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第一話 転生悪役令嬢は男装の騎士となる
02-2.
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「いいえ。これ以上、成長されてはたまったものじゃないわ」
アデラインは二十一歳になった。
母親の豊満な体型が遺伝したのだろう。
騎士として多忙な日々を送っても、過度な鍛え方をしても、なぜか胸だけは大きいままだった。両親の家系を遡っても、胸の大きさに恵まれた女性ばかりの為、こればかりはどうしようもないだろう。
しかし、胸も鍛えることはできる。
大きさは変わらなかったが、胸の形を整える為の下着を外しても、胸の肉が動くことはなく、そのままの状態を維持することができた。
「ご立派ですものね」
エリーは慣れた手つきでアデラインを着替えさせながら、思わず、視線をアデラインの胸に向けてしまった。
さらしから透けて見えないように純白の下着に取り換え、慣れた手つきでホックをはめる。そして、その上からさらしを巻いていく。
「私としては、小柄なものでありたかったのですけどね」
アデラインはため息を零す。
騎士になる為の条件の一つであったとはいえ、男装をするのには胸を隠すのが大変である。誰かに男装をしていることがばれてしまえば、父親の決めた婚約者と結婚をすることになっていた。
「エリー、今日は念入りにしてくださる? メルヴィン様と接する時間が特に多いでしょうから」
「お嬢様。これ以上、圧迫はされない方が良いかと思いますが……」
「かまわないわ。容赦なく、してちょうだい。あの方に正体をばれるわけにはいきませんのよ」
アデラインの覚悟は決まっていた。
それに気づき、エリーは深呼吸をする。
「かしこまりました、お嬢様。思いっきり、きつく巻きます。途中で苦しくなったら、すぐに医務室に逃げ込んでください。それから、さらしを緩めてくださいね。エリーと約束をしてくださいね」
エリーの提案はアデラインの望みを叶える為のものだ。
しかし、胸を圧迫し続けるのにはリスクがでる。当然のようにコルセットもいつも以上にきつく締めることになる為、呼吸困難や体調不良になりやすい。
「ええ。そういたしますわ」
アデラインは結婚をしたくなかった。
女性嫌いで有名な騎士団長の嫁になっても冷遇されるとわかっていながら、嫁ぐ勇気がなかった。
アデラインは二十一歳になった。
母親の豊満な体型が遺伝したのだろう。
騎士として多忙な日々を送っても、過度な鍛え方をしても、なぜか胸だけは大きいままだった。両親の家系を遡っても、胸の大きさに恵まれた女性ばかりの為、こればかりはどうしようもないだろう。
しかし、胸も鍛えることはできる。
大きさは変わらなかったが、胸の形を整える為の下着を外しても、胸の肉が動くことはなく、そのままの状態を維持することができた。
「ご立派ですものね」
エリーは慣れた手つきでアデラインを着替えさせながら、思わず、視線をアデラインの胸に向けてしまった。
さらしから透けて見えないように純白の下着に取り換え、慣れた手つきでホックをはめる。そして、その上からさらしを巻いていく。
「私としては、小柄なものでありたかったのですけどね」
アデラインはため息を零す。
騎士になる為の条件の一つであったとはいえ、男装をするのには胸を隠すのが大変である。誰かに男装をしていることがばれてしまえば、父親の決めた婚約者と結婚をすることになっていた。
「エリー、今日は念入りにしてくださる? メルヴィン様と接する時間が特に多いでしょうから」
「お嬢様。これ以上、圧迫はされない方が良いかと思いますが……」
「かまわないわ。容赦なく、してちょうだい。あの方に正体をばれるわけにはいきませんのよ」
アデラインの覚悟は決まっていた。
それに気づき、エリーは深呼吸をする。
「かしこまりました、お嬢様。思いっきり、きつく巻きます。途中で苦しくなったら、すぐに医務室に逃げ込んでください。それから、さらしを緩めてくださいね。エリーと約束をしてくださいね」
エリーの提案はアデラインの望みを叶える為のものだ。
しかし、胸を圧迫し続けるのにはリスクがでる。当然のようにコルセットもいつも以上にきつく締めることになる為、呼吸困難や体調不良になりやすい。
「ええ。そういたしますわ」
アデラインは結婚をしたくなかった。
女性嫌いで有名な騎士団長の嫁になっても冷遇されるとわかっていながら、嫁ぐ勇気がなかった。
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