男装の悪役令嬢は、女嫌いで有名な騎士団長から執着されて逃げられない

佐倉海斗

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第二話 男装の令嬢は聖女を守りたい

01-5.

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「違う」

 ディーンはすぐに否定をする。

「俺が騎士団長を非難してるのは、三年前のことが原因じゃねえよ」

 ディーンの言葉を聞き、アデラインはパンをちぎる手を止めた。

 ……理解ができませんね。

 ディーンは心配性だ。

 アデラインの男装が気づかれないように協力もしてくれている。

 しかし、どうしてそこまでしてくれるのか、理解ができなかった。

 ……エステルに対する態度を改めただけですのに。

 前世の享年を乗り越えたあたりから、少しずつ変わっていく関係性をアデラインは見て見ぬふりをしてきた。受け入れるのが恐ろしかった。

 ……私のことを心配するのならば、どうして、見殺しにしたのでしょう。

 前世の時も幼馴染たちは変わらずに一緒にいた。

 彼らは今もエステルを良く思っていない。エインズワース侯爵家の名を傷つけるだけの存在であると認識をしており、聖女という役目がなくなれば、すぐに追い出すべきだと言い出すことだろう。

 それは前世も今世も変わらない。

「アデラインの誕生日にやることが討伐かよ。あいつの誕生日の贈り物にゴブリンの死骸でも山のようにくれてやるつもりか?」

 ディーンが討伐任務に乗り気ではなかったのは、アデラインの為だった。

 既に正体がばれており、和解しているとは知らないからこそ、アデラインの誕生日に重ねるように討伐任務を提案したメルヴィンが許せなかったのだ。

「噂も噂だ。噂が真実なら、騎士団長殿は何年も放置した婚約者様を武器屋に連れ込んだんだ。散々な扱いをしたくせに大公子妃になったら、武器を手にとれって? アデラインをバカにするのにも限度ってものがあるだろ」

 ディーンは我慢ができないといわんばかりに、手にしていたフォークで添え物の野菜を突き刺す。

 ……居心地が悪いですわね。

 前世の記憶さえなければ、アデラインは親友の言葉に胸を打たれていたことだろう。

 ……そこまで思うのならば。

 心の奥底が酷く痛む。

 それはどうしようもない痛みだ。

 前世の傷は前世でしか癒せない。

 死に戻りをしたアデラインの苦痛は誰にも理解をされない。それは人生をやり直した者に与えられる罰なのかもしれない。
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