33 / 36
第二話 桐生邸、襲撃事件
02-3.
しおりを挟む
「ですが、譲様ならば、あやかしを操ることができるでしょう」
美子は断言した。
実際に操る姿を見たわけではない。
白髪と赤い目をしている者はあやかしを使役できるというのは、噂にすぎない。
「朱雀院か」
義孝は考える。
仕事柄、朱雀院家のように名門出身の陰陽師と出会うことは少なくはない。しかし、名門出身の陰陽師は政府の機関である異能特務課に所属せず、家単位で動くことが一般的だ。
「朱雀院譲の噂は聞いたことがある」
「噂ですか?」
「そうだ。白髪と赤い目の陰陽師は彼以外にはいないから、間違いはないだろう」
義孝はため息を零した。
……噂ですか。
青龍寺家では朱雀院家は丁重に扱われていた。同じく名門として平等な付き合いをしていきたかったのだろう。当主同士の交流も多かった。
「鬼のあやかしを調伏したという噂を聞いた」
「鬼ですか」
「そうだ。よりにもよって、鬼だ」
義孝は譲の仕業と考えているのだろう。
……譲様。
美子も同じだった。
しかし、理解ができない。
美子にとって譲は優しい幼馴染だ。
「母さんと美子さんにそれぞれ護衛用の式神をつける。なにかが起きてからでは遅いからな」
義孝の出した結論はそれだった。
今後も襲撃されることを前提としたものだ。
「義孝さん、それは今後も襲撃をされるということですか? 相手は美子さんの異能力を把握している可能性があるのでしょう?」
雪は初めて口を出した。
それから、不安そうな視線を美子に向けた。
「相手の狙いは美子さんではないでしょうか」
雪の言葉に美子は目を見開く。
襲撃されたのは雪だ。鬼の標的にされ、大けがを負わされたのにもかかわらず、雪は美子の心配をしていた。
美子は断言した。
実際に操る姿を見たわけではない。
白髪と赤い目をしている者はあやかしを使役できるというのは、噂にすぎない。
「朱雀院か」
義孝は考える。
仕事柄、朱雀院家のように名門出身の陰陽師と出会うことは少なくはない。しかし、名門出身の陰陽師は政府の機関である異能特務課に所属せず、家単位で動くことが一般的だ。
「朱雀院譲の噂は聞いたことがある」
「噂ですか?」
「そうだ。白髪と赤い目の陰陽師は彼以外にはいないから、間違いはないだろう」
義孝はため息を零した。
……噂ですか。
青龍寺家では朱雀院家は丁重に扱われていた。同じく名門として平等な付き合いをしていきたかったのだろう。当主同士の交流も多かった。
「鬼のあやかしを調伏したという噂を聞いた」
「鬼ですか」
「そうだ。よりにもよって、鬼だ」
義孝は譲の仕業と考えているのだろう。
……譲様。
美子も同じだった。
しかし、理解ができない。
美子にとって譲は優しい幼馴染だ。
「母さんと美子さんにそれぞれ護衛用の式神をつける。なにかが起きてからでは遅いからな」
義孝の出した結論はそれだった。
今後も襲撃されることを前提としたものだ。
「義孝さん、それは今後も襲撃をされるということですか? 相手は美子さんの異能力を把握している可能性があるのでしょう?」
雪は初めて口を出した。
それから、不安そうな視線を美子に向けた。
「相手の狙いは美子さんではないでしょうか」
雪の言葉に美子は目を見開く。
襲撃されたのは雪だ。鬼の標的にされ、大けがを負わされたのにもかかわらず、雪は美子の心配をしていた。
10
あなたにおすすめの小説
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!
ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。
前世では犬の獣人だった私。
私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。
そんな時、とある出来事で命を落とした私。
彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
竜帝は番に愛を乞う
浅海 景
恋愛
祖母譲りの容姿で両親から疎まれている男爵令嬢のルー。自分とは対照的に溺愛される妹のメリナは周囲からも可愛がられ、狼族の番として見初められたことからますます我儘に振舞うようになった。そんなメリナの我儘を受け止めつつ使用人のように働き、学校では妹を虐げる意地悪な姉として周囲から虐げられる。無力感と諦めを抱きながら淡々と日々を過ごしていたルーは、ある晩突然現れた男性から番であることを告げられる。しかも彼は獣族のみならず世界の王と呼ばれる竜帝アレクシスだった。誰かに愛されるはずがないと信じ込む男爵令嬢と番と出会い愛を知った竜帝の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる