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第一話「悪は咲き誇る」
03-7.悪を演じることも厭わない
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「まさか。その逆だよ」
パーシヴァルは笑っていた。
勘違いが解けたような顔だった。
「安心したよ。それどころか嬉しくて仕方がないね」
「嬉しい?」
「嬉しいよ。僕はとんでもない勘違いをし続けていたみたいだ、それがダリアの言葉で解かれたんだよ。今日は僕にとって最高の一日になりそうだよ」
「それはよかった。私も勘違いが解けて嬉しく思うよ」
冷めた関係だと思っていた。
しかし、周りから見れば違うように捉えられていたのだろうか?
「一般的には婚約を破棄された女性は傷物として認識されるだろうけど、君は違うからね。僕としてはそうなっても気にはしないけど」
共犯者がどのような立場になっても気にしないのか。
パーシヴァルはなかなか強い精神を持っていたようだ。知らなかった。
「ねえ、ダリア。君はどうして引き受けようと思ったの?」
これは答えてもいい質問だろうか。
「望まない関係だとしても経歴に傷がつくことになるんだよ? 僕はそういうことは気にしないけど、でも、ダリアは気にするよね。それなのに引き受けた理由がわからないのだけど」
ルーシーに視線を送る。
少し迷ったような表情をしていたが、十秒ほど遅れて頷いた。
よかった。問題はないみたい。
「夢を叶える機会を与えられたのだよ」
辺境伯爵家の人間は騎士になる為に生まれてきたとすら言われているのに、私にはその道を目指することも許されなかった。
「私は騎士になりたい。でも、領地から離れることが許されなかった」
女性騎士は少ない。
お父様は騎士として王宮で働くことを認めてはくれなかった。
ジェイドに領地を任せられないと判断をしたのが一番の理由だったけれど。
「反対をしていたお父様からの許可が貰えた。極秘任務を成功させれば、騎士団の入団試験の受験を認めてくださる。それが引き受けた理由だよ」
不純な理由だとわかっている。
幼い頃にお会いした憧れの騎士団長の傍にいきたかった。
私の生き方を変えてくれた人の役に立ちたかった。
パーシヴァルは笑っていた。
勘違いが解けたような顔だった。
「安心したよ。それどころか嬉しくて仕方がないね」
「嬉しい?」
「嬉しいよ。僕はとんでもない勘違いをし続けていたみたいだ、それがダリアの言葉で解かれたんだよ。今日は僕にとって最高の一日になりそうだよ」
「それはよかった。私も勘違いが解けて嬉しく思うよ」
冷めた関係だと思っていた。
しかし、周りから見れば違うように捉えられていたのだろうか?
「一般的には婚約を破棄された女性は傷物として認識されるだろうけど、君は違うからね。僕としてはそうなっても気にはしないけど」
共犯者がどのような立場になっても気にしないのか。
パーシヴァルはなかなか強い精神を持っていたようだ。知らなかった。
「ねえ、ダリア。君はどうして引き受けようと思ったの?」
これは答えてもいい質問だろうか。
「望まない関係だとしても経歴に傷がつくことになるんだよ? 僕はそういうことは気にしないけど、でも、ダリアは気にするよね。それなのに引き受けた理由がわからないのだけど」
ルーシーに視線を送る。
少し迷ったような表情をしていたが、十秒ほど遅れて頷いた。
よかった。問題はないみたい。
「夢を叶える機会を与えられたのだよ」
辺境伯爵家の人間は騎士になる為に生まれてきたとすら言われているのに、私にはその道を目指することも許されなかった。
「私は騎士になりたい。でも、領地から離れることが許されなかった」
女性騎士は少ない。
お父様は騎士として王宮で働くことを認めてはくれなかった。
ジェイドに領地を任せられないと判断をしたのが一番の理由だったけれど。
「反対をしていたお父様からの許可が貰えた。極秘任務を成功させれば、騎士団の入団試験の受験を認めてくださる。それが引き受けた理由だよ」
不純な理由だとわかっている。
幼い頃にお会いした憧れの騎士団長の傍にいきたかった。
私の生き方を変えてくれた人の役に立ちたかった。
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