120 / 122
第二話 男装の令嬢は聖女を守りたい
01-5.
しおりを挟む
「違う」
ディーンはすぐに否定をする。
「俺が騎士団長を非難してるのは、三年前のことが原因じゃねえよ」
ディーンの言葉を聞き、アデラインはパンをちぎる手を止めた。
……理解ができませんね。
ディーンは心配性だ。
アデラインの男装が気づかれないように協力もしてくれている。
しかし、どうしてそこまでしてくれるのか、理解ができなかった。
……エステルに対する態度を改めただけですのに。
前世の享年を乗り越えたあたりから、少しずつ変わっていく関係性をアデラインは見て見ぬふりをしてきた。受け入れるのが恐ろしかった。
……私のことを心配するのならば、どうして、見殺しにしたのでしょう。
前世の時も幼馴染たちは変わらずに一緒にいた。
彼らは今もエステルを良く思っていない。エインズワース侯爵家の名を傷つけるだけの存在であると認識をしており、聖女という役目がなくなれば、すぐに追い出すべきだと言い出すことだろう。
それは前世も今世も変わらない。
「アデラインの誕生日にやることが討伐かよ。あいつの誕生日の贈り物にゴブリンの死骸でも山のようにくれてやるつもりか?」
ディーンが討伐任務に乗り気ではなかったのは、アデラインの為だった。
既に正体がばれており、和解しているとは知らないからこそ、アデラインの誕生日に重ねるように討伐任務を提案したメルヴィンが許せなかったのだ。
「噂も噂だ。噂が真実なら、騎士団長殿は何年も放置した婚約者様を武器屋に連れ込んだんだ。散々な扱いをしたくせに大公子妃になったら、武器を手にとれって? アデラインをバカにするのにも限度ってものがあるだろ」
ディーンは我慢ができないといわんばかりに、手にしていたフォークで添え物の野菜を突き刺す。
……居心地が悪いですわね。
前世の記憶さえなければ、アデラインは親友の言葉に胸を打たれていたことだろう。
……そこまで思うのならば。
心の奥底が酷く痛む。
それはどうしようもない痛みだ。
前世の傷は前世でしか癒せない。
死に戻りをしたアデラインの苦痛は誰にも理解をされない。それは人生をやり直した者に与えられる罰なのかもしれない。
ディーンはすぐに否定をする。
「俺が騎士団長を非難してるのは、三年前のことが原因じゃねえよ」
ディーンの言葉を聞き、アデラインはパンをちぎる手を止めた。
……理解ができませんね。
ディーンは心配性だ。
アデラインの男装が気づかれないように協力もしてくれている。
しかし、どうしてそこまでしてくれるのか、理解ができなかった。
……エステルに対する態度を改めただけですのに。
前世の享年を乗り越えたあたりから、少しずつ変わっていく関係性をアデラインは見て見ぬふりをしてきた。受け入れるのが恐ろしかった。
……私のことを心配するのならば、どうして、見殺しにしたのでしょう。
前世の時も幼馴染たちは変わらずに一緒にいた。
彼らは今もエステルを良く思っていない。エインズワース侯爵家の名を傷つけるだけの存在であると認識をしており、聖女という役目がなくなれば、すぐに追い出すべきだと言い出すことだろう。
それは前世も今世も変わらない。
「アデラインの誕生日にやることが討伐かよ。あいつの誕生日の贈り物にゴブリンの死骸でも山のようにくれてやるつもりか?」
ディーンが討伐任務に乗り気ではなかったのは、アデラインの為だった。
既に正体がばれており、和解しているとは知らないからこそ、アデラインの誕生日に重ねるように討伐任務を提案したメルヴィンが許せなかったのだ。
「噂も噂だ。噂が真実なら、騎士団長殿は何年も放置した婚約者様を武器屋に連れ込んだんだ。散々な扱いをしたくせに大公子妃になったら、武器を手にとれって? アデラインをバカにするのにも限度ってものがあるだろ」
ディーンは我慢ができないといわんばかりに、手にしていたフォークで添え物の野菜を突き刺す。
……居心地が悪いですわね。
前世の記憶さえなければ、アデラインは親友の言葉に胸を打たれていたことだろう。
……そこまで思うのならば。
心の奥底が酷く痛む。
それはどうしようもない痛みだ。
前世の傷は前世でしか癒せない。
死に戻りをしたアデラインの苦痛は誰にも理解をされない。それは人生をやり直した者に与えられる罰なのかもしれない。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる