34 / 51
九尾転生編
34話 夜叉の未来
しおりを挟む
宮殿へと入った俺達を待っていたのは2人の男であった。その男を見て、ミドウは小さく呟く。
「ナオビ……」
その目線の先には、六芒星の赤眼をもつ男、ミドウの息子であろう、夜叉の血を継ぐ若い男が立っていた。
「皆、情けないな。なあナオビ」
もう1人の男はナオビへと向かって話しかけた。
「あなたが…… アルヴィス……?」
俺の言葉に、アルヴィスは答えた。
「そうだ、亡き帝国の復興を誓い、俺達は長きにわたって、研究を重ねた。そして、寄生虫の力で、お前達の様な神通力を得られたのだ!」
「寄生虫の力……?」
俺の問にさらにアルヴィスは答える。
「リラは言っていた。俺達の中にも、確かに神通力の力は眠っていると。俺達は、その力を呼び起こす方法を必死に探ったのだ。そして、見つけた。ある生物の力を用いれば、人間でも神通力とよばれる力が使えるようになるとな!」
「なら…… 今世界に流行っているという奇病は……」
「あれは失敗作だ。大いなる犠牲は払ったが、俺は帝国を代償にこの力を得たのだ。だからこそ、帝国を再び蘇らせなければならない!」
さらにアルヴィスは続けた。
「九尾、温羅、この世界に神は4人はいらない。俺1人で十分なのだ」
そう言うとアルヴィスは1人奥へと歩いて行った。
「こい、俺が直接、引導を渡してやろう」
明らかにアルヴィスはこちらを誘っているようだ。まるで準備された処刑台へと誘うように。
「イーナ!私は決着を付けねばならんことがある。アルヴィスはお前に任せても良いか?」
決着とは夜叉内の話だろう。それは俺が決して関与出来るものではない。
「分かった。 そっちは任せたよミドウさん!」
そして俺はルカとテオ、ナーシェに向かって言った。
「ルカ、テオ、ナーシェ……みんなはここにいて。私が決着を付けてくる」
皆ついて行きたいという顔をしていたが、明らかにここからは危険である。連れて行くわけにはいかない。
「大丈夫。私を信じて」
その言葉に皆が頷く。
そして、俺は1人、アルヴィスの待つ奥へと進んでいった。
「なあ、ナオビよ。私達も決着を付けねばなるまい」
ミドウはナオビに向かって言う。ナオビは静かに答える。
「夜叉は落ちぶれた。だからこそ、俺が再び強い夜叉を作らなければならない。お前を超えて」
そう言うと2人の拳は交じり合った。激しい肉弾戦である。
「ナオビ、お前の求める強さとはなんだ?」
ナオビの強い右拳を左手で受け止め、ミドウはナオビへと尋ねた。
「なぜ夜叉を変えようとする?」
ミドウの質問にナオビは質問で返す。
「前までの夜叉のやり方は間違っている。そう思ったからだ!」
ミドウの想いを込めた右パンチはナオビの顔へと入ったようだ。
「くっ……」
ナオビは少しよろめきながら答える。
「人間は利用してこそだ。夜叉こそが一番強くなければならない!」
そう言うとナオビはやり返すかのようにミドウの顔面に右パンチを入れる。
こうなると、戦争と言うよりももはや親子げんかといったものに近いのかも知れない。
ミドウは頬を拭いながら、ナオビに問いかける。
「その結果どうだ? 今や夜叉は人間の前では敵わなくなりつつある。だからこそ、これからは種族関係なく手を取り合っていかなければならないのだ!」
再びミドウのパンチがナオビへとはいる。
「くそったれ…… お前がそんな甘いことを言ってるから夜叉が落ちぶれたんじゃねえか!」
ナオビの拳はミドウの腹部へとはいった。ミドウは少しよろめいてやり返す。
「だからこそ帝国を利用し、人間をつぶそうとしたのか?浅はかな奴め……」
ミドウの拳がナオビのみぞおちへとはいる。
「ぐっ……」
お互いの重い一撃一撃に、ミドウ、ナオビの口からは血が零れていた。
「どっちにしても、あんな女じゃアルヴィスは倒せない……」
「それはどうかな? お前は何も分かってないな」
そしてミドウの右フックがナオビの左頬へと直撃する。
「お前はいつもいつもそうやって!俺を子供扱いしやがって」
ナオビも負けじとやり返す。
気付けば、防御もせずに2人は殴り合っていた。お互い、立つのも限界が近いようである。
ナオビはよろめく身体にムチを打って、動き出した。
「俺は…… 強い夜叉の為に、親父には負けられないんだよ!」
そう言いながら放った右拳はミドウのみぞおちへとはいったようだ。ミドウがよろめく。しかし、ミドウは両足にぐっと力を入れ、その一撃をこらえ、ナオビにカウンターパンチを放った。
「いつまでも、子供でいれると思うな!」
ミドウの一撃は再びナオビの顔面へとはいった。そして2人共に崩れ落ちたのだ。
もはや満身創痍となったミドウは、同じく、床へと転がるナオビに対して一言呟いた。
「ナオビ…… 答えはあの2人が出してくれる…… 私が正しいか、お前が正しいか、あとはあの2人に託そうじゃないか」
ナオビは苦しそうに、一言呟いた。
「くそったれ……」
俺はついに、そこへとたどり着いた。全ての元凶の目の前へ。
「アルヴィス…… お前だけは許さない」
そう、サクヤだけじゃない、人々を苦しめた全ての元凶。そいつは不敵に笑って、こちらに言い放った。
「どちらが世界の神か…… 決めようではないか」
「ナオビ……」
その目線の先には、六芒星の赤眼をもつ男、ミドウの息子であろう、夜叉の血を継ぐ若い男が立っていた。
「皆、情けないな。なあナオビ」
もう1人の男はナオビへと向かって話しかけた。
「あなたが…… アルヴィス……?」
俺の言葉に、アルヴィスは答えた。
「そうだ、亡き帝国の復興を誓い、俺達は長きにわたって、研究を重ねた。そして、寄生虫の力で、お前達の様な神通力を得られたのだ!」
「寄生虫の力……?」
俺の問にさらにアルヴィスは答える。
「リラは言っていた。俺達の中にも、確かに神通力の力は眠っていると。俺達は、その力を呼び起こす方法を必死に探ったのだ。そして、見つけた。ある生物の力を用いれば、人間でも神通力とよばれる力が使えるようになるとな!」
「なら…… 今世界に流行っているという奇病は……」
「あれは失敗作だ。大いなる犠牲は払ったが、俺は帝国を代償にこの力を得たのだ。だからこそ、帝国を再び蘇らせなければならない!」
さらにアルヴィスは続けた。
「九尾、温羅、この世界に神は4人はいらない。俺1人で十分なのだ」
そう言うとアルヴィスは1人奥へと歩いて行った。
「こい、俺が直接、引導を渡してやろう」
明らかにアルヴィスはこちらを誘っているようだ。まるで準備された処刑台へと誘うように。
「イーナ!私は決着を付けねばならんことがある。アルヴィスはお前に任せても良いか?」
決着とは夜叉内の話だろう。それは俺が決して関与出来るものではない。
「分かった。 そっちは任せたよミドウさん!」
そして俺はルカとテオ、ナーシェに向かって言った。
「ルカ、テオ、ナーシェ……みんなはここにいて。私が決着を付けてくる」
皆ついて行きたいという顔をしていたが、明らかにここからは危険である。連れて行くわけにはいかない。
「大丈夫。私を信じて」
その言葉に皆が頷く。
そして、俺は1人、アルヴィスの待つ奥へと進んでいった。
「なあ、ナオビよ。私達も決着を付けねばなるまい」
ミドウはナオビに向かって言う。ナオビは静かに答える。
「夜叉は落ちぶれた。だからこそ、俺が再び強い夜叉を作らなければならない。お前を超えて」
そう言うと2人の拳は交じり合った。激しい肉弾戦である。
「ナオビ、お前の求める強さとはなんだ?」
ナオビの強い右拳を左手で受け止め、ミドウはナオビへと尋ねた。
「なぜ夜叉を変えようとする?」
ミドウの質問にナオビは質問で返す。
「前までの夜叉のやり方は間違っている。そう思ったからだ!」
ミドウの想いを込めた右パンチはナオビの顔へと入ったようだ。
「くっ……」
ナオビは少しよろめきながら答える。
「人間は利用してこそだ。夜叉こそが一番強くなければならない!」
そう言うとナオビはやり返すかのようにミドウの顔面に右パンチを入れる。
こうなると、戦争と言うよりももはや親子げんかといったものに近いのかも知れない。
ミドウは頬を拭いながら、ナオビに問いかける。
「その結果どうだ? 今や夜叉は人間の前では敵わなくなりつつある。だからこそ、これからは種族関係なく手を取り合っていかなければならないのだ!」
再びミドウのパンチがナオビへとはいる。
「くそったれ…… お前がそんな甘いことを言ってるから夜叉が落ちぶれたんじゃねえか!」
ナオビの拳はミドウの腹部へとはいった。ミドウは少しよろめいてやり返す。
「だからこそ帝国を利用し、人間をつぶそうとしたのか?浅はかな奴め……」
ミドウの拳がナオビのみぞおちへとはいる。
「ぐっ……」
お互いの重い一撃一撃に、ミドウ、ナオビの口からは血が零れていた。
「どっちにしても、あんな女じゃアルヴィスは倒せない……」
「それはどうかな? お前は何も分かってないな」
そしてミドウの右フックがナオビの左頬へと直撃する。
「お前はいつもいつもそうやって!俺を子供扱いしやがって」
ナオビも負けじとやり返す。
気付けば、防御もせずに2人は殴り合っていた。お互い、立つのも限界が近いようである。
ナオビはよろめく身体にムチを打って、動き出した。
「俺は…… 強い夜叉の為に、親父には負けられないんだよ!」
そう言いながら放った右拳はミドウのみぞおちへとはいったようだ。ミドウがよろめく。しかし、ミドウは両足にぐっと力を入れ、その一撃をこらえ、ナオビにカウンターパンチを放った。
「いつまでも、子供でいれると思うな!」
ミドウの一撃は再びナオビの顔面へとはいった。そして2人共に崩れ落ちたのだ。
もはや満身創痍となったミドウは、同じく、床へと転がるナオビに対して一言呟いた。
「ナオビ…… 答えはあの2人が出してくれる…… 私が正しいか、お前が正しいか、あとはあの2人に託そうじゃないか」
ナオビは苦しそうに、一言呟いた。
「くそったれ……」
俺はついに、そこへとたどり着いた。全ての元凶の目の前へ。
「アルヴィス…… お前だけは許さない」
そう、サクヤだけじゃない、人々を苦しめた全ての元凶。そいつは不敵に笑って、こちらに言い放った。
「どちらが世界の神か…… 決めようではないか」
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?
山咲莉亜
ファンタジー
ある日、高校二年生だった桜井渚は魔法を扱うことができ、世界最強とされる精霊王に転生した。家族で海に遊びに行ったが遊んでいる最中に溺れた幼い弟を助け、代わりに自分が死んでしまったのだ。
だけど正直、俺は精霊王の立場に興味はない。精霊らしく、のんびり気楽に生きてみせるよ。
趣味の寝ることと読書だけをしてマイペースに生きるつもりだったナギサだが、優しく仲間思いな性格が災いして次々とトラブルに巻き込まれていく。果たしてナギサはそれらを乗り越えていくことができるのか。そして彼の行動原理とは……?
ロマンス、コメディ、シリアス───これは物語が進むにつれて露わになるナギサの闇やトラブルを共に乗り越えていく仲間達の物語。
※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる