呪われた少女は強面陰陽師の嫁になる

佐倉海斗

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第二話 桐生邸、襲撃事件

03-3.

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「譲様を捜査することはできますか?」

 美子は勇気を振り絞って聞いた。
 捜査をしたところでなにも証拠はないだろう。

「できない。五家を捜査することは禁止されている」

 義孝は否定した。

 五家――、朱雀院、青龍寺、白虎院、玄武宮、麒麟院からなっている陰陽術の普及に貢献した家のことをいう。平安時代より続く家々とは違うものの、多くの陰陽師を輩出していることと異能特務課設立に大きく関わっていることから、特別視されてきた。

「できる限り、安全なところにいるしかない」

 義孝はそれが難しいと知っている。

「異能特務課で保護できないか、聞いてみよう」

「はい」

「母さんも異論はないか?」

 義孝の提案に頷いた美子の頭を撫でながら、義孝は雪に問いかける。

 雪は悩んでいる様子だった。

 ……力がばれてしまいますものね。

 鬼に襲われて無傷だったということが気づかれてしまう。そうなれば、調査の対象になるのは美子だ。

 美子は癒しの異能力者だ。その上、赤い目の能力も使える。

 異能特務課としては欲しい人材だった。

「異能特務課を信用できません」

 雪ははっきりと答えた。

「しかし、再び鬼が襲ってくることを考えると異能特務課にいた方が安全でしょう。この母も同行します。それが美子さんを異能特務課で保護させる条件です」

「どちらにしても、母さんも保護対象だった」

「それを先に言いなさい。母さんにも母さんの用事があるのですからね」

 雪は呆れたように言った。

 ……お義母様も来てくれるなら、安心です。

 雪を一人で桐生邸に置いておくのは心配だった。再び鬼が襲ってこない保証はない。

 美子がそのようなことを考えていると察したのか、雪は気まずそうな顔をした。

 殴ったことを怒りもしない。悲しむこともない。理不尽だと言うこともない。それが当然だと受け入れてしまっていることが雪は悲しかった。

「職場には連絡をしておく。それまではなんとか耐えてくれ」

 義孝は真剣だった。

 殴られた美子の頬を優しく撫でる。

 それだけで痛みが和らぐような気がした。
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