原初のスライム〜初めての生命体になって世界を創造しよう〜

雲霓藍梨@うんげいあいり

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楽しい創造

動物

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 植物の改変と違って、昆虫含む動物は一から作らなくてはならない。
 スライム一匹でできているのは、外側に膜を作って海に入るところまで。
 昆虫はもっと複雑な構造だし、重力に負ける気がする。最初は海の軟体生物からだろうか。

(まずは海に入ってみないと)

 まだ子スライムにばかり海に入らせて、自分は入っていなかった。なので、恐る恐る伸ばした触手で無事を確認して、少しずつ海水に触れる面積を増やす。

(お、おお…)

 全身を海水に浸すと、比重の問題か、海水よりスライムの身体の方が軽いらしく、ぷかぷかと浮かんでしまう。

(…これ、他のスライムはどう海藻を取ってきたんだ…?)

 見れば、海水に浸かり切る前に、ある程度の砂を身体に取り込んでいるようだ。

(なるほど、砂の方が重いもんな)

 自分も真似しようと砂浜へと戻る。
 後方にヒレのような触手を作って、海を蹴った。

(んー、魚も良いなぁ…)

 外骨格の昆虫より、脊椎動物である魚の方が進化するのに時間を要するだろう。
 それでも、他にする事もないのだから、時間が許す限り進化実験を楽しむ事にした。




 砂を取り込んで沈むようになった俺の身体で、ゆっくりと海底を這っていた。透明なスライムの身体には波が優しくぶつかり、陸上とはまるで違う世界の静けさが辺りを包んでいる。

(……ああ、やっぱりすごいな。こっちの世界も)

 揺れる光、なびく海藻、微かに浮遊する粒子たち。
 ここにはまだ、“生き物”と呼べる存在はいない。俺と、分裂して向かわせたスライム仲間以外に、動いているものは何も無い。

(……つまり、ここからが本番ってことだよな)

 海に入るためには外膜が必要だった。
 塩分の侵入を防ぎ、浸透圧に耐えるために、スライムたちの身体の表層を硬質化させた。

(なるほど、じゃあこっちでも“素材”を探さないとな)

 海藻のひとつを触手で包み、そっと取り込む。
 陸の草と違って、水中に揺れているだけあって粘性が高い。葉のような部分には柔らかな膜があり、茎のような部分には中空に近い管の構造があった。

(粘液か…これで更に塩分の浸透を防げる)

 海藻の解析を終えた後、ぬるりと身体を変化させて、更なる耐性を取得する。

(……なんか、クラゲっぽい?)

 軟体生物で、水っぽく、ぬるつく生き物。
 今の俺は、陸からやって来ただけでクラゲっぽいのではないか?
 そう考えて、身体の形状を変化させる。

(えっと、傘の部分と触手部分。あとは口かな?)

 俺は試しに、自分ともう一体のスライムを自分に融合させてみる。
 次に、融合体の一部に管になるように命令を出し、消化器官を模倣する。それを中心に内と外の機能を分けてみた。

 外は動くための表体。内は養分を取り込むための空洞。

(よし……次は“消化液”だな)

 食べたものを分解する必要がある。試しに、自分の体内の魔力を集めて、少し“分解性”を強くしてみる。

 すると、体内に取り込んだ海藻の一部が、じわじわと溶けていく感覚が伝わってきた。

(……いける!)

 自分の中で、栄養を分解し、吸収し、残ったカスを“口ではない出口”から排出する。
 これまでなかった“内と外”の区切り。——まさに、動物だ。

 この世界で最初の、海に棲む“原始的な動物”。

 それが、俺の身体から、生まれた。
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