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1章
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◆第15話 「魔族は今日もモフを食す」
「……役に立たんな」
カリスは静かに呟いた。
部下からの報告。結界の存在。高位の魔力による防御。
「それほどまでの力を張れる人間など、この国にいないはずだ。ならば――」
カリスの目が細くなる。
「やはり、あの女は魔族と通じている」
指を鳴らすと、別の部下が控えの間から姿を現す。
「私が行く。直接、確かめる。……次に姿を現したときには、すべて終わらせる」
* * *
「ミレイア殿、こちらを“二つ”頼む」
「は、はいっ!」
予想外のお客さんに、私は少し戸惑っていた。
目の前にいるのは、旅人風ではあるけれど、
どこか“ただ者じゃない雰囲気”を醸し出している青年と、
その隣に立つ、口数の少ない銀髪の青年。
(……えっ、この人たちもヴァルさんと同じ匂いがする……)
「“ラテプレート”と“包み飯”を。持ち帰りで頼む」
「も、持ち帰りですね、了解しました!」
「……余はこの“モフプリン”が気に入っている。あれは……王の器だ」
「王の……?」
「いや、気にするな」
カウンターの端でラテが「もふ」と一言鳴いた。
明らかに「また来た」って顔。
(あっ、この人たち……魔族、かも)
でも不思議と、怖くなかった。
むしろ、ヴァルさんの知り合いな気がする。
「お持ち帰り用、できました~! ……あの、誰かに差し入れ、ですか?」
「ふむ。……友人に、“また食わせろ”と言われてな」
(たぶん、ディアさんだ)
私は思わず笑ってしまった。
「ディアさん、気に入ってくれたみたいでよかったです。お腹壊さないといいけど……」
「壊すわけがない」
魔族たちは、袋を受け取ると、礼もそこそこに去っていった。
ラテがその背中を見送るように、ゆっくりとしっぽを振っている。
「ねえラテ、最近、ちょっと変わったお客さんが増えてきたよね」
「もふ」
――でも、それが不思議と、嫌じゃないんだ。
「……役に立たんな」
カリスは静かに呟いた。
部下からの報告。結界の存在。高位の魔力による防御。
「それほどまでの力を張れる人間など、この国にいないはずだ。ならば――」
カリスの目が細くなる。
「やはり、あの女は魔族と通じている」
指を鳴らすと、別の部下が控えの間から姿を現す。
「私が行く。直接、確かめる。……次に姿を現したときには、すべて終わらせる」
* * *
「ミレイア殿、こちらを“二つ”頼む」
「は、はいっ!」
予想外のお客さんに、私は少し戸惑っていた。
目の前にいるのは、旅人風ではあるけれど、
どこか“ただ者じゃない雰囲気”を醸し出している青年と、
その隣に立つ、口数の少ない銀髪の青年。
(……えっ、この人たちもヴァルさんと同じ匂いがする……)
「“ラテプレート”と“包み飯”を。持ち帰りで頼む」
「も、持ち帰りですね、了解しました!」
「……余はこの“モフプリン”が気に入っている。あれは……王の器だ」
「王の……?」
「いや、気にするな」
カウンターの端でラテが「もふ」と一言鳴いた。
明らかに「また来た」って顔。
(あっ、この人たち……魔族、かも)
でも不思議と、怖くなかった。
むしろ、ヴァルさんの知り合いな気がする。
「お持ち帰り用、できました~! ……あの、誰かに差し入れ、ですか?」
「ふむ。……友人に、“また食わせろ”と言われてな」
(たぶん、ディアさんだ)
私は思わず笑ってしまった。
「ディアさん、気に入ってくれたみたいでよかったです。お腹壊さないといいけど……」
「壊すわけがない」
魔族たちは、袋を受け取ると、礼もそこそこに去っていった。
ラテがその背中を見送るように、ゆっくりとしっぽを振っている。
「ねえラテ、最近、ちょっと変わったお客さんが増えてきたよね」
「もふ」
――でも、それが不思議と、嫌じゃないんだ。
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