悪役令嬢の兄ですが、騎士団長に執着溺愛されています

佐倉海斗

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第三話 スコット公爵家主催のお茶会

02-4.

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 ……誇りか。

 オメガになるなんて冗談でもありえないと思っていた。実際、性転換の妙薬を使うまでに一か月の月日を費やしている。

 ……子爵家に没落した日に捨てたよ、そんなものは。

 いっそのこと平民に落とされてしまえば、開き直ったかもしれない。

 情けのように子爵の地位に留められ、屈辱を浴びた。

「誇りなんて捨てましたよ」

 カイルは言い切った。

「それで家族を養うことができませんから。ジョージ、俺は公爵家の出身ではなく、子爵家の出身です。誇り高いままでいられるはずがないでしょう」

 カイルの言葉にジョージは黙ってしまった。

 なにも言い返す言葉が浮かばなかったのだろう。

「アーサーに買われて大公夫人になっただけです。本来ならば、貧困で苦しんでいるところでしたよ」

 カイルは言葉を選ばない。

 アーサーがいかに優しいのか、説いたところで誰も信じない。

 それならば、悲劇のヒロインにでもなってやるつもりだった。アーサーではなく、カイルが注目の的になれば誹謗中傷も減ることだろう。

「俺は幸せです。ですから、心配しないでください」

「その言葉をどこまで信じればいい?」

「すべてです。ジョージ。あなたは優しすぎますね」

 カイルの言葉を聞き、ジョージはようやく諦めたようだ。

 ……ジョージは諦めたか。

 認めたわけではない。

 しかし、説得するのが無理だと周囲に知らしめる形にもなった。

「大公閣下」

 ジョージは忌々しそうにアーサーに声をかける。

「大公夫人を大事にしてください。彼は俺の大切な友人です」

「言われなくても大事にしている」

「それなら、どうして、噂が流れるのですか?」

 ジョージは苦笑しながら問いかけた。

「大公閣下。社交界にもっと顔を出してください。そうしなければ、悪い噂は事実ととらえられてしまいます」

 ジョージは助言した。

 他ならない友人のカイルの為の助言だった。
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