不埒に溺惑

藤川巴/智江千佳子

文字の大きさ
24 / 52

STEP 6 「その生々しいのを、これから俺にされるんだよ」

しおりを挟む
 頭の近くで、八城の笑い声が響く。低い音は、よく胸に響く。

「誘惑はお休み?」

 揶揄われているのだと分かっていても、反抗する言葉など浮かんでこない。

「八城さんに誘惑されすぎて、それどころじゃない」
「恋愛初心者には見えないんだけどな」

 八城に翻弄されて狼狽えてばかりいる私のどこを見れば、そんなお世辞が出てくるのだろうか。

 吃驚してしまった。私が八城と同じく恋愛上級者だったのなら、今すぐここで、八城をその気にさせられるはずだ。

「ほんとうですか」
「ん」
「……でも、全然エッチしてくれません」

 蚊の鳴くような声でぽつりとつぶやいた。

 これ以上好きになりたくない。

 優しい思い出なんて作らないで、ただ一度の熱だけを覚えて生きていこうと思っていたのに、八城のそばに居るとどんどん貪欲になってしまう気がする。

 間接照明だけが照らし出す八城の表情は、いつも以上に真剣な色をしているように思う。まっすぐに見つめあえば、瞳が熱く光った。

「本音では、今すぐ食いたいけどね」

 ストレートな言葉で、息の根が止められてしまいそうだった。呼吸を忘れた私の表情を見て、八城が手を伸ばしてくる。

 こめかみから零れ落ちていた私の髪を掬って、耳にかけなおす。その間、ずっと八城は私の瞳を見下ろしていた。

 この人にすべてを捧げた時、私は正気を保っていられるのだろうか。

 好きだと叫んで、八城を驚かせてしまいそうだ。きっと、罪悪感を持たせてしまうに違いない。

「どうされたい?」

 八城に意思を確認されるたびに、自分がひどくふしだらな人間になってしまったような気がして落ち着かない。

 優しい手つきが髪から首筋に流れて、皮膚をあまく引っ掻くように爪先でなぞられた。まるで、何かを唆すような手つきだ。

「このままここで、食われたい?」
「わ、たし」
「はは、冗談」
「……ええ?」
「あんまり無防備すぎるから、お仕置き」
「お、しおき……」

 けろりと口遊んだ男が、優しく私の頬を抓った。「ビビった?」と首をかしげられて、無意識に詰めていた息を吐き下ろす。

「しんぞうに、わるいです」
「あはは、ごめんごめん、寝よっか」

 けらけらと笑われて、今更に心臓がおかしなくらい鼓動していたことに気づいた。

 今日一日、お風呂に入ったあたりから、ずっとうるさかったのだろうか。それともその前からずっと、八城に酔っていたのだろうか。

 落ち着かせようと八城に背を向けて、ベッドの端まで身体を動かす。

「ん? 明菜ちゃん? 怒ってんの?」
「おこってないです」
「あはは、そのポーズは怒ってそうでかわいいんだけど」
「してくれるのかなって期待を持たされたので、落ち込んでいるだけです」

 すらすらと口に出しながら、うるさい心臓を丁寧にさする。

 これから、この人と一緒に眠って、朝早くに起きなければならない。なるべく八城が隣にいることを忘れようと瞼をぎゅっと瞑って、身体を縮込めた。

「あきな」
「っん、な、んですか」

 距離を取っていたはずなのに、背中にぴったりと誰かの熱が触れた。

 布団の中で後ろからお腹に腕が回ってくる。八城の腕の感触で、ぴくりと肩が上ずった。

「機嫌直して」
「おこ、ってませ、ん」
「今日は抱かない」
「わか、ってるので、離れて」

 初めから、知っている。

 この部屋から出ていくところを引き留めた時にも今日はしないと聞いていたから、私の緊張も、ふわふわと浮かんでいるくらいでどうにかなっていた。

 これが、今日抱くと宣言されていたら、私は緊張で壊れてしまっていただろう。ハートはばらばらだ。かき集めることもできずに途方に暮れるのだと思う。

 どうにか引き剥がそうとお腹に触れている八城の手を掴んだら、たっぷりと色気を孕んだ声に甘く囁かれた。

「ゴム持ってきてないし」
「……ご、」
「あはは、エッチしたいは言えるのに、ゴムは恥ずかしいの?」

 いつの間にか、私が掴んでいたはずの手に、指先を掴まれている。

 八城の手のひらが熱い。緊張で耳鳴りがしてきそうだ。耳元に八城の声が響いて、たまらず声をあげる。

「な、まなましい、と言いますか」

 下手な言い訳で、八城の声に熱がこもった。

「その生々しいのを、これから俺にされるんだよ」

 八城が男であることを思い知らせるように低く囁かれて、瞬時に彼の手に触れていた指先を引いた。ぱっと離れて安堵の息を吐く前に、今度はがら空きになったお腹に八城の手が這ってくる。

「や、」

 自分の声が、八城を呼びかけたのか、それとも、迫りくる予感に震えて拒絶の言葉を口にしたのか、判別がつかなかった。

 八城の手が、熱を宿すように下腹部をまるくなぞる。

「や、」
「ここ、ぐちゃぐちゃにされて、明菜は力で勝てないから、俺に食われ続けるしかない」
「や、しろさん」
「怖いって言ってもやめてもらえないかもしれない」
「まって、なんでそんな、」

 じわりと熱が灯されて、引きつった声が鳴った。こんなふうに触れられるなんて、知らない。

 何かを孕ませようとするような妖しい手つきで、背筋が勝手に痺れる。

 愛でるよりも、熱を滞留させようとする人の仕草に似ていた。足搔こうにも、がっちりと抱かれる身体は何一つ抵抗の形を作れない。混乱してじたばたと動かした足は、簡単に八城の足に絡めとられた。

 まるで八城の玩具だ。

「花岡も、中田も、男は全員そうだよ。こんな魅力的な女の子を前にして、途中でやめたりできない」
「ん、お、なか……っ、手、ぅ」
「悪いやつなら、酔わせて、好きなだけぐちゃぐちゃに抱く」

 ぞっとするほど低い声に、わけもわからずに何度も頷いた。

 八城は、手加減をしてくれている。何度も思い知らされていることにもう一度気づいてしまった。

 何度も頷くうちに、八城の手が下腹部からそっと離される。身体を拘束していた足の力も緩んで、ようやくすこしだけ呼吸ができるようになった。

 八城の本気の前で、私の抵抗など些末な児戯に等しい。

 熱を孕んだ指先がするすると私の手を探り当てて、優しくつなげられた。すこし前に感じた強引な熱とは違う感触に、心底安堵している。

 私の安堵が伝わったのか、八城に緩やかに抱きしめられる。

「心配だから、俺以外には頼まないでね」

 くつくつと笑いながら、形を確かめるように後ろから抱きしめられる。その熱に侵食されるように、少しずつ落ち着きが戻ってきた。

 ずっと高鳴りっぱなしの心臓を抱えているのに、どうしてこんなにも安心できるのだろうか。

「やしろ、さん」
「俺以外のやつにフラフラしたら」
「し、たら?」
「遠慮なくめちゃくちゃにする」
「めちゃくちゃ、」

 脅しのような言葉なのに、どうしてか優しい。

 胸がきゅっと詰まる甘い声に、身体の奥がじりじりと疼いた。抵抗せずに、八城に握られる手に力を込めたら、八城の額が私の後頭部に擦れる感触がした。

「でも明菜のはじめては、できるだけ優しくしてえし」

 珍しく葛藤するような声が聞こえて、ますます胸が甘く痺れてくる。

 ハートに砂糖を詰め込まれているような気がする。

 八城と一緒にいる時の自分は、砂糖菓子にでもなってしまいそうだ。八城に食べてほしくて、仕方がなくなる。

「やさしく、はたすかり、ます」

 手加減のない八城の熱では、たぶん、ばらばらに散らばってしまうだろう。盲目に好きになりすぎて、どうにかなってしまう。

 早く離れなければならないと思うのに、この熱に触れたら、どうしようもなく手放したくなくなる。

「ん、だから、こういうことされんのは、俺だけにしてください」

 八城さん、恋愛ゲームは難しいです。

 ずっと前から好きだったから、もっと好きになるしかないんです。ずっと私の負けだって、決まっているんです。どうしようもなくずるい嘘を吐いて八城の時間を奪っているから、本当のことなんて言い出せない。

 胸に痺れる愛おしさと苦しさを振り切るようにどうにか八城のほうを向き直して、目を見張っている八城を見た。

「言われなくても、八城さんだけです」

 だから、はやくこの人に抱かれて、全部を終わりにしなければならないと思う。真剣に思っているのに、瞼を三度瞬かせた八城が緩く笑った。

「あー、マジで」
「うん?」
「そういうこと言うのも、俺限定で頼む」
「……八城さんしかいないもん」
「キスしてえ」
「ええ?」

 今度は私が目をまるくしてしまった。

 私の反応を見た八城が小さく笑って掠めるように口づけてきた。間接照明に照らし出された光彩の淡い寝室で、八城の瞳だけがどろどろに甘く輝いていた。

「あきな、もう一回」
「ええ、やし、」

 もう一回と言いながら、何度も繰り返されて、唇が熱を持ってくる。

 眠ると言ってから、どれだけの時間が経っているだろう。何度も触れ合わされて、ふいに、燃えそうに熱い瞳と視線がかち合った。

「や、しろさ」
「あー、クソ」
「うん?」
「寝よ」
「は、い」

 視線を逸らした八城が、きゅっと瞼を瞑った。

 唇も、私を緩く抱きしめる八城の身体も、ぽかぽかと熱い。すぐに眠りに落ちてしまえそうな温かさなのに、八城を意識しすぎて、本当に眠れるのか、不安になってしまった。

 力を入れて瞼を瞑っていた八城は、暫くしてからぱっと目を開いて私を見下ろした。

 優しい腕にぴったりと抱き直されて、首の下に腕が入ってくる。痺れないのかな、と一人で思っているうちに、静かな声が響いた。

「おやすみ」

 八城の声は、いつも溌溂としている印象があるのに、二人の時の声は、どこか優しい。

 こんなにも丁寧に発音してくれるのだと知ってしまったら、本当に離れがたくなるからずるい。

 おやすみをしても、明日には、おはようがあって、八城の休日に、入れてもらえる。

 うれしい明日が待っていることを思い出して、勝手にわくわくしてしまった。

「おやすみなさい」

 私の声を聞いて瞼を下した八城をじっと見上げた。なめらかで綺麗な瞼だと思う。

 ふいに思いだして、何も言わずにそっと近づく。

 生命の鼓動が聞こえてきそうな瞼に静かに口づけて、すぐに八城の腕に戻った。何も言わない八城にもう一度抱き直されて、今度こそ瞼を下す。

 あんなに眠れないと思っていたはずなのに、八城の熱に包まれて、いつの間にか深い眠りの底に転がっていた。

 意識が途切れる前のあやふやな世界で、誰かが私の瞼に優しいキスを落としてくれていた、ような気がする。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

シンデレラは王子様と離婚することになりました。

及川 桜
恋愛
シンデレラは王子様と結婚して幸せになり・・・ なりませんでした!! 【現代版 シンデレラストーリー】 貧乏OLは、ひょんなことから会社の社長と出会い結婚することになりました。 はたから見れば、王子様に見初められたシンデレラストーリー。 しかしながら、その実態は? 離婚前提の結婚生活。 果たして、シンデレラは無事に王子様と離婚できるのでしょうか。

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

【完結】もう一度やり直したいんです〜すれ違い契約夫婦は異国で再スタートする〜

四片霞彩
恋愛
「貴女の残りの命を私に下さい。貴女の命を有益に使います」 度重なる上司からのパワーハラスメントに耐え切れなくなった日向小春(ひなたこはる)が橋の上から身投げしようとした時、止めてくれたのは弁護士の若佐楓(わかさかえで)だった。 事情を知った楓に会社を訴えるように勧められるが、裁判費用が無い事を理由に小春は裁判を断り、再び身を投げようとする。 しかし追いかけてきた楓に再度止められると、裁判を無償で引き受ける条件として、契約結婚を提案されたのだった。 楓は所属している事務所の所長から、孫娘との結婚を勧められて困っており、 それを断る為にも、一時的に結婚してくれる相手が必要であった。 その代わり、もし小春が相手役を引き受けてくれるなら、裁判に必要な費用を貰わずに、無償で引き受けるとも。 ただ死ぬくらいなら、最後くらい、誰かの役に立ってから死のうと考えた小春は、楓と契約結婚をする事になったのだった。 その後、楓の結婚は回避するが、小春が会社を訴えた裁判は敗訴し、退職を余儀なくされた。 敗訴した事をきっかけに、裁判を引き受けてくれた楓との仲がすれ違うようになり、やがて国際弁護士になる為、楓は一人でニューヨークに旅立ったのだった。 それから、3年が経ったある日。 日本にいた小春の元に、突然楓から離婚届が送られてくる。 「私は若佐先生の事を何も知らない」 このまま離婚していいのか悩んだ小春は、荷物をまとめると、ニューヨーク行きの飛行機に乗る。 目的を果たした後も、契約結婚を解消しなかった楓の真意を知る為にもーー。 ❄︎ ※他サイトにも掲載しています。

結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。 絶対に離婚届に判なんて押さないからな」 既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。 まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。 紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転! 純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。 離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。 それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。 このままでは紘希の弱点になる。 わかっているけれど……。 瑞木純華 みずきすみか 28 イベントデザイン部係長 姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点 おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち 後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない 恋に関しては夢見がち × 矢崎紘希 やざきひろき 28 営業部課長 一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長 サバサバした爽やかくん 実体は押しが強くて粘着質 秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?

【完結】あなた専属になります―借金OLは副社長の「専属」にされた―

七転び八起き
恋愛
『借金を返済する為に働いていたラウンジに現れたのは、勤務先の副社長だった。 彼から出された取引、それは『専属』になる事だった。』 実家の借金返済のため、昼は会社員、夜はラウンジ嬢として働く優美。 ある夜、一人でグラスを傾ける謎めいた男性客に指名される。 口数は少ないけれど、なぜか心に残る人だった。 「また来る」 そう言い残して去った彼。 しかし翌日、会社に現れたのは、なんと店に来た彼で、勤務先の副社長の河内だった。 「俺専属の嬢になって欲しい」 ラウンジで働いている事を秘密にする代わりに出された取引。 突然の取引提案に戸惑う優美。 しかし借金に追われる現状では、断る選択肢はなかった。 恋愛経験ゼロの優美と、完璧に見えて不器用な副社長。 立場も境遇も違う二人が紡ぐラブストーリー。

契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」  突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。  冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。  仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。 「お前を、誰にも渡すつもりはない」  冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。  これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?  割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。  不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。  これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。

課長のケーキは甘い包囲網

花里 美佐
恋愛
田崎すみれ 二十二歳 料亭の娘だが、自分は料理が全くできない負い目がある。            えくぼの見える笑顔が可愛い、ケーキが大好きな女子。 × 沢島 誠司 三十三歳 洋菓子メーカー人事総務課長。笑わない鬼課長だった。             実は四年前まで商品開発担当パティシエだった。 大好きな洋菓子メーカーに就職したすみれ。 面接官だった彼が上司となった。 しかも、彼は面接に来る前からすみれを知っていた。 彼女のいつも買うケーキは、彼にとって重要な意味を持っていたからだ。 心に傷を持つヒーローとコンプレックス持ちのヒロインの恋(。・ω・。)ノ♡

恋は襟を正してから-鬼上司の不器用な愛-

プリオネ
恋愛
 せっかくホワイト企業に転職したのに、配属先は「漆黒」と噂される第一営業所だった芦尾梨子。待ち受けていたのは、大勢の前で怒鳴りつけてくるような鬼上司、獄谷衿。だが梨子には、前職で培ったパワハラ耐性と、ある"処世術"があった。2つの武器を手に、梨子は彼の厳しい指導にもたくましく食らいついていった。  ある日、梨子は獄谷に叱責された直後に彼自身のミスに気付く。助け舟を出すも、まさかのダブルミスで恥の上塗りをさせてしまう。責任を感じる梨子だったが、獄谷は意外な反応を見せた。そしてそれを境に、彼の態度が柔らかくなり始める。その不器用すぎるアプローチに、梨子も次第に惹かれていくのであった──。  恋心を隠してるけど全部滲み出ちゃってる系鬼上司と、全部気付いてるけど部下として接する新入社員が織りなす、じれじれオフィスラブ。

処理中です...