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第二十九話
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一時間を超える話し合いの末、ディアニスたちからクライブたちへのお礼の内容が決定する。
「――えーっと、一つ目が当座の生活費を出してくれること。二つ目が俺たちがこの街で拠点とする家を用意してくれること……というか買ったものの使っていなかった別宅を使っていいということだったな。で、管理が大変だから管理の担当も紹介してくれる、と」
話し合いの中で、大恩人に敬語を使わせるのは忍びないといわれてクライブは口調をいつものものへと変更していた。
「はい、それ以外にも必要と思われるものがあればなんなりとお声がけ下さい」
ディアニスたちはエルフだったが、どうやらこの街の権力者の一人で、クライブたちに困ったことがあれば色々と融通をきかせてくれるということだった。
「あー、まあその機会があったら頼むよ。それじゃあ早速その別宅に行ってみようか」
ここにいれば家をあげて歓待されることはわかっていたが、今まで良い扱いを受けた経験の少ないクライブからすると、どうにも居心地が悪いため、どこか早く外に出たい気持ちが強かった。
「な、何もそんなに急がずとも、今日はうちに泊まっていっていただいても構わないのですよ?」
引き留めようとするディアニスだったが、クライブは困ったように笑って首を横に振る。
「歓迎してくれるのはありがたいんだけど、俺たちはこの街にきたばかりだから色々と散策もしたいし、この街に何があるのかを自分の目で見て歩き回りたいんだ。というわけなので、その家に誰か案内してくれると助かるんだけど……」
クライブの決意は固く、隣にいるフィオナも何度も頷いているため、これ以上の引き留めは無駄だとディアニスは諦める。
「承知しました……それじゃあエルナを呼んでくれるか?」
部屋に待機していた執事が頷き、部屋をでていく。
数分して彼が戻ってくると、一緒に深い青色の髪をした女性がついてきていた。
「エルナ、挨拶をしなさい」
ディアニスに挨拶を促され、執事に軽く背中を押されたエルナは一歩前に出る。
「お初にお目にかかります。エルナと申します。この度、みな様のお世話を仰せつかりました。以後、よろしくお願いします」
スカートのすそをつまんで、うやうやしく一礼をするエルナに対して、クライブもフィオナも感嘆のため息をついていた。
ロングのメイド服を着た彼女は背筋が伸びていて姿勢がよく、先ほどの礼も見惚れるほどに優雅なものだった。
しかし、どことなく愁いを帯びた笑顔からは何か大きな経験をしてきたのだろうということを感じさせる。
「彼女は若いですが、うちにいるメイドの中でも気が利く者で、みなさんのお役にたつと思います。家の掃除に料理などの家事だけでなく、この街のことにも詳しいので色々と頼ってあげて下さい」
ディアニスのエルナに対する評価は高いらしく、恩人の世話に彼女を選んだのにも十分な根拠があった。
「エルナは優しい子ですので、フィオナともきっと仲良くなれると思いますよ」
優しく微笑みながらそう補足をしたのはミーナである。
さすがに『様』づけで呼ばれるのには抵抗があったため、固辞して、妥協案でクライブは『さん』づけ、フィオナは呼び捨てにするということに決まっていた。
「エルナ、わたしのなまえはフィオナ。よろしくね」
フィオナはエルナの前まで移動するとニコーッと笑って右手を前に差しだす。
すると、エルナは柔らかく笑顔を返して膝を曲げると目線の高さをフィオナに合わせる。
そして、フィオナの手を優しく握る。
「はい、フィオナ様。私はエルナです、よろしくお願いします」
しかし、笑顔だったフィオナはある単語を聞いて不満げに唇を尖らせる。
「フィオナ!」
「えっ? えっと……」
自身の名前を強く口にするフィオナに対して、エルナは戸惑い視線をクライブへと向け、助けを求める。
「エルナ、悪いがフィオナのことはフィオナって呼んでやってくれ。さん、はつけなくていい。俺のことも別に呼び捨てで構わないぞ」
「ええっと、その……」
クライブの説明を受けたエルナだったが、これから使用人して勤める家の主人たちに対して果たして呼び捨てをしてもいいものか逡巡していた。
「エルナ、お二人が言っているのだ。そうさせてもらいなさい。お二人の流儀に合わせるのも大事なことだ」
本来の主人であるディアニスに言われたことで、エルナも決心する。
「それではフィオナ、よろしくお願いします」
再び握手を交わした二人は、双方ともに笑顔になっており、それを見ていた他の面々も全員笑顔になっていた。
「それじゃあエルナ、悪いんだけど早速案内してもらっていいかな? 家まで案内してくれれば、あとは自由にしてくれて構わないよ。あっちの家のことをやってもらってもいいし、こっちの家のことをやってもらってもいいし、もしあちらに住むのであれば荷物の準備をしないとだろうし」
このクライブの話を聞いてディアニスは互いの根本的な認識の違いに気づく。
「……クライブさん、エルナはお二人に仕える形になります。その説明に関してはうちの執事が全てしており、エルナ自身も納得しているのです。そして、そちらの屋敷の管理も基本的に彼女がやることになりますので、住み込みという形になります。給与に関しては私のほうで支払い続けますのでお気になさらないで下さい」
説明足らずだったと申し訳なさそうな表情のディアニスはエルナの処遇について改めて説明をしていく。
しかし、ここにきて今度はクライブは眉間に皺をよせて難しい顔をしている。
「ど、どうかしましたか……?」
その変化を感じ取ったミーナが慌てて問いかける。
「いや、うーん。なるほどなって」
そう口にすると、クライブもエルナのもとへと移動する。
「エルナ、俺の名前はクライブだ。これから俺たちと一緒に住んで、俺たちに仕えるってことらしいが、本当に構わないのか?」
真剣な表情のクライブはエルナの目を見て、改めて質問する。
彼女は本来の勤め先から、得体の知れないクライブたちのもとへと異動になる。
いくらディアニスたちの恩人とはいえ、それを簡単は納得できていないのではないかとクライブは考えていた。
「……ふふっ、クライブもフィオナも優しいのですね。大丈夫です。お二人がなされたことは私も離れた場所で見ていましたし、人となりもお話の中でとなりますが聞き及んでいます。そのうえで納得していると思って下さい。また、お許しいただけるのであれば、不満があればたまに口にしたいと思います」
クライブの真剣な顔に思わずくすっと笑みをこぼしたエルナは慈愛に満ちた表情でうなづいた。
エルナはクライブとフィオナに対して既に好意的な印象を持っていた。
その印象はこれまでの彼らとのやりとりによって、より良い方向へと変化している。
「そうか、エルナがいいなら俺も構わない。ただ、給料に関しては俺たちのほうで支払うから今の給料とかはあとで聞かせてもらおうかな。――というわけで、色々とお世話になりました。俺たちは早速出発します。それじゃ、また!」
これまた、曲げるつもりはないという意思を示してからフィオナとエルナの手を引いてすぐに部屋を出て行こうとする。
後ろからクライブたちを止める声が聞こえて来たが、それでもクライブは足を止めることなくずんずん進んでいった。
ガルムとプルルも置いていかれないように、すぐにクライブたちのあとを追いかけていた。
屋敷をあとにしたクライブたちは、速度を落として話をしながらこれから住む予定の家へと案内してもらう。
「はあ……悪い人じゃないんだけどあのお礼の連続攻撃はちょっと困るなあ。別に大したことはしていないんだけど」
「でも、クライブはいいことしたよー?」
謙遜するクライブのことをフィオナがにぱっとした笑顔を見せながら褒める。
結果に対して、しっかりと褒めてくれるという構図はクライブにとって心地よいものである。
「フィオナの言うとおりです。クライブはとても良いことをされました。何をしたのかわかりませんでしたが、クライブのおかげであの木は元気を取り戻したのです。もっと誇ってよいと思います!」
エルナもフィオナに続いてクライブの魔術のことを褒め、到着する頃にはクライブは顔から笑顔が消えなくなるほどだった。
「――えーっと、一つ目が当座の生活費を出してくれること。二つ目が俺たちがこの街で拠点とする家を用意してくれること……というか買ったものの使っていなかった別宅を使っていいということだったな。で、管理が大変だから管理の担当も紹介してくれる、と」
話し合いの中で、大恩人に敬語を使わせるのは忍びないといわれてクライブは口調をいつものものへと変更していた。
「はい、それ以外にも必要と思われるものがあればなんなりとお声がけ下さい」
ディアニスたちはエルフだったが、どうやらこの街の権力者の一人で、クライブたちに困ったことがあれば色々と融通をきかせてくれるということだった。
「あー、まあその機会があったら頼むよ。それじゃあ早速その別宅に行ってみようか」
ここにいれば家をあげて歓待されることはわかっていたが、今まで良い扱いを受けた経験の少ないクライブからすると、どうにも居心地が悪いため、どこか早く外に出たい気持ちが強かった。
「な、何もそんなに急がずとも、今日はうちに泊まっていっていただいても構わないのですよ?」
引き留めようとするディアニスだったが、クライブは困ったように笑って首を横に振る。
「歓迎してくれるのはありがたいんだけど、俺たちはこの街にきたばかりだから色々と散策もしたいし、この街に何があるのかを自分の目で見て歩き回りたいんだ。というわけなので、その家に誰か案内してくれると助かるんだけど……」
クライブの決意は固く、隣にいるフィオナも何度も頷いているため、これ以上の引き留めは無駄だとディアニスは諦める。
「承知しました……それじゃあエルナを呼んでくれるか?」
部屋に待機していた執事が頷き、部屋をでていく。
数分して彼が戻ってくると、一緒に深い青色の髪をした女性がついてきていた。
「エルナ、挨拶をしなさい」
ディアニスに挨拶を促され、執事に軽く背中を押されたエルナは一歩前に出る。
「お初にお目にかかります。エルナと申します。この度、みな様のお世話を仰せつかりました。以後、よろしくお願いします」
スカートのすそをつまんで、うやうやしく一礼をするエルナに対して、クライブもフィオナも感嘆のため息をついていた。
ロングのメイド服を着た彼女は背筋が伸びていて姿勢がよく、先ほどの礼も見惚れるほどに優雅なものだった。
しかし、どことなく愁いを帯びた笑顔からは何か大きな経験をしてきたのだろうということを感じさせる。
「彼女は若いですが、うちにいるメイドの中でも気が利く者で、みなさんのお役にたつと思います。家の掃除に料理などの家事だけでなく、この街のことにも詳しいので色々と頼ってあげて下さい」
ディアニスのエルナに対する評価は高いらしく、恩人の世話に彼女を選んだのにも十分な根拠があった。
「エルナは優しい子ですので、フィオナともきっと仲良くなれると思いますよ」
優しく微笑みながらそう補足をしたのはミーナである。
さすがに『様』づけで呼ばれるのには抵抗があったため、固辞して、妥協案でクライブは『さん』づけ、フィオナは呼び捨てにするということに決まっていた。
「エルナ、わたしのなまえはフィオナ。よろしくね」
フィオナはエルナの前まで移動するとニコーッと笑って右手を前に差しだす。
すると、エルナは柔らかく笑顔を返して膝を曲げると目線の高さをフィオナに合わせる。
そして、フィオナの手を優しく握る。
「はい、フィオナ様。私はエルナです、よろしくお願いします」
しかし、笑顔だったフィオナはある単語を聞いて不満げに唇を尖らせる。
「フィオナ!」
「えっ? えっと……」
自身の名前を強く口にするフィオナに対して、エルナは戸惑い視線をクライブへと向け、助けを求める。
「エルナ、悪いがフィオナのことはフィオナって呼んでやってくれ。さん、はつけなくていい。俺のことも別に呼び捨てで構わないぞ」
「ええっと、その……」
クライブの説明を受けたエルナだったが、これから使用人して勤める家の主人たちに対して果たして呼び捨てをしてもいいものか逡巡していた。
「エルナ、お二人が言っているのだ。そうさせてもらいなさい。お二人の流儀に合わせるのも大事なことだ」
本来の主人であるディアニスに言われたことで、エルナも決心する。
「それではフィオナ、よろしくお願いします」
再び握手を交わした二人は、双方ともに笑顔になっており、それを見ていた他の面々も全員笑顔になっていた。
「それじゃあエルナ、悪いんだけど早速案内してもらっていいかな? 家まで案内してくれれば、あとは自由にしてくれて構わないよ。あっちの家のことをやってもらってもいいし、こっちの家のことをやってもらってもいいし、もしあちらに住むのであれば荷物の準備をしないとだろうし」
このクライブの話を聞いてディアニスは互いの根本的な認識の違いに気づく。
「……クライブさん、エルナはお二人に仕える形になります。その説明に関してはうちの執事が全てしており、エルナ自身も納得しているのです。そして、そちらの屋敷の管理も基本的に彼女がやることになりますので、住み込みという形になります。給与に関しては私のほうで支払い続けますのでお気になさらないで下さい」
説明足らずだったと申し訳なさそうな表情のディアニスはエルナの処遇について改めて説明をしていく。
しかし、ここにきて今度はクライブは眉間に皺をよせて難しい顔をしている。
「ど、どうかしましたか……?」
その変化を感じ取ったミーナが慌てて問いかける。
「いや、うーん。なるほどなって」
そう口にすると、クライブもエルナのもとへと移動する。
「エルナ、俺の名前はクライブだ。これから俺たちと一緒に住んで、俺たちに仕えるってことらしいが、本当に構わないのか?」
真剣な表情のクライブはエルナの目を見て、改めて質問する。
彼女は本来の勤め先から、得体の知れないクライブたちのもとへと異動になる。
いくらディアニスたちの恩人とはいえ、それを簡単は納得できていないのではないかとクライブは考えていた。
「……ふふっ、クライブもフィオナも優しいのですね。大丈夫です。お二人がなされたことは私も離れた場所で見ていましたし、人となりもお話の中でとなりますが聞き及んでいます。そのうえで納得していると思って下さい。また、お許しいただけるのであれば、不満があればたまに口にしたいと思います」
クライブの真剣な顔に思わずくすっと笑みをこぼしたエルナは慈愛に満ちた表情でうなづいた。
エルナはクライブとフィオナに対して既に好意的な印象を持っていた。
その印象はこれまでの彼らとのやりとりによって、より良い方向へと変化している。
「そうか、エルナがいいなら俺も構わない。ただ、給料に関しては俺たちのほうで支払うから今の給料とかはあとで聞かせてもらおうかな。――というわけで、色々とお世話になりました。俺たちは早速出発します。それじゃ、また!」
これまた、曲げるつもりはないという意思を示してからフィオナとエルナの手を引いてすぐに部屋を出て行こうとする。
後ろからクライブたちを止める声が聞こえて来たが、それでもクライブは足を止めることなくずんずん進んでいった。
ガルムとプルルも置いていかれないように、すぐにクライブたちのあとを追いかけていた。
屋敷をあとにしたクライブたちは、速度を落として話をしながらこれから住む予定の家へと案内してもらう。
「はあ……悪い人じゃないんだけどあのお礼の連続攻撃はちょっと困るなあ。別に大したことはしていないんだけど」
「でも、クライブはいいことしたよー?」
謙遜するクライブのことをフィオナがにぱっとした笑顔を見せながら褒める。
結果に対して、しっかりと褒めてくれるという構図はクライブにとって心地よいものである。
「フィオナの言うとおりです。クライブはとても良いことをされました。何をしたのかわかりませんでしたが、クライブのおかげであの木は元気を取り戻したのです。もっと誇ってよいと思います!」
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