76 / 94
第四章 守護鳥の夢
サイレン
しおりを挟む
オオミ
どこかで聴いたことのあるようなサイレンが響きわたった。
違うのはその大きさだ。自分の鼓膜どころか、あの巨大な建造物――心臓すら震わせている。
不安を煽るサイレンに、思わず耳を塞ぎ、目を瞑った。それは一分程も鳴り響いて、突然止んだ。
そっと目を開けて、全員いることを確認する。良かった、今のサイレンと共に誰か連れ去らわれたんじゃないかと不安になったんだ。特にアオチさん。
アオチさんのエトピリカ――監視鳥はアオチさんを狙っていたから。
「回収人さん、今のサイレンはなんですか?」
「移動の準備に入る合図だ」
――いよいよか。唾を呑み込んで、手をぎゅっと握った。
「合図は三回。準備に入る合図と、準備が整った合図、そして移動開始の合図だ。ここだけじゃない、今、世界中で同じサイレンが響き渡ったはずだ」
「準備とは? 今、石の外では何が始まっているんでしょう」
「僕が教えてあげるよ。無言ちゃん、ウルウ、こっちに来て」
『自分の乗客』と呼びながらも、どこか距離を保っているようだったローヌさんが初めて、二人を呼び寄せた。
終わりが近い、危険がある、そういう事だろうか。
「さっき最後の船が選別を終えた汽笛を鳴らしたんだ。最後と言っても僕ら以外だけどね。さっきのサイレンを合図に、一足先に選別を終えて海の中に保管されていた船も地上に向けて浮上している。全ての船が海面に出てきたら、その他の次の世界に行く者たちも集合して準備完了さ」
深刻になっているかと思ったのに、案外軽い口調で言い切った。
かなり端折ってる気がする。
「あの……『その他の次の世界に行く者』って誰ですか? 回収人さんたちや神様の使いの鳥たちのことですか」
「ん? ああ、ごめん君たちは知らないんだ。また神様の話をすると長くなるから簡単に言うと、太陽とか月とか海とか風とか木とか石とか、そういう物の代表者みたいな人たちだよ」
みんな微妙な顔をしているので、質問をした手前、僕が応える。
「……なるほど、そういう協会もあるんですね。今まで聞いたことがなかったけど。それで、その準備にはどれくらい時間がかかるんですか? とまり石はその間、どういう状態でいるんでしょうか」
他の人が反応しないものだから、ローヌさんは僕に向かって話し始めた。数歩前に出て距離を詰めてくる。こういうところが回収人さんにも面倒臭く思われていそうだ。
「そこなんどけどね、毎回必要な時間が違うから、答えられない。目安さえ難しいんだ、早い時は二分のこともあったし、何を手間取ったのか、十時間かかったこともあった。とまり石の事なら心配しないで大丈夫。監視鳥一羽にとまり石一つだから、他の鳥が入ってくることはないし、移動の準備でカオスの世界では誰も気に留めな――え??」
白壁の心臓を背に鳥が飛んでいた。
どこかで聴いたことのあるようなサイレンが響きわたった。
違うのはその大きさだ。自分の鼓膜どころか、あの巨大な建造物――心臓すら震わせている。
不安を煽るサイレンに、思わず耳を塞ぎ、目を瞑った。それは一分程も鳴り響いて、突然止んだ。
そっと目を開けて、全員いることを確認する。良かった、今のサイレンと共に誰か連れ去らわれたんじゃないかと不安になったんだ。特にアオチさん。
アオチさんのエトピリカ――監視鳥はアオチさんを狙っていたから。
「回収人さん、今のサイレンはなんですか?」
「移動の準備に入る合図だ」
――いよいよか。唾を呑み込んで、手をぎゅっと握った。
「合図は三回。準備に入る合図と、準備が整った合図、そして移動開始の合図だ。ここだけじゃない、今、世界中で同じサイレンが響き渡ったはずだ」
「準備とは? 今、石の外では何が始まっているんでしょう」
「僕が教えてあげるよ。無言ちゃん、ウルウ、こっちに来て」
『自分の乗客』と呼びながらも、どこか距離を保っているようだったローヌさんが初めて、二人を呼び寄せた。
終わりが近い、危険がある、そういう事だろうか。
「さっき最後の船が選別を終えた汽笛を鳴らしたんだ。最後と言っても僕ら以外だけどね。さっきのサイレンを合図に、一足先に選別を終えて海の中に保管されていた船も地上に向けて浮上している。全ての船が海面に出てきたら、その他の次の世界に行く者たちも集合して準備完了さ」
深刻になっているかと思ったのに、案外軽い口調で言い切った。
かなり端折ってる気がする。
「あの……『その他の次の世界に行く者』って誰ですか? 回収人さんたちや神様の使いの鳥たちのことですか」
「ん? ああ、ごめん君たちは知らないんだ。また神様の話をすると長くなるから簡単に言うと、太陽とか月とか海とか風とか木とか石とか、そういう物の代表者みたいな人たちだよ」
みんな微妙な顔をしているので、質問をした手前、僕が応える。
「……なるほど、そういう協会もあるんですね。今まで聞いたことがなかったけど。それで、その準備にはどれくらい時間がかかるんですか? とまり石はその間、どういう状態でいるんでしょうか」
他の人が反応しないものだから、ローヌさんは僕に向かって話し始めた。数歩前に出て距離を詰めてくる。こういうところが回収人さんにも面倒臭く思われていそうだ。
「そこなんどけどね、毎回必要な時間が違うから、答えられない。目安さえ難しいんだ、早い時は二分のこともあったし、何を手間取ったのか、十時間かかったこともあった。とまり石の事なら心配しないで大丈夫。監視鳥一羽にとまり石一つだから、他の鳥が入ってくることはないし、移動の準備でカオスの世界では誰も気に留めな――え??」
白壁の心臓を背に鳥が飛んでいた。
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる