婚約破棄された悪役令息は大公に嫁ぐ

佐倉海斗

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第一話 婚約破棄された悪役令息の行く末は、

01-3.

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 そのことをコリーは自覚していない。
 窮地に立たされているのはアレンではなく、コリーであると自覚していない。

「……婚約を破棄してもいいんだな」

 アレンはいろいろと考えながらも問いかけた。

 大勢の前で発言されてしまってはいまさら撤回などできない。両親や兄たちは怒っている。撤回をしたところでコリーとの結婚を許すはずがなかった。

「もちろんだとも。その為に今日は参加したんだからね」

 コリーはそういうと席を立った。

 周囲を見渡し、注目を集めていることを自覚する。それだけでコリーの自尊心は満たされる。コリーは見た目によらず派手なことが好きだった。

「僕はアレン・ブラッドフォードとの婚約を破棄する!」

 そうして、コリーは二度目となる婚約破棄宣言を行った。

 誰もそれを尊重することはない。

 冷ややかな目で見られていることにコリーは気づいていなかった。

「修道院送りにされるかもしれないね」

 コリーはアレンにそう言った。

 ……送られるのはコリーだろう。

 修道院送りならば良い方だ。最悪の場合、勘当されることだってありえる。

 それに気づいていない的外れな言葉を口にするコリーに対し、アレンは紅茶を飲みながら聞き流した。その間違いを指摘してあげる気分にはなれなかった。

 ……自分に酔っているな。

 情けない姿を晒しているだけだと自覚をしていないのだろう。

「婚約を破棄するのは伯爵も同意の上ということで、かまわないね」

 アレンがのんきに紅茶を飲んでいたら、頭上から声がした。

 父親だ。かなり怒っているらしく、いつもよりも声が低い。

「もちろんです。侯爵閣下」

 コリーは肯定した。

 ……手遅れだ。

 婚約破棄を宣言した時点で手遅れだ。しかし、伯爵も同意しているのならば、撤回は効かない。

「父上も同意してくれることでしょう」

 コリーは両親の同意をとっていなかった。
 しかし、社交界の場での発言は撤回ができない。そのことをコリーは知らなかった。

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