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第一話 転生悪役令嬢は男装の騎士となる
06-35.
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「君のすべてを手に入れたいと思ってしまった」
メルヴィンの言葉をアデラインは黙って聞いていた。
……変わられたわけではないのでしょうね。
婚約者に執着心を抱くようになるとはメルヴィンも思っていなかっただろう。しかし、元々、その素質はあった。名前も知らない初恋の女性に想いを寄せ続け、彼女でなければ結婚をしないと主張し続けていたのも、執着には変わりはない。
メルヴィンは自覚をしていなかった。
だからこそ、婚約を白紙に戻さないまま、初恋の女性を探し続けていた。
「奪われたくなかった。その為には、手段を選んでいる余裕など、俺にはなかった。それだけだ。アデラインの気持ちを尊重しなかったのは悪かったと思っている」
メルヴィンの暴走は強い執着心によるものだ。
それを自覚していない。
……あの時も同じだったのでしょうか。
アデラインは前世の別れを思い出す。
死に際に手に入れてしまった義妹宛の手紙をメルヴィンは大事に持っていたのだろうか。
アデラインは死地に旅立った後のことを知らない。
今後も知ることはない。
だからこそ、あの時のメルヴィンの表情を忘れることができなかった。
「メルヴィン様」
アデラインはメルヴィンを拒絶しない。
酷使したことにより体が痛むことを悟らせないように、アデラインはメルヴィンに腕を伸ばした。
「私、ずっと、メルヴィン様をお慕いしておりましたのよ」
アデラインは恋心を口にする。
長い間、口にすることさえもできなかった言葉を口にするだけで胸が高鳴る。
「私の愛をメルヴィン様にさしあげますわ」
アデラインはメルヴィンを抱きしめる。
性行為の後、意識を手放したアデラインを介抱したのはメルヴィンだろう。ドレスを着せられてはいたものの、ところどころ、皺になってしまっている。
ドレスのまま、ベッドに横になるなどありえない。
エリーがその場にいたのならば、絶叫していたことだろう。
「……嫌ではないのか。俺は君の意思を尊重できないような男なのに」
メルヴィンはアデラインの抱擁を拒めない。
それを享受してしまう自分自身を簡単に許すこともできなかった。
メルヴィンの言葉をアデラインは黙って聞いていた。
……変わられたわけではないのでしょうね。
婚約者に執着心を抱くようになるとはメルヴィンも思っていなかっただろう。しかし、元々、その素質はあった。名前も知らない初恋の女性に想いを寄せ続け、彼女でなければ結婚をしないと主張し続けていたのも、執着には変わりはない。
メルヴィンは自覚をしていなかった。
だからこそ、婚約を白紙に戻さないまま、初恋の女性を探し続けていた。
「奪われたくなかった。その為には、手段を選んでいる余裕など、俺にはなかった。それだけだ。アデラインの気持ちを尊重しなかったのは悪かったと思っている」
メルヴィンの暴走は強い執着心によるものだ。
それを自覚していない。
……あの時も同じだったのでしょうか。
アデラインは前世の別れを思い出す。
死に際に手に入れてしまった義妹宛の手紙をメルヴィンは大事に持っていたのだろうか。
アデラインは死地に旅立った後のことを知らない。
今後も知ることはない。
だからこそ、あの時のメルヴィンの表情を忘れることができなかった。
「メルヴィン様」
アデラインはメルヴィンを拒絶しない。
酷使したことにより体が痛むことを悟らせないように、アデラインはメルヴィンに腕を伸ばした。
「私、ずっと、メルヴィン様をお慕いしておりましたのよ」
アデラインは恋心を口にする。
長い間、口にすることさえもできなかった言葉を口にするだけで胸が高鳴る。
「私の愛をメルヴィン様にさしあげますわ」
アデラインはメルヴィンを抱きしめる。
性行為の後、意識を手放したアデラインを介抱したのはメルヴィンだろう。ドレスを着せられてはいたものの、ところどころ、皺になってしまっている。
ドレスのまま、ベッドに横になるなどありえない。
エリーがその場にいたのならば、絶叫していたことだろう。
「……嫌ではないのか。俺は君の意思を尊重できないような男なのに」
メルヴィンはアデラインの抱擁を拒めない。
それを享受してしまう自分自身を簡単に許すこともできなかった。
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