ってしまった」
そう走りながら黒髪を腰まで綺麗に伸ばした、美少女のような、美少年の姫氏原雪白は呟き。
自分を犯し殺そうとする相手から逃げる為に、迷い込んだ山奥の中で。自分が完全に道を失ったという事を、悟り。
「はあぁ…ほんとどうしよう、無事生きて帰れるのかな?」
と小さく呟きながら『まだ望みはあるはずです』と願うように…。
「いえ、こんな事を思ったらダメだ。そうだよね可愛いふくろうさん、狐さん、ジャガーさ…ん?」
「ってジャガー!? わわわわ逃げないとっ!!」
雪白は自分を心配して集まる可愛らしい動物と一緒に突如現れた、金のような銀の髪を持つ、肩まで伸びたクセのある髪に黄色と黒のまだら模様の獣耳が生えている、背筋が凍りつくほどの絶世のワイルド系美青年に驚き。
大きく叫びながら、うさぎのように逃げ出そうとすれば。
「おいっ…何故逃げる?」と獣耳青年に強く言われ、雪白はその言葉に。
「あわわわわわわっ…助けて紫士兄さん私、心の臓をえぐりだされて、食べられるんだ」
と自分の死を感じて、ここには居ない兄に助けを求めると…。
「なっ…そんなことはまだしない。だが確かに、お前は美味しそうではあるな」
雪白の言葉に男はそう言いながら、怯える雪白をゆっくりと抱き寄せて、優しくお姫様抱っこをするので…。
「…やっぱり、もうダメだ…。私はこんな場所で終わる夢の住人なんだ」
「だから、そうはやまるな!! せっかく良い匂いがするのに、そう喚くと匂いが嗅げないだろう?」
「へぇっ…匂い?」
雪白は男の発言に驚いたように言い返しながら、自分が知らぬ間にお姫様抱っこをされている事に気がついて、あたりをちらちらと見つめれば。
「そう匂いだ、お前の匂いはとても落ち着く…癒される」
「そうなんですか? 良い匂いか…うーん、私ではわからないですけど。よく動物さんたちに好かれるから、よほど良い香りなんですかね」
「それは…もうたまらなく良い香りだ。だから、俺の双子の兄貴が管理する地に無断で入ったお前を殺さずに、ちゃんと帰してやろう」
男は物騒な発言をしながらも、何処か戯れるように言い放つので。
「ほぎゃっ…まさか殺す気あったんですか!!」
「…少しはあった、だが今はない。そんな事よりお前の名はなんだ」
強く言い放ち、男は抱きかかえた雪白を抱えて飛び上がり。
星空で輝く夜空を背にして、何処かの神話の神々のように空を舞いながら…。
「…沈黙は死に繋がるぞ。生きて帰りたければこの俺、テスカトルに名を告げる事だな」
「そんな風に脅さないでくださいよテスカトルさん。私の名は姫氏原雪白です。気安く雪白とよんでください」
「雪白かっ…お前に似合いの名だ。そして、俺の名前とも似合う名でもある」
「?」
テスカトルはそう何処か照れくさそうに呟きつつも、鬱蒼と生い茂る森の上空を鳥のように飛ぶので。雪白はこの現状に驚きながらも、内心では…。
0
あなたにおすすめの小説
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる