後宮妃は木犀の下で眠りたい

佐倉海斗

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第四話 賢妃は諦めない

03-4.

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「そうだな」

 香月は氷叡剣を振るう。

 舞を踊るように振るえば周囲は凍り付き、後宮は氷の要塞となる。

「反乱軍を鎮圧せよ!」

 勇ましい声が反乱軍の背後より響いた。

 皇帝の正規軍である麒麟軍の到着だ。武装した麒麟軍たちは反乱軍の背後を狙い、攻撃を開始する。それは瞬く間に鎮圧された。

「私が出る幕はなかったわね」

「貴妃。……いえ、来ていただけただけで士気があがりました」

「そういうものかしら」

 美雨は笑った。

 それから、大剣の先を香月に向けた。

「反乱を企てた李浩然の娘かしら?」

 美雨は問いかける。

 ……そうだ。

 香月は心の中で肯定する。

 それを言葉に出してはならないと知っていた。

「いいえ」

 香月は否定の言葉を口にした。

「私は玄玥瑶の子だ」

 香月は玄家の新たな当主となった玥瑶の名をくちにした。
 念願の当主になれたのだ。

 玥瑶は今回の反乱を玄家が仕組んだものではなく、浩然が羅宰相と共に企んだものだと言い切るだろう。そうすれば、玄家は罰を受けない。

「そう」

 美雨は大剣を床に下ろした。

「今回の活躍、お見事でしたわ。賢妃」

「貴女が背後を守ってくれたおかげです、貴妃」

 互いを褒め合う言葉を口にした。

 その間、反乱軍は鎮圧され、羅宰相と浩然は麒麟軍の兵士に捕らえられていた。


* * *


 終わってみれば呆気のない反乱だった。

 後宮の協力を得ることができず、反乱の計画が筒抜けになっていたのが原因だろう。
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