鍛冶師×学生×大賢者~継承された記憶で、とんでもスローライフ!?~

かたなかじ

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第十四話

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 ユーゴは資料の中で気になる点をいくつか確認していく。

 その後は、たわいのない雑談を少ししてから部屋を出る。


「――キャティナ! 長い!」

 すると、すぐに先輩受付嬢からぴしゃりと注意が入る。


「ひゃん! ごめんなさい!」

 ビクッとしながら走ってすぐに業務に戻って行くキャティナ。

 残されたユーゴは、先輩受付嬢に軽く頭を下げるとカウンターから出て行く。


 頭の中で情報を整理しながら、ユーゴは依頼が貼られている掲示板を眺めていく。

 冒険者登録していないため、依頼を受けることはできないがどんなものがあるのかと興味津々だった。


 基本となる薬草の採集、魔物の素材依頼、魔物の討伐依頼、別の街への護衛依頼、子どもの子守り、引っ越しの手伝いなどなど、様々な依頼が掲示されている。


「なかなか面白いもんだな。俺も依頼できたりするんだろうか?」

「はい、できますよ!」

 隣で声をかけてきたのはまたもやキャティナだった。


「うおっ! 俺に気配を感じさせずに立つとはやるな……」

「そうですか? それより、依頼ですよね。受けるには冒険者登録をする必要がありますが、依頼を出す分には何らかの身分証明書と適切な報酬を支払うことができれば基本的にはどなたでも可能です」

 ユーゴの反応を意にも介さず、説明を続けていくキャティナ。


「な、なるほど」

 返事を返しつつも、先ほど怒られたばかりのキャティナが隣にいることに人のことながらユーゴはドキドキしてしまう。


「ふふっ、大丈夫ですよ。ギルド内の案内はちゃんとお仕事ですし、先輩の許可ももらってますから! それで、依頼の話に戻りましょう。例えばこんな依頼を出したいとか、そういったものはありますか?」

 ユーゴの心配を察して、先にキャティナが大丈夫であることを説明する。


「それはよかった。それにしても依頼かあ……」

 それを受けて安心したユーゴは、実際に自分が依頼を出すとなるとどんなものになるかを考える。

 さきほど確認した掲示板の依頼を参考に考えている。


「うーん……」

「あ、あの、特にないならまた今度依頼がある時にいらっしゃればご説明しますので……」

 腕を組んで考え込んだユーゴから答えが出てこないのを見て、キャティナが見かねて声をかける。


「いや、そうだな、例えば魔物を倒した場合に、その場所まで案内して欲しいとか?」

 キャティナからもらった情報に加えて、現地に詳しい人物がいればより正確な情報がつかめる。そう考えての案だった。


 しかし、それは反対にキャティナを考え込ませてしまうものとなった。

「どうかしたか? そんなに変な依頼だったかな?」

 自分の依頼のことについて、自問自答するユーゴ。


「あ、えっと違うんです。それならわざわざ依頼をしなくても、私が案内できるなあと思ったので」

 思ってもみなかった言葉にユーゴは面をくらってしまう。

「キャティナが?」

「はい! さっきお見せした調査結果ですが、あれって自分で回って調べているので結構現地にも詳しいんですよ!」

 えっへんと小ぶりな胸をはるキャティナ。


「なるほど……それは助かるかもしれないな。まあ、とりあえずで提案してみただけだから、実際に行くことがあったら、頼むかもしれない。でも仕事があるのに大丈夫なのか? さすがにそんな案内は仕事にあたらないと思うが」

 冒険者ギルドの受付嬢の業務を知っているわけではないが、明らかに業務から逸脱していると考えられる。


「そうなんですよねえ。なので、お休みだったら案内できますので、予定が合えばご一緒しますね! あっ、そろそろいかないとなので、またお話しましょうね」

 そう言うと、キャティナは別の業務に戻って行った。


「ふむ、検討しておくか。何にしてもいい情報をもらえてよかった」

 ユーゴはキャティナから得た情報を思い出し頬が緩みそうになる。しかし、まだギルドで聞いておきたい情報があったため、表情を引き締めてから右手のほうにある素材買取カウンターへと向かう。


「すみません、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

 そう言うと、眼鏡をかけた狼の獣人の男性職員が応対してくれる。

「はい、いらっしゃいませ。どういったことをお聞きになりたいのでしょうか?」

 顔が狼、身体が人間タイプの獣人である彼は、笑顔でユーゴに問いかける。


「素材の買取っていうのは冒険者にならないとしてもらえないのか?」

「いえいえ、冒険者でなくても大丈夫ですよ。実際、商人の方が持ち込むこともありますし、お金持ちの方が雇った部下が集めてきたものを持ち込むこともありますので」

 それを聞いてユーゴは安心する。


 魔物素材を集めたとしても、それを持ち込める場所がなければ困ると思っていた。


「ただ、冒険者の方であれば買取金額が一割上乗せされます。なので、登録されたほうがお得だと思いますよ?」

 説明だけにとどまらず、ギルド職員として冒険者ギルドへの勧誘をしてくる狼獣人の職員。


「あぁ、それはまた検討してみるよ。とりあえず買取してくれるってわかったのは収穫だ。ちなみに、どんなものだと買取できないとかそういうのはあるのかな?」

 ユーゴの質問に狼獣人の職員がしばし考え込む。


「……例えば、魔物の血液や吐き出したものなどは買取を拒否する場合があります。魔物の血液に関しては病気や呪いの感染の危険性があります。吐き出したものは、ねえ、その衛生的に……」

 そこまで聞いてユーゴは理解する。


「なるほど、よほどのものでなければ査定はしてもらえるということか。その情報だけもらえれば十分だ。ちなみに、買い取ったものはどうなるんだ?」

 依頼があって納品したものであれば、評価後に依頼主に渡される。


 しかし、ただ買い取ったものはどういう流通にのるのかが謎だった。


「おぉ、その質問をされるのは初めてです。みなさん買い取ったあとのことには興味がないようで……。買い取ったものは、ギルドと取引している商人へ売ったり、王都にある冒険者ギルドに持ち込んでそこから色々と処理をしたりもするようです」

「なるほど、となると持ち込まれた素材を買おうと思ったらその商人のところへ行くか王都に行くしかないということか……」

 ユーゴはそう呟いたが、後半は聞こえなかったらしく狼獣人の職員は首を傾げていた。


「いや、色々教えてくれてありがとう。何かあったらまた来るよ」

 そして、ユーゴはそう言うと冒険者ギルドをあとにした。


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