110 / 122
第一話 転生悪役令嬢は男装の騎士となる
08-4.
しおりを挟む
「ですが、困りましたわね」
アデラインは自身の頬に手を当てる。
目撃情報が出回ってしまったのはしかたがない。隠そうともしなかったのだから、なにかしらの噂は広まるものである。
「困るのか?」
「ええ。セシリアからお茶会のお誘いが止まらなくなりますわ。ディーンのことですから、セシリアには討伐任務のことを伝えてしまうでしょう? そうすれば、社交界でも一気に広まりますわよ」
「……オルコット夫妻とは仲が良いのだったか」
メルヴィンは盲点だったと言わんばかりの顔をした。
ディーン・オルコットは第二騎士団に所属をしているアデラインの同期である。同じ侯爵家という立場から幼い頃から親しくしており、アデラインの男装がばれないように内密に協力をしている人物でもある。
ディーンの助けがなければ、アデラインの正体はすぐにばれていただろう。
「ええ。幼い頃から一緒ですもの」
アデラインの交友関係は広い。
しかし、幼少期まで遡れば友人の数はたかが知れている。
侯爵家の令嬢という身分に釣り合う同年代の子どもは少なかった。その幼少時代を共にした数少ない友人たちが、ディーンとその妻、セシリアだった。
「次代の侯爵家は仲が良いとは聞いたことがあったが。他の連中とも付き合いがあるのか?」
メルヴィンは噂話程度に聞いていた内容を思い出す。
王都を中心として東西南北に領地を与えられている侯爵家たちは仲が悪い。同じ立場だからこそ、互いを牽制し合っていた。
それは先代までの話だ。
互いに歩み寄る為、今代の侯爵たちは子息子女たちを幼少期から交流させ、全員を王立魔法学院に通わせた。その結果、アデラインたちは過去のしがらみにとらわれることもなく、良好な友人関係を保っている。
「もちろんですわ。団結力では私たちの代が一番でしょうね」
アデラインはメルヴィンの言葉の意図を理解しつつ、当然のように返事をした。
……嫉妬かしら。
メルヴィンが同年代の男性の友人に対する嫉妬心を抱いていることを見抜いていた。大公家は独立性を保つ為、最低限の交流しかしないことが多かった。社交界を好む大公夫人が嫁いでくるまでは閉鎖的な環境だったのは有名な話だ。
アデラインは自身の頬に手を当てる。
目撃情報が出回ってしまったのはしかたがない。隠そうともしなかったのだから、なにかしらの噂は広まるものである。
「困るのか?」
「ええ。セシリアからお茶会のお誘いが止まらなくなりますわ。ディーンのことですから、セシリアには討伐任務のことを伝えてしまうでしょう? そうすれば、社交界でも一気に広まりますわよ」
「……オルコット夫妻とは仲が良いのだったか」
メルヴィンは盲点だったと言わんばかりの顔をした。
ディーン・オルコットは第二騎士団に所属をしているアデラインの同期である。同じ侯爵家という立場から幼い頃から親しくしており、アデラインの男装がばれないように内密に協力をしている人物でもある。
ディーンの助けがなければ、アデラインの正体はすぐにばれていただろう。
「ええ。幼い頃から一緒ですもの」
アデラインの交友関係は広い。
しかし、幼少期まで遡れば友人の数はたかが知れている。
侯爵家の令嬢という身分に釣り合う同年代の子どもは少なかった。その幼少時代を共にした数少ない友人たちが、ディーンとその妻、セシリアだった。
「次代の侯爵家は仲が良いとは聞いたことがあったが。他の連中とも付き合いがあるのか?」
メルヴィンは噂話程度に聞いていた内容を思い出す。
王都を中心として東西南北に領地を与えられている侯爵家たちは仲が悪い。同じ立場だからこそ、互いを牽制し合っていた。
それは先代までの話だ。
互いに歩み寄る為、今代の侯爵たちは子息子女たちを幼少期から交流させ、全員を王立魔法学院に通わせた。その結果、アデラインたちは過去のしがらみにとらわれることもなく、良好な友人関係を保っている。
「もちろんですわ。団結力では私たちの代が一番でしょうね」
アデラインはメルヴィンの言葉の意図を理解しつつ、当然のように返事をした。
……嫉妬かしら。
メルヴィンが同年代の男性の友人に対する嫉妬心を抱いていることを見抜いていた。大公家は独立性を保つ為、最低限の交流しかしないことが多かった。社交界を好む大公夫人が嫁いでくるまでは閉鎖的な環境だったのは有名な話だ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる