婚約破棄された悪役令息は大公に嫁ぐ

佐倉海斗

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第一話 婚約破棄された悪役令息の行く末は、

01-2.

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 侯爵家から多大な借金をしていることと、アレンの見た目は好みだったからだ。社交界で連れ歩けば誰もが注目をするだろう人形のような美しさを兼ね備えていた。その美しさを手放すのは惜しいと考えていた。
 しかし、そうも言ってはいられなくなった。

「クリスが付き合ってくれたんだ」

「あの人は何人も恋人がいるだろう」

「その中の一人さ。でも、誰よりも愛しているのは僕だ」

 コリーは自信があった。

 誰よりも愛されているという確信すらもあった。

 だからこそ、性に奔放なクリスだとわかっていながらも交際を始めてしまった。

 ……屈辱だ。

 アレンにとってなによりも屈辱だった。

 コリーが性交渉をしたがっているのは知っていた。結婚をするまではしないと取り決めたのはアレンの都合だ。それにコリーは不服に思いながらも了承していたはずだ。

 誘惑に勝てなかったのだろう。

「僕はクリスと結婚がしたい」

「無理だと思うが」

「負け惜しみかい? いまさら、そんなかわいいところを見せたって、僕の心は変わらないよ」

 コリーは調子に乗っていた。

 アレンの二十歳の誕生日を記念して行われた茶会の席だということを忘れているのだろう。その場には多くの貴族が参列している。

 その中にはアレンの両親もいた。

 コリーの言い分に今にも割って入りそうな勢いだ。

 ……伯爵家は没落するな。

 アレンは冷静だった。

 婚約破棄を付きつけられて涙が出ないくらいには、コリーのことを慕っていない。生まれた時から決められた婚約者というだけだ。それ以外の感情はなかった。

 政略結婚は貴族にとって普通のことだ。

 そこに利益があるのならば、どのような相手であっても結婚させられるのが、貴族の家に生まれた責務である。

 ……理解していないのだろうか。

 心配をしてしまう。

 コリーが自滅をするのは自業自得だが、巻き込まれた伯爵家の人間には同情を隠せなかった。多額の借金に加え、違約金や賠償金が課せられることになる。婚約を決めるのに優位なのは、高位貴族である侯爵家側である。
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