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第四章 守護鳥の夢
永遠に孤独
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アオチ
コスモスが騒めいた。
「君たちはどうして自分から孤独を選ぶの」
俺たちの来た広場の入口の方から声がした。今度は美しいだけでなく、ちゃんと耳に届く声だ。
そこに人影があった。良く見えないな、思った瞬間、騒めいていたコスモスが明らかに意志を持って揺れだした。
入口に立つ人が、腕を前に伸ばした瞬間、コスモスがその人を運ぶように波を作った。
現れたら戦ってやろうと思っていたのに、ズルい。もっと乱暴に登場してくれないと。花に運ばれてくるなんて聞いてない。それにこの人――
コスモスが動きを止め、その人が俺たちの前に、正確には回収人の前に立って言った。
「久しぶりだね。僕を殺そうとする細胞」
声と同じく、恐ろしく綺麗な人だ。現実味がない。濡れた濃い灰色の髪から覗く目が、ふと俺を見た。
――気が狂うほどきれいな人、確か回収人はそう言っていた。
大袈裟ではないな。
「さっきまで海の中で待っていたんだ」
それだけ言って、また回収人の方へ向き直る。
目が合っただけで、このまま消されそうな気がした俺の手を、オゼが強く握った。俺を必要としていてくれ、まだ消えたくない。
「困るな、この回収人もすっかり君に感化されてしまった」
今度はちらりとローヌを見て言った。ゆっくり動かす視線が艶めかしい。やっぱり回収人に似ている。
「こいつの事か?」
回収人がローヌを指した。
「そう。君をもう回収人にしておくことはできない。僕に反抗する細胞は増殖して、いつか僕を滅ぼす」
指されたローヌの横顔も、また神様に似ていると思った。全員この人の細胞だというのも納得だ。
「だめです!」
いきなりオオミが大声を出して回収人の前に飛び出した。
「君が、今回の彼のお気に入りか」
「眼鏡、黙ってろ。俺を困らせるな」
神様が一歩前に出た。この人が歩いたのか、コスモスが運んだのか判断が付かない。
「回収人さん、こんな人の目になんか、なっては駄目です」
この場にいる全員に敵意の目を向けられても、神様は全く表情を変えない。この人の服は真っ白ではないんだ。そんなどうでも良いことを考えていた。この色はそう、青味を帯びた白、月白だ。
「先にこっちの問題から片付けようか。回収人として、乗客の最期を見守りたいだろ?」
こいつ、完全に俺とオオミを消す気だ。心臓を燃やす例の魔法を使うつもりでいるんだ。思わず胸を押さえる。
回収人がオオミを横にどけて、一歩前に出た。神様と手を伸ばしたら届く距離に近づく。
「あんたの目になってやるから、こいつらを全員連れて行ってやることはできないか」
「駄目だ。君、自分が何をやっているのか本当に理解しているの。その、後ろの背の高い彼が本体だろ。その子は永遠の孤独に落とされるんだよ。今、僕がわざわざここまで来た理由、それは君に残酷な事実を教えるためでもある」
コスモスがうるさい程に騒めいて、止まった。
「君がこれまで助けた本体たちを、僕は次の世界で見つけては殺してきた」
また、神様が音を吸収したような静けさが広場を支配した。
コスモスが騒めいた。
「君たちはどうして自分から孤独を選ぶの」
俺たちの来た広場の入口の方から声がした。今度は美しいだけでなく、ちゃんと耳に届く声だ。
そこに人影があった。良く見えないな、思った瞬間、騒めいていたコスモスが明らかに意志を持って揺れだした。
入口に立つ人が、腕を前に伸ばした瞬間、コスモスがその人を運ぶように波を作った。
現れたら戦ってやろうと思っていたのに、ズルい。もっと乱暴に登場してくれないと。花に運ばれてくるなんて聞いてない。それにこの人――
コスモスが動きを止め、その人が俺たちの前に、正確には回収人の前に立って言った。
「久しぶりだね。僕を殺そうとする細胞」
声と同じく、恐ろしく綺麗な人だ。現実味がない。濡れた濃い灰色の髪から覗く目が、ふと俺を見た。
――気が狂うほどきれいな人、確か回収人はそう言っていた。
大袈裟ではないな。
「さっきまで海の中で待っていたんだ」
それだけ言って、また回収人の方へ向き直る。
目が合っただけで、このまま消されそうな気がした俺の手を、オゼが強く握った。俺を必要としていてくれ、まだ消えたくない。
「困るな、この回収人もすっかり君に感化されてしまった」
今度はちらりとローヌを見て言った。ゆっくり動かす視線が艶めかしい。やっぱり回収人に似ている。
「こいつの事か?」
回収人がローヌを指した。
「そう。君をもう回収人にしておくことはできない。僕に反抗する細胞は増殖して、いつか僕を滅ぼす」
指されたローヌの横顔も、また神様に似ていると思った。全員この人の細胞だというのも納得だ。
「だめです!」
いきなりオオミが大声を出して回収人の前に飛び出した。
「君が、今回の彼のお気に入りか」
「眼鏡、黙ってろ。俺を困らせるな」
神様が一歩前に出た。この人が歩いたのか、コスモスが運んだのか判断が付かない。
「回収人さん、こんな人の目になんか、なっては駄目です」
この場にいる全員に敵意の目を向けられても、神様は全く表情を変えない。この人の服は真っ白ではないんだ。そんなどうでも良いことを考えていた。この色はそう、青味を帯びた白、月白だ。
「先にこっちの問題から片付けようか。回収人として、乗客の最期を見守りたいだろ?」
こいつ、完全に俺とオオミを消す気だ。心臓を燃やす例の魔法を使うつもりでいるんだ。思わず胸を押さえる。
回収人がオオミを横にどけて、一歩前に出た。神様と手を伸ばしたら届く距離に近づく。
「あんたの目になってやるから、こいつらを全員連れて行ってやることはできないか」
「駄目だ。君、自分が何をやっているのか本当に理解しているの。その、後ろの背の高い彼が本体だろ。その子は永遠の孤独に落とされるんだよ。今、僕がわざわざここまで来た理由、それは君に残酷な事実を教えるためでもある」
コスモスがうるさい程に騒めいて、止まった。
「君がこれまで助けた本体たちを、僕は次の世界で見つけては殺してきた」
また、神様が音を吸収したような静けさが広場を支配した。
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