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第三話 賢妃の才能は底知れない
02-6.
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「見かけたらすぐに攻撃をします。相手は怨霊です。人ではありません」
香月は迷いなく返事をした。
香月には怨霊と対話をする技術は持ち合わせていなかった。そういった特殊能力を持ち合わせ、怨霊の未練を解き放つことにより成仏させることを生業としている一族がいることは知っていたが、彼らを後宮に呼び寄せるわけにはいかない。
これは香月に与えられた試練だった。
翠蘭の仇を討つ為にも他のものに任せるわけにはいかない。
「陛下。教えてください」
香月は教えを乞う。
すべては玄家の誇りの為だ。
「翠蘭姉上は本当に自死でしたか?」
「……知ってどうする」
「未練を晴らしたいと思います。怨霊になる前ならば手を打てます」
香月は気づいていた。
翠蘭が怨霊になっていないということは未練を残していないか、未練を持ちながらも怨霊になるほどの力が残されておらず、地縛霊として留まっているかのどちらかであるということに、薄々気づいていた。
その確信がほしかった。
「翠蘭は玄武の舞を披露する場で失敗をした。麒麟はそれを見逃さず、彼女の命をもって奉納の義とした。――と、聞いている」
俊熙は香月から目を逸らした。
……その場に陛下はいなかったのだろうか。
翠蘭ではなく香月がその場にいたのならば、命を失うほどに衰弱はしなかっただろう。そもそも、舞の奉納を失敗しなかった。
麒麟の加護は四神の血筋にも大きな影響を与える。
しかし、翠蘭は玄家本家の血は流れていない。
父は貴族出身ではあるものの、どの家の出身者なのか、父と母以外誰も知らなかった。子どもたちでさえも、玄家の他にどこの家の血が流れているのか、知る者はいない。
「陛下は見ていないのですか?」
「香月の舞以外には興味はない。なにより、麒麟の加護は悪影響だと宰相に言われたものでな」
「さようでございますか」
香月は頷いた。
実際、香月は俊熙が来たことにより、奉納の舞を半端に終わらせている。
香月は迷いなく返事をした。
香月には怨霊と対話をする技術は持ち合わせていなかった。そういった特殊能力を持ち合わせ、怨霊の未練を解き放つことにより成仏させることを生業としている一族がいることは知っていたが、彼らを後宮に呼び寄せるわけにはいかない。
これは香月に与えられた試練だった。
翠蘭の仇を討つ為にも他のものに任せるわけにはいかない。
「陛下。教えてください」
香月は教えを乞う。
すべては玄家の誇りの為だ。
「翠蘭姉上は本当に自死でしたか?」
「……知ってどうする」
「未練を晴らしたいと思います。怨霊になる前ならば手を打てます」
香月は気づいていた。
翠蘭が怨霊になっていないということは未練を残していないか、未練を持ちながらも怨霊になるほどの力が残されておらず、地縛霊として留まっているかのどちらかであるということに、薄々気づいていた。
その確信がほしかった。
「翠蘭は玄武の舞を披露する場で失敗をした。麒麟はそれを見逃さず、彼女の命をもって奉納の義とした。――と、聞いている」
俊熙は香月から目を逸らした。
……その場に陛下はいなかったのだろうか。
翠蘭ではなく香月がその場にいたのならば、命を失うほどに衰弱はしなかっただろう。そもそも、舞の奉納を失敗しなかった。
麒麟の加護は四神の血筋にも大きな影響を与える。
しかし、翠蘭は玄家本家の血は流れていない。
父は貴族出身ではあるものの、どの家の出身者なのか、父と母以外誰も知らなかった。子どもたちでさえも、玄家の他にどこの家の血が流れているのか、知る者はいない。
「陛下は見ていないのですか?」
「香月の舞以外には興味はない。なにより、麒麟の加護は悪影響だと宰相に言われたものでな」
「さようでございますか」
香月は頷いた。
実際、香月は俊熙が来たことにより、奉納の舞を半端に終わらせている。
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