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東方編
51話 四神同盟
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「ミズチよ、久しぶりだな。イーナも道中アマツが大変お世話になった。礼を言う」
私とミズチはミドウの元へときていた。シナツもどうやら呼ばれたようで、4神が揃っての会談の時である。
「もう聞いておろうが、今世界情勢は不安定になりつつある。先日の帝国による侵攻。なんとか妨げたが今や連邦は混乱に陥っている。そして、アレナ聖教国の不穏な動き、再び戦いとなれば、今度こそ無事では済まないだろう」
ミドウの話を遮るようにミズチが口を開く。
「温羅、お前の言いたいことは分かった。だが、なぜ俺達が人間に協力せねばならんのだ?勝手に戦わせておけば良いのではないか?」
ミドウが続ける。
「私も以前はそう思っておった。だが我々は変わらねばならぬ。確実に時代は変わっているのだ」
ミドウは前向きな表情を浮かべ、語った。そして少し深刻な様子でさらに続けたのである。
「それに、そうもいってられない事情もある。先の戦いでは人間が我々の力を不完全ではあるが使いこなしつつあった。そして、聞いた話によるとアレナ聖教国は表向きは中立国として独立を保ってはいるが、裏で帝国とも繋がっていたという話も聞く。このタイミングで不穏な話が出るのも、そういうことではないだろうか」
あくまで推測の域は出ない話ではある。だがそれにしてはタイミングが良すぎる。
「そういうことか、それで俺達で何をしようというのだ」
ミズチは頷きながらミドウに問いかけた。
「今の段階で何かという話ではない。ただ、我々もお互い引きこもっているのではなく、もっと助け合うことが必要なのではないかという話だ。人間が連邦を組織して発展したなら我々も同じことをすれば良い」
「つまり同盟を組むってこと?」
私の問いかけにミドウは静かに頷いた。
「幸いなことに、最近は人間も我々を受け入れつつある。まだ完全にわかり合うことは難しいかも知れないが、そうなれば将来的にはお互い助け合うことも出来るだろう。それに、4神同士の同盟とならば、悪い人間がいたとしてもそう簡単に手出しはできないだろうしな。さすれば自分たちの身を守ることにも繋がる」
そう言われては、ミズチもさすがに受け入れざるを得ないであろう。やはりミドウは敵に回すには恐ろしすぎる男である。
「だが、人間からすれば、俺達は脅威でもある。さらに同盟なんぞ組もうものなら、今度は人間達が俺達を目の敵にする可能性はないのか?」
シナツの言ったこと、確かにその可能性は大いにありうる。今でこそ、友好な関係は築けているが、同盟を組むと言うことは人間と我々のパワーバランスが大きく変わると言うことでもある。
「その可能性は確かにある。人間にも良い人間、悪い人間がいるように、モンスターにも助け合おうとするもの、人を襲おうとするもの様々いる。それを乗り越えてお互いに理解を深めていくことこそが、これからの我々の課題なのではないか。今までのように引きこもっていても何も変わらぬ」
ミドウの言葉の後、しばらくの間沈黙が続いた。淡々と時が流れていく。長い沈黙を破ったのは意外にもミズチであった。
「まあよい、人間と関わる関わらないの話は置いておいて、同盟を組むこと自体に異論は無い」
サクヤはそれでいい?
――もちろんじゃ、異論は無い
シナツも承諾し、ここに私達の同盟が成立したのである。
そして良いニュースはもう一つあったのである。大蛇からもらった細胞、そのいくつかがもの見事に培養に成功したのである。後はウイルスを増やして行ければ大丈夫だ。こちらの目処も立った。
「あとは何回も繰り替えしていけば、おそらくワクチンも出来るんじゃないかな……最終的にはどうしても実験が必要になってしまうけど……」
「やりましたね!イーナちゃん!希望が見えてきましたね!」
ナーシェも興奮した様子で喜びをあらわにしている。
「それにしても同盟だなんて、大分話の規模が大きくなってきましたね。世間ではすごく噂されてるみたいですよ」
実験の後片付けをしながらナーシェが同盟についての話題を振る。
「そうだねー街の人達はどう思ってるんだろうか」
「一番はやはり伝説の4神達が実在したと言うことに驚くのが一番多いみたいです!不安に思う声もどうしてもあるみたいですけど、この前の戦いの功績や、なによりもアーストリア連邦組織そのものが受け入れたことで、市民達もわりと受け入れる姿勢が多いみたいですね!」
あの後ミドウは、連邦との会談をした。連邦組織としても、人間を守るために友好的な関係を築きたいということで、提案の受け入れはスムーズであった。こうして、私達の存在は広く一般に知られることになったのである。
ギルドでも、その話で持ちきりであった。久々にギルドに行くと、構成員から一気に囲まれたのである。
「おい、イーナお前九尾だったのか!」
「こんなそばにいただなんて……」
皆驚きの様子を浮かべてはいたが、その表情は笑っていた。
「おい、イーナ、頼むから討伐対象にはならないでくれよ。お前を倒すのは骨が折れる」
教官までもが笑いながら冗談を飛ばしてくる。
「大丈夫ですよ。なんたって私もギルドの一員ですからね!」
私とミズチはミドウの元へときていた。シナツもどうやら呼ばれたようで、4神が揃っての会談の時である。
「もう聞いておろうが、今世界情勢は不安定になりつつある。先日の帝国による侵攻。なんとか妨げたが今や連邦は混乱に陥っている。そして、アレナ聖教国の不穏な動き、再び戦いとなれば、今度こそ無事では済まないだろう」
ミドウの話を遮るようにミズチが口を開く。
「温羅、お前の言いたいことは分かった。だが、なぜ俺達が人間に協力せねばならんのだ?勝手に戦わせておけば良いのではないか?」
ミドウが続ける。
「私も以前はそう思っておった。だが我々は変わらねばならぬ。確実に時代は変わっているのだ」
ミドウは前向きな表情を浮かべ、語った。そして少し深刻な様子でさらに続けたのである。
「それに、そうもいってられない事情もある。先の戦いでは人間が我々の力を不完全ではあるが使いこなしつつあった。そして、聞いた話によるとアレナ聖教国は表向きは中立国として独立を保ってはいるが、裏で帝国とも繋がっていたという話も聞く。このタイミングで不穏な話が出るのも、そういうことではないだろうか」
あくまで推測の域は出ない話ではある。だがそれにしてはタイミングが良すぎる。
「そういうことか、それで俺達で何をしようというのだ」
ミズチは頷きながらミドウに問いかけた。
「今の段階で何かという話ではない。ただ、我々もお互い引きこもっているのではなく、もっと助け合うことが必要なのではないかという話だ。人間が連邦を組織して発展したなら我々も同じことをすれば良い」
「つまり同盟を組むってこと?」
私の問いかけにミドウは静かに頷いた。
「幸いなことに、最近は人間も我々を受け入れつつある。まだ完全にわかり合うことは難しいかも知れないが、そうなれば将来的にはお互い助け合うことも出来るだろう。それに、4神同士の同盟とならば、悪い人間がいたとしてもそう簡単に手出しはできないだろうしな。さすれば自分たちの身を守ることにも繋がる」
そう言われては、ミズチもさすがに受け入れざるを得ないであろう。やはりミドウは敵に回すには恐ろしすぎる男である。
「だが、人間からすれば、俺達は脅威でもある。さらに同盟なんぞ組もうものなら、今度は人間達が俺達を目の敵にする可能性はないのか?」
シナツの言ったこと、確かにその可能性は大いにありうる。今でこそ、友好な関係は築けているが、同盟を組むと言うことは人間と我々のパワーバランスが大きく変わると言うことでもある。
「その可能性は確かにある。人間にも良い人間、悪い人間がいるように、モンスターにも助け合おうとするもの、人を襲おうとするもの様々いる。それを乗り越えてお互いに理解を深めていくことこそが、これからの我々の課題なのではないか。今までのように引きこもっていても何も変わらぬ」
ミドウの言葉の後、しばらくの間沈黙が続いた。淡々と時が流れていく。長い沈黙を破ったのは意外にもミズチであった。
「まあよい、人間と関わる関わらないの話は置いておいて、同盟を組むこと自体に異論は無い」
サクヤはそれでいい?
――もちろんじゃ、異論は無い
シナツも承諾し、ここに私達の同盟が成立したのである。
そして良いニュースはもう一つあったのである。大蛇からもらった細胞、そのいくつかがもの見事に培養に成功したのである。後はウイルスを増やして行ければ大丈夫だ。こちらの目処も立った。
「あとは何回も繰り替えしていけば、おそらくワクチンも出来るんじゃないかな……最終的にはどうしても実験が必要になってしまうけど……」
「やりましたね!イーナちゃん!希望が見えてきましたね!」
ナーシェも興奮した様子で喜びをあらわにしている。
「それにしても同盟だなんて、大分話の規模が大きくなってきましたね。世間ではすごく噂されてるみたいですよ」
実験の後片付けをしながらナーシェが同盟についての話題を振る。
「そうだねー街の人達はどう思ってるんだろうか」
「一番はやはり伝説の4神達が実在したと言うことに驚くのが一番多いみたいです!不安に思う声もどうしてもあるみたいですけど、この前の戦いの功績や、なによりもアーストリア連邦組織そのものが受け入れたことで、市民達もわりと受け入れる姿勢が多いみたいですね!」
あの後ミドウは、連邦との会談をした。連邦組織としても、人間を守るために友好的な関係を築きたいということで、提案の受け入れはスムーズであった。こうして、私達の存在は広く一般に知られることになったのである。
ギルドでも、その話で持ちきりであった。久々にギルドに行くと、構成員から一気に囲まれたのである。
「おい、イーナお前九尾だったのか!」
「こんなそばにいただなんて……」
皆驚きの様子を浮かべてはいたが、その表情は笑っていた。
「おい、イーナ、頼むから討伐対象にはならないでくれよ。お前を倒すのは骨が折れる」
教官までもが笑いながら冗談を飛ばしてくる。
「大丈夫ですよ。なんたって私もギルドの一員ですからね!」
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