激しくしても良いのに

面蛸とおる

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相思相愛の鏡と姫

1 (天然受け)

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夕暮れの空はどこか憂いをおびていて、ふと見上げる度に…。
どこかもの悲しく、そして悲劇的なこの星の終わりのようだと感じてしまい。

私は(この世界では、そんな終わりは永遠に来ないのに…何故、最悪な夢の出来事を感じてしまうのでしょうか?)と脳裏に思い浮かべて。

焦げ茶ベースのブレザーに緑のネクタイをあわせた、学生服姿の自分を。
人々で賑わう街角にひっそりある、妖しげな民族品のお店の大きな姿見にうつして。

腰まで伸びたさらさらとしたストレートの黒髪に、大きなサファイアのような瞳と性別を越えた愛らしくて美しい、まるで物語の主人公のような容姿を。

道行く人々は、

「何あの子? 超絶美人じゃん?というか白雪姫っぽいよね」
「だな、でもあの制服…男子制服じゃね?」「まじかよ!! あれで男!? 嘘だろう?」

と生まれた時から何度も言われ続ける、この見た目についての言葉を嬉しく、そして憎く思いながら。

テスカテスカよ…この世界で一番美しいのは誰かしら?」とお伽話の悪の女王の問いかけを口にだして。

「それは、雪白…姫氏原雪白…」というここには今居ない鏡の男テスカトルの返答を夢見て目を閉じれば。

「それは…秋津志摩だ。お前も愛らしくて美しいが、秋のがそれを越えて愛らしい僕にとってはね」

そう思っても居ない相手の返答が後ろから聞こえてきて、私は振り返れば。

嗚呼そこには鏡の男の甥でありながら、私の従兄弟の恋人でもある。
金のような銀の髪と紫と赤の瞳を持つ、ミステリアスでどこか恐ろしさもあるテスカトルさんに少し似ている、美青年のランゼルトさんが居たので。

「そうですね…秋兄さんには叶いませんね」

「嗚呼、そうだ秋津志摩には叶わないが、これはあくまでも僕の意見だがな」

「…ランぜルトさんったらほんと、秋兄さんのことだけが大好きなんですね。テスカトルさんも少しは見習って欲しいぐらいです」

「テスカトル様が僕を見習うだと…そんな恐れ多いことは無理だな、あの方は確かに僕の叔父にあたる方だが…この星の管理者なんだぞ。あの方の気分次第でこんな星なんて簡単に崩壊させれるのだから」

ランゼルトさんは落ち着いた声音で物騒な事を言うので、私はそんな事ないですと言うように。

「ですが、テスカトルさんはそんな事なさいません!! あの方はとてもお優しいかたですもの」

「それはどうだろうか? 雪白様に何かあれば、どこまでも恐ろしくなるとは思うぞ。あの方はここから離れた土地に居たときは、創造と破壊をもたらす管理者としていたのだから」

「…」

私はランゼルトさんの返答に何も言い返すことが出来ず、狩人に追われた物語の主人公のように。

彼から聞かされる言葉から逃げるように、路地を走りだして。


小さなお家とはかけ離れているが、心安らぐ生まれた時から変わらない我が家へと急ぎ足で向かった。

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