わたし、九尾になりました!! ~魔法と獣医学の知識で無双する~

惟名 水月

文字の大きさ
32 / 51
九尾転生編

32話 電撃制圧作戦

しおりを挟む
「もう少しで帝国領だ」

 1人の兵士が俺へと報告に来た。ついに決戦の時が近づいてきた。俺達は飛空船に乗り、帝国へと向かっていた。

 あの事件から数日後、連邦は帝国との全面戦争を掲げたのだ。おそらく、あの事件で、帝国は連邦を一気に沈めるつもりだったようだ。そのためにラヴィルと言う男を大神の足止めに用いてたのだろう。

 しかし、作戦は完全には成功しなかった。叩くなら今しか無い。そういう王様の判断であった。敵に回したら恐ろしい男である。

「イーナ様……大丈夫だよね……?」

 ルカが不安そうに呟く。

「大丈夫だよ。きっと」

 根拠は無かったが、自分自身を鼓舞させるように俺はルカへと答えた。

 作戦はこうだ。まず、帝国がフリスディカに攻めてきたときの飛空船で帝国の首都へと移動する。そして、連邦軍の兵士達が、一気に帝国の首都へと突入する。そして、混乱に乗じて、俺達や夜叉で一気に敵の中枢を抑えると言ったものだ。

 電撃制圧作戦

 それが今回のミッションであった。少人数での制圧作戦である。現状、連邦には戦力が不足しているのもあり、時間をかけた戦いは不利になるという判断だ。



 そして、船は帝国の首都、エールヴィアへとついたのである。

 ゆっくりと空港へと飛空船は下りていく。やけに静かである……

「流石に…… ばれてるかな……」

「イーナ! ばれてても関係ない。ここまで来たら、やるしかないのだ」

 ミドウは力強く答えた。そう、もはや後戻りは出来ない。そして、ゆっくりと飛空船の扉が開く。

「やっぱり……」

 どこから現れたのか、大量の兵士がこちらへと銃を向けている。

「ミドウ、シナツ……」

 俺の呟きに、2人も頷く。

「行くぞ、一気に突破だ!」

 ミドウが叫ぶと、俺達は一気に飛空船から走り出した。それと同時に銃声が鳴り響く。

 銃も、大神のスピード、それに夜叉の肉体の前では意味をなさなかった。大神や夜叉達はどんどん帝国の兵士達を崩していく。

 帝国の兵士の軍団の方に向けて炎を放つ。鎧をまとった兵士達は灼かれてもがき苦しんでいる。罪悪感が無いといえば嘘になるが、もはやそんな感情は殺していた。

「な、なんだあいつらは……?」

 次第に帝国軍は混乱を極めていく。中には逃げ出すもの、戦意を喪失したものもいる。かくして、とりあえず上陸の第一段階は成功した。結果オーライだが作戦は成功だ。

「イーナよ!このまま中心部へ突っ込むぞ!」

 ミドウの言葉に皆、鼓舞されて士気が上がる。

「中枢の位置は分かるの!?」

 俺はミドウに問いかける。

「ああ、こっちだ!ついてこい!」

 味方は街中へと分散していった。そもそもただの人間では神通力を使うものの前では歯が立たない。味方軍の役目はあくまで敵軍の攪乱である。

「時間との闘いだ。相手が立て直す前に一気にたたきつぶす!」

 ミドウは再び俺達に叫ぶ。そしてその時、目の前に1人の兵士が立ちはだかった。ただ者ではないオーラを放っている。おそらく神通力を使いこなす奴であろう。

 消えた…… と思いきや、急に俺達の前へとそいつは現れた。そいつが振ってきた剣は鈍い音を立てて、シータによって防がれた。

「イーナ!先に行け!」

 シータが俺達に叫ぶ。

 今は、こんなところで足を取られている場合では無い。それにシータなら大丈夫。俺は信じている。

「後から!追いつく!」

 その言葉に、俺は頷く。

 そして、シータに奴の相手は任せ、俺達はさらに先へと進んだ。



「いいのか?奴ら……死ぬかも知れないぞ」

 兵士はシータに向かって、言い放つ。その言葉に、シータは笑って答える。

「さて、どちらが最後に立っているのか、それは誰にも分からん。だが……」

「俺はイーナを信じて、全力を尽くすまでよ!」

 そう言うと、シータは兵士へと一気に斬りかかった。しかしかわされたようだ。

「早いな……」

 シータが呟くと、再び男は突然にシータの前へと現れ、剣を振るってきた。その激しい剣をシータは的確に防いでいく。

「ほう、やるな…… お前は何者だ?」

 兵士は、感心した様子でシータへと問いかけた。

「シータ…… 今はただの、旅人さ」

 シータは剣を構えながら、ゆっくりと、何か感慨にふけるような様子で自分の名を口にする。

「ただの旅人だと、嘘を言え、お前の正体、帝国第4部隊長ルキウスが見極めてやろう」

 ルキウスはシータの言葉に、不敵に笑いながら返した。シータもその言葉に、笑みを浮かべる。

――しかし……

――この男、やはり強い。私も全力で行かねばなるまいな……



 シータの姿を見たルキウスは少し驚いた様子で口を開く。

「やはり…… ただの旅人ではないではないか…… ドラゴンよ!」

 いまここに、再びファニフシータは蘇ったのである。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる

ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。 レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。 これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた

たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。 女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。 そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。 夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。 だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……? ※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません…… ※他サイト様にも掲載始めました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...