婚約破棄された悪役令息は大公に嫁ぐ

佐倉海斗

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第一話 婚約破棄された悪役令息の行く末は、

01ー1.婚約破棄される

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 アレン・ブラッドフォードは侯爵家の三男として誕生した。その為、産まれた時から金山に恵まれているカーティス伯爵家に嫁ぐことが決められており、アレンもそれ自体に不満はなかった。

 アレンは転生者である。

 この世界が前世の姉が買っていたBLゲームの世界と酷似していることを知っており、その世界における悪役令息と呼ばれる主人公の恋を邪魔する役目だということも、知っていた。だからこそ、魔法学院では息を潜めて過ごしてきた。

 悪役令息の役目は果たされなかった。

 その為、油断していたのである。

「婚約破棄をしてほしい」

 婚約者のコリー・カーティスから婚約破棄を告げられるまでは、悪役令息だということを忘れていたくらいだった。

「は?」

 アレンはコリーの発言の意味が理解できなかった。

 ……主人公と接点はないはずなのに。

 コリーは魔法の才能がない。その為、魔法学院ではなく、騎士養成学校に通っていた。だからこそ、BLゲームの主人公、クリスとは接点が生まれないはずだった。

 ……そもそも、悪役令息だって攻略対象のはずだ。

 悪役令息を攻略することができることが売り文句だったのを覚えている。それを目当てに前世の姉はゲームを購入していた。

「俺に不満でもあるのか」

 アレンの言葉遣いは綺麗なものとは言えない。

 しかし、身内や目下の者に気を遣えるほどに器用でもなかった。目上の者にはそれなりに丁寧な言葉を使うことができる為、両親や家庭教師からも見逃されてきた。三男ということもあり、異常なまでにかわいがられていたのも理由の一つだろう。

「不満だらけだよ」

 コリーは呆れたように発言をした。

「綺麗な見た目は好きだけど。かわいげのない態度に、上から目線の言葉遣い、夫になる僕を尊敬しているとは思えない態度。それに、君、学院ではクリスを避けていたというじゃないか。あんなにかわいいクリスが避けられていたことを嘆いていたんだ」

 コリーは文句を長々と口にした。

 日頃から不満が溜まっていたのだろう。

 コリーにも自尊心がある。侯爵家という立場が上の人間であるとはいえ、嫁いでくるのならば、コリーのことを尊重するべきだと考えていた。

 それでも、今日まで婚約破棄を踏み止まっていたのには理由がある。
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