あやかし喫茶の縁結び

佐倉海斗

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第一話 墓参りは姉弟の縁を結び直す

02-9.

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 ……どうしようもないな。

 縁を結べば状況が変わる可能性もある。

 しかし、それは七海の運命さえも捻じ曲げしまうかもしれない。

「それじゃあな。良い答えを導き出せることを期待している」

 一方的に通話を切る。

 これ以上、会話を続けていると言わなくてもいいことまで口に出してしまいそうだった。

 再び着信を知らせる画面になった携帯電話を机に置き、そのまま、放置をする。

 ……化け物に期待をしてくれるなよ。

 天井を見上げるように上を向き、目を閉じる。

 今では滅多なことでは思い出すことが無くなった日々に対する感情は薄れたものの、消えてなくなったわけではない。

 ……二度と人の真似事はできねえんだよ。

 暴走が引き起きなければ、伊織はあやかしにはならなかったかもしれない。

 少なくとも美香子や七海の心に傷を負わせるような別れ方にはならなかっただろう。家族の心に傷を残し、友を傷つけ、部下に力を暴走させる恐怖心を抱かせることとなった出来事を恨む。


「……ありえねえな」

 過去を改変することはできない。
 運命を捻じ曲げることはできない。

 それは都合の良い妄想だということは知っている。

 ……縁を結んだことによる影響か?

 伊織は目を開けた。

 そして、姿勢を戻し携帯電話を見下ろす。

 着信を知らせる音にも慣れてしまった。それは美香子の命が終わるまでの期間限定の音だということを理解しているつもりなのだが、その時が来れば受け入れられないものかもしれない。

 ……人間だと信じていた愚かなあやかしが生み出した嘘の塊だ。

 いずれ、人の身を保てなくなると知っていれば死を選んだだろうか。

 生まれた時から人間とはかけ離れた生き物だったと知っていれば、伊織は何もかも諦めることができたのだろうか。

 ……人間を巻き込むべきじゃない話だ。

 八百万の神々は、条件が重なれば人間の前に姿を見せることができるが、伊織のような妖怪に部類される彼らは、異能力や特殊な事情を抱えている人々の前でなければ姿を認識されることはない。

 それは孤独との戦いだった。
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