『しろくま通りのピノ屋さん 〜転生モブは今日もお菓子を焼く〜』

miigumi

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9章

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第87話『ここで暮らすと、決めた日』

 *

 王都評議院より、正式提案書が仮店舗に届けられた。

 —

 【しろくま通り分室常設案】
 - 仮店舗をそのまま“常設町区”として認定
 - 一定規模のまま運営を続け、王都市民と共に“暮らし”を形にする
 - 魔物との共存雇用モデルの継続協力要請

 —

 リィナは、読み終えてぽつりと呟いた。

 「……“町として認めたい”ってこと、なんですね」

 レオが静かに頷く。

 「この王都に、“あなたたちが運んできた町”が、根を下ろすということです」

 (これは、誇りであり、責任でもある)

 *

 夕方、ユルはノートを持ってリィナのところに来た。

 「……リィナ。ユル、きめた」

 「うん。なにを?」

 「ここで、はたらきたい。“町の一員”として。
 ただの“連れてこられた魔物”じゃなくて、“いっしょに動く手”になりたい」

 リィナは、少し涙ぐみながら笑った。

 「ユル……ありがとう。じゃあ、正式に“スタッフ仲間”だね」

 「うん。“まあるい輪郭”、つくりたいから」

 *

 一方セリルは、なにやら大量のチラシを持って奔走していた。

 「しろくま通りって何? という方へ! まるっとわかるガイド作りましたー!」

 王都中に撒かれたチラシは、イラスト付きで大評判に。

 「これ、わかりやすい」「“共存おやつセット”って可愛い」

 リィナ:「……あれ、セリルくん、意外とやるじゃない」

 ピノ:「ぴ(あれは一周まわって天才かもしれない)」

 *

 夜。店じまいの後。

 レオが手紙を持ってきた。

 「リィナさん。これは――“未来”の話です」

 それは、しろくま通り本拠地に戻った町の仲間たちから届いた手紙だった。



「リィナへ」

ピノのジェラートが王都で人気って聞いて、モルも読み聞かせがんばってるよ!
“次の夢”、考えたんだ。
しろくま通りの“本店”と、王都の“分室”が、
“まるい橋”でつながる日をつくろうって。
次は“交流祭”だよ! リィナ、帰ってきたら会議しようね!
— しろくま通りチームより



 リィナは、笑った。

 「うん。“帰る場所”があるから、こうして“広げる場所”にいられるんだね」

 「そして、あなたのいる場所が、どこでも“町のまんなか”になるんです」
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